2023-9-21
前橋赤十字病院(注1)とシスコシステムズ合同会社(注2,以下シスコ)と日本電気(株)(注3,以下NEC)は,「医師の働き方改革」に向けて,医師の活動内容の可視化と労働環境の改善に向けた課題抽出・改善案の提示を行なう実証実験を7月3日~8月24日の約2カ月間,実施した。
具体的には,前橋赤十字病院の既設シスコネットワークとiPhoneによるWi-Fi位置測位と,NECの生体認証「Bio-Idiom(注4)」の中核技術である顔認証による施設入退管理をハイブリッドに活用した医師の勤務状況の把握を行う。今回の実証の成果を踏まえて実用化を目指すとともに,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する。
実証の背景
2024年4月開始の「医師の働き方改革」では「勤務医の時間外労働の年間上限は原則960時間とする」など,医師の労働時間に関する取り決めを中心とした策が講じられる予定。医療現場では,これまで以上に良質・適切な医療を効率的かつ持続的に提供する体制の確保に向け,医師の労働環境改善や健康維持,非医療業務の効率化などの働き方改革に向けた取り組みが求められている。
実証実験の概要
本実証は,データ提供に同意した集中治療科・救急科の対象医師に配布されているiPhoneを活用し,病院内に設置されたWi-Fiによる位置測位で医師の勤務場所や動線を確認すると共に,Wi-Fiでは測位しきれない特定施設では顔認証デバイスを設置し,医師の位置・滞在時間・入退室情報を収集した。収集したデータを元に活動内容(外来診察,回診,会議,休憩等)を把握し,医師の業務改善につながる課題を抽出する。
実証の成果
今回の実証実験により,院内約540箇所に設置されたシスコ製のアクセスポイントからiPhoneの位置を算出し,院内の各勤務エリアの滞在位置と滞在時間ならびに勤務導線を約5m以内の範囲,5分間隔で特定することができた。また,Wi-Fiでは測位しきれない特定施設では顔認証デバイスを活用することにより,医師の勤務時間と勤務内訳の月・週・日別集計,さらに勤務動線を可視化することができた。
出退勤の実績やシフト表を個別に確認,また医師の記憶に頼ることなく勤務実態の可視化をすることで,非医療業務である会議と医師の個人業務との区別,勤務内訳の申告などの業務効率化や改善ポイントの発見に繋がった。
今後3者は本実証を通じて,医師だけでなく病院内全体の労働環境と経営の改善を両立させる解決手段の提案に取り組んでいく。
またNECとシスコは,勤務実態の可視化の仕組みを,病院ネットワークインフラを活用した,導入が容易なソリューションとして提供することに共同で取り組み,医療業界の働き方改革の実現を目指す。
(注1)所在地:群馬県前橋市,病院長:中野 実
(注2)本社:東京都港区,代表執行役員社長:中川 いち朗
(注3)本社:東京都港区,取締役 代表執行役社長 兼 CEO:森田隆之
(注4)「Bio-IDiom(バイオイディオム)」は,顔,虹彩,指紋・掌紋,指静脈,声,耳音響など,NECの生体認証の総称です。世界トップクラスの技術や豊富な実績を活かし,ニーズに合わせて生体認証を使い分け,あるいは組み合わせることで,「誰もが安心してデジタルを活用できる世界」を実現していく。
●問い合わせ先
シスコシステムズ合同会社
E-Mail:nec-cisco-healthcare@cisco.com
NEC 生体認証・映像分析統括部
E-Mail:dpf-pr@dpf.jp.nec.com