2024-12-2
- GEヘルスケアは,日本の放射性医薬品のリーディングカンパニーである日本メジフィジックスの株式50%を住友化学から取得し完全子会社化する。
- 日本メジフィジックスはGEヘルスケアグループの一員として,次世代の放射性診断薬の開発において患者のアクセスを強化するとともに,革新的なグローバル企業として日本やアジア市場に新規放射性医薬品を導入することで,信頼されるパートナーとしての地位をさらに強固なものにする。
- 本買収を通して,GEヘルスケアの診断用医薬品部門を強化し,体内分子を撮影する技術「分子イメージング」の未来の発展を強化することを目指す。
GE HealthCare(以下,GEヘルスケア)は,日本の放射性医薬品のリーディングカンパニーである日本メジフィジックス(株)(以下,日本メジフィジックス)を完全子会社化するために,住友化学(株)(以下,住友化学)が保有する50%の株式を取得することに合意した。日本メジフィジックスは,今後,GEヘルスケアグループとして,SPECT(単一光子放射断層撮影)製剤※1,および,PET(陽電子放出断層撮影)製剤※2など,放射性医薬品の製造・研究開発を強化していく。この再編は,2025年初頭に完了する見込みであり,規制当局の承認が条件となる。
日本メジフィジックスの製品ポートフォリオには,GEヘルスケアが開発した放射性医薬品である,アルツハイマー病関連での脳内アミロイドPET検査に使用される「ビザミル®静注(一般名:フルテメタモル(18F)注射液)」,パーキンソン症候群やレビー小体型認知症の診断に使用される「ダットスキャン®静注((一般名:イオフルパン(123I)注射液)」,および心臓疾患の診断用SPECT製剤「マイオビュー®(一般名:テトロホスミンテクネチウム (99mTc)」など,中枢神経,循環器,腫瘍の各分野で臨床画像を提供するための製品が含まれる。日本メジフィジックスは,1973年に設立され,2023年の売上収益は282億円(~$183M)。日本国内に13の製造施設を持ち,診断と治療を一体化した「セラノスティクス」を含む研究開発にも注力している。GEヘルスケアは2004年に英国アマシャム社を買収して以来,50%の株式を保有し,住友化学と共に経営に参画していた。
住友化学は,半世紀以上にわたり,我が国の放射性医薬品のリーディングカンパニーである日本メジフィジックスの事業を支援してきた。日本メジフィジックスの将来の成長について,GEヘルスケアと共に真摯に議論を重ねた結果,ベストオーナーの視点から,さらなる成長をGEヘルスケアに託すことが最良と判断した。
GEヘルスケアの診断用医薬品(Pharmaceutical Diagnostics,PDx)部門の社長兼CEOであるケビン・オニール(Kevin O’Neill)氏は次のように述べている。「日本は世界第3位の医薬品市場であり※3(放射性医薬品の製造に利用される)サイクロトロンの保有数でも主要国の一つです※4。世界の分子イメージング市場が70億米ドルを超えるなか,日本はその成長をけん引する重要な役割を果たし,アジアにおける技術拠点としての地位の確立が期待されています。 日本メジフィジックスは,この過程において重要な役割を担い,日本をはじめとするアジア市場への新製品および新技術の導入に際して,その深い専門知識と事業規模を活かし,支援を提供してまいります。GEヘルスケアは日本国内において,造影剤やPET,SPECTをはじめとする診断用医療機器を中心に事業を展開しています。この度の買収により,既存の事業基盤を一層強化し,日本およびアジアにおける個別化医療の進展にさらに貢献できると確信しています。」
住友化学の代表取締役副社長執行役員である上田博氏は次のように述べている。「私たち住友化学は,日本メジフィジックス,ならびに,パートナーのGEヘルスケアと共に,日本の患者さんに分子イメージングを提供してきたことを誇りに思います。日本メジフィジックスのリーダーシップと優秀なチームによるこれまでの大きな成果,そして,患者さんへの献身に心から感謝します。日本メジフィジックスは,ベストオーナーであるGEヘルスケアのもとで,引き続き成功を収め,さらなる成長を遂げることができると確信しています。」
GEヘルスケアは,医療技術および診断用医薬品の分野におけるリーディングカンパニーであり,分子イメージング装置やその専用の放射性医薬品の提供においても世界をリードしている。近年,米国FDAの承認を得たGEヘルスケア初のPET放射性医薬品「フルルピリダズ18F静注」(Flyrcado),ライセンス取得を通じてフェーズIIに進んでいるFAPI関連製品,および,セラノスティクスの提供拡大は,分子イメージングの未来を切り拓き,患者の予後向上を目指すとした,新たな診断ソリューションへのコミットメントを示している。さらに,GEヘルスケアの診断用医薬品部門は,世界中で年間1億2000万件以上(毎秒4件相当)の検査を支える造影剤のグローバルリーダーである。
同社は,この取引が初年度は調整後EPS※5,※6に対して中立的であり,その後は増加に寄与すると見込んでいる。
※1 SPECT:画像診断法の一種。 Single Photon Emission Computed Tomographyの各頭文字をとって「SPECT」(スペクト)と呼ばれる。体内に投与した放射性医薬品から放出されるガンマ(γ)線をカメラで検出し,その分布を断層画像にしたもの。脳血管障害,心臓病,癌の診断に用いられる。
※2 PET:画像診断法の一種。Positron Emission Tomographyの各頭文字を取って「PET」(ペット)と呼ばれる。体内に陽電子を放出する放射性医薬品を注射し,放出される放射線をカメラで検出し,その全身分布を断層画像にしたもの。がん,脳,心臓などの病気の診断に用いられる。
※3 https://www.trade.gov/country-commercial-guides/japan-pharmaceuticals
, accessed on October 29, 2024
※4 https://nucleus.iaea.org/sites/accelerators/Pages/Cyclotron.aspx
, accessed on October 29, 2024
※5 最新の2024年10月30日付の決算発表を参照の上,調整後EPSの定義を確認。
※6 非GAAP財務指標
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
https://www.gehealthcare.co.jp/