2021-3-31
富士通は,医師や看護師などの勤務状況や職員情報などの一元的な管理を実現するソフトウェア「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE タイムリフォーマー V1(以下,HOPE タイムリフォーマー)」を開発し,富士通Japan(株)(注1)(以下,富士通Japan)から,2021年4月1日より提供開始する。
「HOPE タイムリフォーマー」は,24時間365日をシフトで勤務する看護師向けの勤務表作成機能や,職種や業務で異なる複雑な勤務形態を踏まえた勤務時間や各種手当を一元的に管理する機能などを備えており,個々の医療従事者の勤務状況や年休取得,残業手当などを容易かつ正確に把握し管理できる。これにより,医療機関は,法律に準拠した適正な労働時間管理や,労働時間の可視化による業務分析が可能になる。
同社は,本製品の提供を通じて,2024年4月に医療従事者にも適用が始まる,働き方改革関連法の時間外労働上限規制への対応に向けた医療機関における労働時間管理の適正化を支援する。また,個々の看護師の経歴や教育受講情報などを可視化することで,タスクシフトやタスクシェアを推進するなど,医療従事者のリソースマネジメントも含めて医療機関の働き方改革に貢献していく。
また,「HOPE タイムリフォーマー」の勤怠情報と連携することで,個人だけでなく組織の時間外労働状況や電子カルテ端末などの利用時間と勤怠情報の乖離を可視化できる「FUJITSU Software TIME CREATOR ヘルスケア(以下,TIME CREATOR ヘルスケア)」を(株)富士通エフサス(注2)が開発し,2021年4月中に,富士通Japanから提供を開始する。
●背景
現在の国内における時間外勤務時間の状況をみると,全職種で医師の労働時間が最も多く,勤務医の約1割が1,920時間以上の時間外勤務を行っており,大きな課題となっている。2019年4月に施行された働き方改革関連法では,時間外労働の上限規制が2024年4月より医師にも適用予定であると定められており,各医療機関は医師を含めた院内職員の時間外労働実態を正しく把握し,管理することが義務付けられる。
また,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で,医療従事者の勤務時間がますます増加傾向にある中,医療機関の人的リソースは不足しているため,職種間および職種をまたがる業務シフトや業務シェアも柔軟に進め,院内全体の最適なリソースマネジメントを実現していくことが大変重要となっている。
同社は,上記に対応するため,1993年に看護師向けに提供を開始し,約600機関への導入実績がある「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE ナーススケジューラ」,「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE ナースプランナー」の2製品を統合し,時間外労働実績だけでなく,看護師や医師の勤務形態の違いを踏まえて休暇などを申請できる機能を強化した,医療従事者の働き方改革を総合的に支援する「HOPE タイムリフォーマー」を開発した。
●「HOPE タイムリフォーマー」の特長
1.医療従事者の勤務時間を適正に把握,管理
- 医師や看護師などの職種により異なる方法や場所で打刻される勤務情報を収集し,一元管理できる労働時間管理オプションを搭載。医師や看護師は,各自の出退勤打刻の情報を一覧で確認し,自身の時間外勤務時間の状況を意識しながら自らの働き方を調整可能。また,医療従事者の勤務時間管理を担う医療機関の総務課は,職種によらず全員の勤務時間を一覧で把握でき,行政機関による時間外労働などの監査への適切な対応をシステムにより支援。
- 労働時間だけでなく,これまで把握が難しかった院内における自己研鑽などを含む在院時間も時間管理画面で把握できる超過勤務管理オプションにより,医療従事者の労働時間をきめ細かく適正に管理でき,働き方改革関連法で求められる出退勤時間と実際の在院時間の乖離を防止。
- 看護師の勤務表作成を自動で行う自動勤務オプションを搭載しており,勤務間のインターバルを確保できていないシフト勤務者を漏れなく抽出の上,適切にシフト調整が可能。
2.医療従事者の経歴や能力を可視化し,院内全体のリソースを最適に運営
- 個々の医療従事者の免許や資格などの経歴情報を記録できる職員管理オプション,および看護師の看護実践能力を段階的に示すクリニカルラダー(注3)を活用した目標管理オプション,院内外の教育受講情報などを一元的に管理可能な教育管理オプションを搭載。
- 医療従事者の経歴や能力を可視化することにより,タスクシフトやタスクシェアを検討しやすくなるなど,院内全体の最適なリソースマネジメントの推進を実現。
3.打刻の乖離や時間外超過などを看護師や医師,労働管理者に速やかに通知
- 出退勤打刻のエラー情報や時間外などを,看護師や医師一人ひとりに,メニュー画面からお知らせする労働時間管理オプションを搭載。これにより,例えば,実際の勤務時間と打刻時間の乖離や,月間や年間の時間外超過などの本人や管理者が気づきにくかった実態をリアルタイムに通知することで,自身で労働時間管理をしやすくなり,時間外申請の漏れなどを防止できるほか,労働時間管理意識の向上につなげることが可能。
●「TIME CREATOR ヘルスケア」の特長
1.医療従事者の勤務状況をスコア化し,ランキング形式で確認可能
「HOPE タイムリフォーマー」から得られる医療従事者それぞれの勤務や時間外労働の状況をスコア化。例えば,時間外労働が基準値を超えている,実際の勤務時間と打刻時間との乖離件数が多い,連続勤務時間が長い,インターバルが短いなどの場合にスコアが減点されるなど,勤務状況を分かりやすく数値化。本スコアをもとに,院内の医療従事者全員を月間や年間でランキング表示でき,医療従事者が自身の働き方を客観的に確認することが可能。
2.電子カルテ(注4)端末などの利用時間と勤怠管理情報の乖離を表示
「HOPE タイムリフォーマー」から得られる勤務予定や残業申請,勤務実績などの勤怠情報と電子カルテ端末などの使用実績データを連携させ,勤怠情報と端末使用時間の乖離を一覧で表示。これにより,医療従事者の時間外労働の実態を正確に把握し,労働時間の適正な管理を実現。
●今後について
同社は今後,同社グループがもつ様々なサービスや機能を結集し,24時間365日をシフトで勤務する看護師や医師特有の勤務形態にきめ細かく対応したサービスを拡充し,医療従事者の労働時間の課題解決や働き方改革を豊富なラインナップで強力にサポートしていく。
注1
富士通Japan(株):
本社 東京都港区,代表取締役社長 広瀬 敏男
注2
(株)富士通エフサス:
本社 東京都品川区,代表取締役社長 小林 俊範
注3
クリニカルラダー:
看護師の看護実践能力の評価制度
注4
電子カルテ:
同社製品では「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE EGMAIN-GX」が対象(2021年3月時点)
●問い合わせ先
富士通コンタクトライン(総合窓口)
TEL 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・同社指定の休業日を除く)