2024-12-3
医療の課題解決に貢献するGEヘルスケア・ジャパン(株)(以下 GEヘルスケア)は,ますます逼迫する救急医療,ニーズが高まる在宅医療を受けて,在宅医療におけるポケットエコーの活用実態やそのコストインパクトについて理解を深めることを目的とし,2024年8月から3か月かけて在宅医が訪問診療または往診をしたケース225件の事例を対象に分析を行った。
この結果,100%の事例でポケットエコー検査は,診断/治療上,有用であったと回答。ポケットエコーの使用によって得られた結果として,「診察でき,治療できた」が全体の44.9%と在宅医療によって診察が完結していること,次に32.9%のケースで「診断はできなかったが救急疾患を除外できた」と救急搬送が防止できたことが示された。
また,在宅医療のみで治療および診察が完結したケースと救急搬送が防止できたケースそれぞれの場合における実際の検査部位(疾患),患者情報の実態の把握だけでなく,ポケットエコーがなく在宅医療が完結できない場合や救急搬送した場合にかかるコストについての推計値を示した。これにより,ポケットエコーの活用が在宅医療現場での生産性を向上させることで救急医療,ひいては医療全体へどのような影響をもたらすかを示唆する結果が得られた。
調査の背景:
超高齢化が進む日本では,医療ニーズの急増に対応できる医療提供体制の整備は喫緊の課題である。ポストコロナの現状では,コロナ補助金の終焉,診療報酬改定による影響,部材高騰・光熱費増大など病院経営が困難な状況となっている。この結果,過疎地やへき地では地域医療の再編が進む中で患者の医療アクセスがさらに困難となり,都市部も同様に通信の負担増加・在宅医療の需要増加が顕著となり,医療の新たな形を模索し,病院と在宅医療がシームレスに連携する仕組みを構築することが求められている。
2040年以降には在宅医療の需要が最大となると言われ,在宅医療の提供体制の整備が地域全体の課題となっており,先月12日には,政府は医療・介護分野で,医療偏在是正に向けた施設整備支援や,へき地の医療提供体制確保を図る体制整備支援を盛り込んだ新たな総合経済対策の原案を自民党の政調全体会議へ示した。
このような状況下において,GEヘルスケアでは,昨年より先んじてポケットエコーが果たす医療の効率化および質向上,そして医療経済への貢献について明らかにすべく,「ポケットエコー利用実態調査」を実施している。
昨年度実施した調査およびその結果については,多くの医療従事者から高評価を得て,メディアからも多々意見を得られた。今年は4名の在宅医が協力し実際の検査データを収集した結果,ポケットエコーの活用により在宅医療での診断力が高まり,「在宅で診療が完結すること」や「緊急搬送や再入院の防止」など,ポケットエコーの利用価値やそれによる医療費削減を可視化している。
調査の概要:
調査名:GEヘルスケア「ポケットエコーで実現するこれからの在宅医療」
対象:在宅医がポケットエコーを利用して訪問診療または往診を行った診療件数225件
実施期間:2024年8月1日~10月31日
データ協力元:医療法人社団 悠翔会,医療法人鳥伝白川会ドクターゴン診療所及びドクターゴン鎌倉診療所,紀美野町立国民健康保険国吉・長谷毛原診療所,奥尻町国民健康保険病院
調査の結果:
・患者情報:90代以上38%,80代35.8%と約65%が後期高齢者。
そのうち,58%が女性,約80%程度が親・配偶者・子供/孫と同居しており,家族内介護者有は74%。
・診療情報:56%が訪問診療,残り44%が往診。ポケットエコーを使用した要因でまず挙げられるのが,「主訴の要因確認のため」77.8%,次いで「モニタリングのため」20.9%,「手技(穿刺・胃瘻など)」4.4%の順であった。検査部位に関して最も多い部位は腹部(40.9%),次いで肺(27.1%),膀胱(24.4%),心臓(23.6%)が示された。
・ポケットエコーを利用した場合,保険適用申請割合は84.4%。その中でも最も多い診療報酬項目は超音波検査(断層撮影法)(訪問診療)400点であった。
今回の調査では在宅医療における患者情報やその取り巻く環境,及びポケットエコーを利用した場合の診療実態が明らかにされるだけでなく,100%のケースでポケットエコー検査が診断/治療上有用であったと回答されている(設問18グラフ参照)。具体的に得られた結果として,「診察でき,治療できた」(44.9%)と在宅医療のみで診療が完結したケースが全体の約半数にのぼり,次いで「診断はできなかったが緊急疾患を除外できた」(32.9%)と緊急搬送を防止できた群も多くみられた。このことから,ポケットエコー利用により在宅で診療が完結することや救急搬送が防止されることによる救急医療現場の負担低減,さらには患者さんの負担軽減につながっていることが示唆される。
・ポケットエコーがなければ,78.2%のケースで高次医療機関への受診が必要であった。
・ポケットエコーがなく診断ができなかった場合,想定される病院への移動方法として最も多い手段は
「救急車」(50%),次いで「介護タクシー」(46%),「家族付き添い(自家用車または公共交通機関)」(8.5%)
・ポケットエコーがなかった場合に必要だと思われる検査として最も挙げられた内容は「単純CT検査」(52.9%),次いで「X線検査」(23.6%),「造影CT検査」(16.9%)の順であった。
今回の調査の実施および分析を通じて,GEヘルスケア・ジャパンの執行役員 超音波本部長を務める大成学志氏は次のように述べている。「GEヘルスケアでは新たなソリューションの提供は医療貢献の始点と考え,医療従事者の皆様からの様々なインサイトやフィードバックを基に,改良と開発を続けております。昨年に続く今年度の調査事業では,在宅環境下でポケットエコーを活用することによる医療費削減効果を可視化することを目的に,実際に訪問診療を行う4名の医師に協力いただき実際の検査データを収集し,より精度の高いデータを用いた結果を得ることができました。『在宅環境下ではエコーは有用である』あるいは『再入院防止はコスト削減につながる』と定性的に理解されていますが,今年度は特に『どのように』と『どのくらい』という定量データを得ることができました。特に患者さんの急変時におけるエコーの対応力の高さが確認され,在宅医療においてポケットエコーの利用が普及することが救急医療への負担低減,そして医療費の削減につながることへの示唆が得られました。迫りくる『医療の2040年問題』に対しポケットエコーの利活用を通じ『自宅はやがて診察室になる』よう,今後とも医療従事者,患者さんが求める医療の提供に貢献できるよう取り組んでまいります。」
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
https://www.gehealthcare.co.jp/