2021-10-29
サイバーナイフ S7 シリーズ
アキュレイ(株)は,同社の高精度放射線治療装置サイバーナイフシステム* が三叉神経痛治療の適応追加の製造販売承認を取得したことを発表した。
三叉神経痛とは顔の感覚を脳に伝える神経(三叉神経)になんらかの原因で刺激が生じ,顔に痛みの出る病気。痛みは非常に強く,一瞬の走るような痛みが突発的に数秒間発生し,人間が感じる痛みの中でも最も痛いとも言われている。発症率は10万人につき4~5人といわれており,高齢者や女性が多く報告されている。
治療法は薬物療法が第一選択となり,8割以上の患者で一時的には痛みが消失あるいは相当改善されるが,中には投与初期に著効を示しても,徐々に効果が減弱する患者も見られ,その場合は外科的手術,または,高齢等により手術ができない患者には,定位放射線治療が検討される。
同社の高精度放射線治療装置サイバーナイフシステムは,サブミリメートルの照射精度で病巣に放射線量を集中させる定位放射線治療を得意としている。放射線治療で必要なスピード,高精度の照射技術,リアルタイム位置補正・動体追尾機能を兼ね備えており,頭蓋内および体幹部の悪性・良性腫瘍,動静脈奇形,および神経疾患を治療できるロボット型放射線治療装置。当初は頭蓋内腫瘍の治療装置として開発が進められ,その後,肺・肝・前立腺など体幹のさまざまな腫瘍への治療適応を広げてきた。
今回,サイバーナイフシステムに三叉神経痛治療が適応追加となり,体に負担の少ない放射線治療を提供できるようになった。
春日居サイバーナイフ・リハビリ病院 総院長 髙橋弘氏は「脳神経外科医として三叉神経痛に苦しむ多くの方々をこれまで診てきましたが,その中には,効いていた薬物治療が徐々に効果がなくなり悩んでいる方もいれば,唯一の根治療法として手術療法を選択したにもかかわらず,再発してがっかりしている方もおりました。こういう方にとって,心身共に負荷がほとんどない定位放射線治療は極めて有用な治療法と言えます。しかし,三叉神経の走行や性状には個人差が多く,効果的な治療は必ずしも容易ではありません。サイバーナイフは他の定位放射線治療装置と異なり複数の照射法から適切な方法を選択することが可能な優れた治療機です。この度の適応拡大承認に伴い,今後保険償還が実現した暁には三叉神経痛に悩まれている多くの方々にとって福音になっていくのではと,心から喜ばしく思っています。」と語っている。
同社代表取締役社長 穂積 重紀氏は次のように述べている。「日本におけるサイバーナイフ治療は,1990 年代に最初の1台が稼働して以来,20 数年が経ちました。この間,治療時間の短縮,動体追尾機能の搭載,照射精度の更なる向上などシステムの機能も格段に進化し,治療できる適応症も頭蓋内から体幹部まで幅広い領域をカバーできるようになりました。三叉神経痛は鋭い痛みを伴い,肉体的にも精神的にも負担の大きな病気です。サイバーナイフシステムの低侵襲的な治療が患者さんにとって体に負担の少ない治療選択肢の一つになることを願っております。そして,今後も適応症が増え,様々な患者さんの治療に貢献できるよう取り組んで参ります。」
サイバーナイフシステムの詳細についてはhttps://www.accuray.co.jp/product/1 を参照。
*サイバーナイフ ラジオサージェリーシステム(承認番号:22200BZX00721000)
サイバーナイフM6シリーズ(承認番号:22600BZX00126000)
●問い合わせ先
アキュレイ(株)
https://www.accuray.co.jp/