2021-7-26
富士通(株)は,製薬,医療機器メーカーの治験業務の変革を支援する「FUJITSU ライフサイエンスソリューション tsClinical DDworks21(ティーエスクリニカル ディーディーワークス21)」(以下,「DDworks21」)を機能強化した,SaaS型ソリューション「FUJITSU ライフサイエンスソリューション tsClinical DDworks NX(エヌエックス)」(以下,「DDworks NX」)を7月26日より提供開始する。
「DDworks NX」は,医療機関,製薬,医療機器メーカーで行う治験業務の各段階において,従来,紙媒体でやり取りが行われていた治験文書をデジタル化するとともに,2019年1月に提供開始した医療機関向けSaaS型ソリューション「tsClinical DDworks21/Trial Site(トライアル サイト)」(以下,「Trial Site」)と連携することで,医療機関と,製薬,医療機器メーカー間での治験文書のデジタル連携を実現する。これにより,製薬,医療機器メーカー双方の治験業務を効率化し,人件費や書類の外部保管倉庫にかかるコストの削減,治験従事者の働き方改革に貢献する。さらに,利用画面の日本語,英語切り替え機能の追加で,増加する国際共同治験(注1)への対応や翻訳作業の負荷を軽減するほか,対応ブラウザの追加でユーザーエクスペリエンスを向上させる。
同社は,今後も治験業務プロセスのデジタル化によりさらなる効率化を実現し,患者へ新しい医薬がより早く届くことを通じて,あらゆる人のウェルビーイングの向上への貢献を目指す。
●背景
一つの新薬を開発するためには,一般的に約15年の期間と数百億円から1千億円以上の研究開発費(注2)がかかると言われている。その中でも,新薬開発における医療機関および製薬メーカーや医療機器メーカーとの治験文書の手続きや,照合と検証を意味するSDV(注3)などのやり取りの大半が,製薬,医療機器メーカーの担当者による紙媒体を使った直接訪問,原紙保管で進められ,多大な労力とコストを要していることが課題となっている。
また,近年コロナ禍において,直接訪問には制約があるため,これらの業務のデジタル対応への要望が急速に高まっていた。
さらに,国際共同治験比率の上昇や海外ステークホルダーとのClinical CAPA(注4)の実践などに伴う,治験文書管理システムのグローバル対応も求められていた。
●「DDworks NX」の主な特長
1. デジタル化と医療連携による治験業務の効率化
「DDworks NX」は,医療機関が利用する「Trial Site」とシームレスに連携することで,医療機関と製薬,医療機器メーカーそれぞれで管理を行うISF(注5)をはじめとする治験に関する文書をリアルタイムで確認可能とする仕組みを提供する。また「DDworks NX」および「Trial Site」それぞれにおいて治験文書のやり取りをしたエビデンスを発行することも可能。これにより,従来,製薬,医療機器メーカーの担当者が医療機関へ直接訪問して行っていた紙媒体での治験文書に関する業務がデジタル上で完結することとなり,人件費や書類管理のコストの削減,治験従事者の働き方改革に貢献する。
なお,「DDworks NX」は,製薬,医療機器メーカーと医療機関が連携するための機能を標準実装していることから,個別システム構築は一切不要なため,システム構築,運用面でのコスト削減にも寄与する。
2. 利用画面の日本語,英語切り替え機能追加
「DDworks21」にはなかった英語版の利用画面を追加したことにより,治験文書の記載項目の英訳が不要になる。これにより,FDA(注6)などへの査察対応における英語版の治験文書作成を効率化。また,グローバルでのClinical CAPA実践など国際共同治験における情報連携を容易にし,治験業務の品質向上に貢献する。
3. ユーザーエクスペリエンスの向上
EdgeやChromeなどのブラウザへ対応したWebデザインに刷新することで操作性などのアクセシビリティを向上したほか,専用ビューアーでのみ参照可能だった帳票のPDF化により,情報の保存性,汎用性も向上しました。また,最大20箇所以上の設定が必要だったクライアントPCにおける複雑な事前設定を一箇所に簡素化することで,利用者の追加やクライアントPC入替時に発生していたトラブルの抑止など,システム管理者の負荷も軽減する。
●販売価格,および出荷時期
製品・サービス名
FUJITSU ライフサイエンスソリューション tsClinical DDworks NX
販売価格(税別)
・初期導入費用:300万円~
・月額利用料:個別見積
提供時期2021年7月26日より
●販売目標
2021年度中に20社へ導入予定(同社の決算期は3月末日)。
●今後について
同社は,製薬,医療機器メーカーと医療機関でやりとりされる情報や文書のデジタル化を通じて,医療現場への訪問回数や紙文書を削減し,効率的な業務推進を支援することで,コロナ禍における医療現場を支援していく。
また,今後も治験業務プロセスのデジタル化によりさらなる効率化を実現し,患者へ新しい医薬がより早く届くことを通じて,あらゆる人のウェルビーイングの向上に貢献する。
注釈
注1
国際共同治験:複数の国や地域で同時に行われる治験。
注2
一般的に約15年の期間と数百億円から1千億円以上の研究開発費:出典 第1回医薬品開発協議会 2020年10月27日 日本製薬工業協会
注3
SDV:Source Document Verificationの略,原資料の照合と検証。
注4
Clinical CAPA:Clinical Corrective Action and Preventive Actionの略,臨床試験における是正,予防措置。
注5
ISF:Investigator Study Fileの略,医療機関で保管する治験の実施及びデータの品質に関する文書。
注6
FDA:Food and Drug Administrationの略,アメリカ食品医薬品局。
関連リンク
「tsClinical」紹介サイト
医療機関向け治験ソリューション「tsClinical DDworks21/Trial Site」を提供開始(2019年1月24日プレスリリース)
同社のSDGsへの貢献について
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は,世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標。同社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし,世界をより持続可能にしていくこと」は,SDGsへの貢献を約束するもの。
●問い合わせ先
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