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医療ICTベンチャーのアルム,広島大学・札幌医科大学とてんかん診療に資する遠隔脳波診断支援の多施設共同研究を開始

2021-5-24

(株)アルムは,国立大学法人広島大学および北海道公立大学法人札幌医科大学と共に,アルムが提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用し,認知症およびてんかん鑑別・診断技術向上にむけた共同研究を開始した。

日本国内には,60~100万程度のてんかん患者が存在するといわれており,特に高齢発症のてんかん患者が増加している。高齢者のてんかんは,臨床症状が類似する認知症と併発した場合,症状で鑑別することが難しく脳波検査が必要不可欠である。しかし,正確な脳波判読ができる医師は,全国約700名のてんかん専門医と一部のその他診療科医に限られているため,特にてんかん専門医がいるてんかんセンターや大学病院へのアクセスが難しい地方医療圏においては十分な脳波検査が実施できず,深刻な問題になりつつあると考えられる。

米国の研究*によると,認知症および経度認知障害(MCI)の患者の半数程度にてんかん異常波を有するとの調査結果がでている。てんかんの多くは,薬物療法で臨床症状を抑えることができるため,てんかんを併発している認知症患者に適切な鑑別診断や治療ができれば,臨床症状が改善し,QOLの向上が期待できるとされており,てんかん診療は認知症診療においても重要なテーマとなっている。

アルムはこのような課題を解決するべく,広島大学および札幌医科大学と共に,アルムが開発・提供する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用して,各医療機関で検査した脳波データをてんかん専門医が遠隔で判読できる仕組みを構築し,地域におけるてんかん診断技術向上を目指した他施設共同研究を開始する。アルムが提供する「Join」は,院内にある脳波計の検査データを,「Join」の高セキュリティなネットワークでクラウドにあげ,専門医がインターネットにつながる端末でクラウド上の脳波ビューワーにアクセスし,遠隔判読を行える仕組み。脳波データを他院のてんかん専門医に提供する場合,紙媒体もしくはメディア媒体で提供するケースが一般的だが,「Join」の仕組みを活用することでデータ転送側の業務負担も少なく,タイムリーかつ普段と同様に判読できる期待が高いと考えている。広島大学は,ヒロシマ平松病院と広島中央健診所との間で,札幌医科大学は,函館新都市病院との間でこの仕組みを活用し,地方医療圏の実情を踏まえた連携施設のてんかん診断技術向上や運用面の評価から遠隔脳波判読の有用性について研究する。

遠隔脳波判読支援の有効性を検証の後,認知症患者におけるてんかん症状の割合や検出率を明らかにし,特に人的資源の偏在が大きい地域医療において,遠隔脳波判読の仕組みを普及させることで,てんかんおよび認知症医療の医療格差の是正を目指していく。

*Keith A Vossel, MD, Maria C Tartaglia, MD, Haakon B Nygaard, MD, Adam Z Zeman, FRCP, and Bruce L Miller, MD Epileptic activity in Alzheimer’s disease: causes and clinical relevance Lancet Neurol. 2017 Apr; 16(4): 311–322.

 

●問い合わせ先

■研究に関すること
広島大学病院てんかんセンター長
広島大学大学院医系科学研究科脳神経外科学 准教授
飯田幸治
TEL 082-257-5227

札幌医科大学医学部脳神経外科学講座 教授
三國 信啓
TEL 011-611-2111

■Joinに関すること
(株)アルム チームプラットフォーム部 広報担当
Email:press@allm.jp
https://www.allm.net/