2023-4-4
富士フイルムメディカル(株)は,非造影MRI画像から直腸領域の3D画像を表示する「直腸解析」や,物質固有の物性値である磁化率を定量的に画像化する「QSM(*2)解析」を新搭載した「SYNAPSE VINCENT」の最新バージョン「SYNAPSE VINCENT Ver6.8」の提供を2023年2月より開始した。同社は,4月14日~16日にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催される「2023国際医用画像総合展(ITEM2023)」に本製品を出展する。
SYNAPSE VINCENT は同社の画像認識技術を生かして,CTやMRIなどの断層画像から高精度な3D画像を描出する3D画像解析システム。医療画像を立体的に可視化することで,画像診断や手術シミュレーションなどに活用できる。最新バージョンでは,AI技術を活用して開発した「直腸解析」や「QSM解析」などの,MRI向けアプリケーションを拡充した。
直腸解析アプリケーションは,非造影MRI画像から直腸やその周辺臓器,血管,神経,尿管などを抽出し3D画像を表示する機能。非造影MRI検査で3D画像が得られるため,患者負担が少なく済む。また,直腸内の関心領域と切除面との距離情報や術野のイメージをシミュレーションする仮想内視鏡ビュー機能と合わせることで,詳細な術前シミュレーションを支援する。
また,富士フイルムヘルスケア社が開発した画像解析処理技術QSMを,SYNAPSE VINCENT 上で使用可能なアプリケーションとして搭載した。QSMとは物質固有の物性値である磁化率を定量的に画像化する手法で,磁化率が小さい反磁性体は黒く,磁化率の大きい常磁性体は白く描出される。この点に着目することで,アルツハイマー型認知症や多発性硬化症などの神経性疾患に対する診断への補助が期待される(*3)。脳の各区域をセグメンテーションする「脳区域解析」と組み合わせて使用することで,脳の区域ごとにQSM値の平均を表示することも可能である。
富士フイルムは,AI技術ブランド「REiLI」のもと,AI技術の医療における活用の幅を広げることで,医療画像診断支援,術前シミュレーションの支援,医療現場のワークフロー支援に取り組んでいく。
*1 AI技術の一つであるディープラーニングを用いて設計した。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。AI技術を活用して開発された機能は「直腸解析」機能のみ。
*2 Quantitative Susceptibility Mapping:定量的磁化率マッピング
*3 工藤 與亮,「神経変性疾患における定量的磁化率マッピング(QSM)の臨床応用」,『神経治療学』,2022年39巻6号,S207項。
1. 品名
販売名:富士画像診断ワークステーション FN-7941 型
認証番号:22000BZX00238000
2. 発売日
2023年2月
●主な特長
(1)非造影MRI画像から直腸やその周辺臓器の位置関係などを3D画像表示する直腸解析
新たに直腸領域のセグメンテーション機能を搭載することで,非造影MRI画像から直腸やその周辺臓器,血管,神経,尿管などを抽出し3D画像を表示することが可能となった。直腸内の関心領域と切除面との距離情報や術野のイメージをシミュレーションする仮想内視鏡ビュー機能と合わせることで,詳細な術前シミュレーションを支援する。
(2)磁化率を定量的に画像化するQSM(定量的磁化率マッピング)解析
MRIのマルチエコーで撮像した絶対値画像と位相画像に対して画像処理を行うことで,組織間の磁化率の差を画像化し,定量的磁化率マッピングを作成する。
「脳区域解析」と組み合わせることで,脳の区域ごとにQSM値の平均を表示することもできる。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
TEL 03-6419-8033