2020-10-29
- FreeStyleリブレで記録された全グルコースデータを,紙や電子記録でやり取りせずに,安全なクラウドシステムを介して医療従事者と共有可能に
- 新型コロナウイルス感染症流行下で患者が病院への定期訪問に慎重になっている場合でも,医療従事者は最新のデータに基づく患者指導や診療が可能に
- グルコースデータを経時的に参照することで,患者の健康状態に基づいたより適切な糖尿病管理を支援
アボットジャパン合同会社(以下,アボット)は,クラウドベースの糖尿病患者データ管理システム「リブレ View」を,糖尿病患者及び医療従事者向けに提供開始した。日本国内で「FreeStyleリブレ」を利用している全ての糖尿病患者および医療従事者は,グルコースデータを紙や電子記録でやり取りせずに,クラウド上でデータ共有を行う「リブレ View」を利用できるようになった。
糖尿病患者が医療機関への受診に慎重になっている現在の状況下において,リブレViewを利用することで,医師や看護師が患者のグルコースデータを参照することが可能となり,長期的な血糖の推移や傾向について患者と話し合うことができる。糖尿病患者は,ノートパソコンなどのデバイスから,FreeStyleリブレのリーダーに記録された全グルコースデータをクラウドベースのリブレViewシステムにアップロードすることが可能となる。また,国際規格ISO 27001に準拠したクラウドベースのシステムであるため,患者と医療従事者双方の安全なデータ管理を実現する。患者は,グルコースデータを印刷して持参する必要がなくなり,医師に自身のデータへのアクセスを許可するか,もしくはグルコースデータを電子メールで送信するかを選択できる。
データに基づく診療・指導が容易となり,オンライン診療にも寄与
対面診療による新型コロナウイルスの感染機会削減のため,4月からオンライン診療の導入が進んでいる。東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授の西村 理明氏は次のように述べている。「良好な血糖コントロールを維持することで,糖尿病の重症化を防ぎ,予後を改善することができます。今後は,デジタルデータを積極的に活用し,医療従事者が患者さんの糖尿病の管理状況についての詳細なデータにアクセスしつつ,オンライン上で糖尿病患者への医学的な指導を行うなど,診療のオプションを増やさざるを得なくなると考えています。リブレViewでは,過去のグルコースデータの測定値について比較・参照することができるため,医療従事者は詳細な情報を把握して,患者さんをより適切にフォローすることが可能になります。」
医療従事者による,複数の患者データの効率的な管理を支援
リブレViewは複数の患者のグルコースデータの一元管理が可能。主要な機能は,TIR(Time in Range)やAGP(Ambulatory Glucose Profile,血糖トレンド),日々のグルコース変動などの主要指標の一覧表示である。よって,医師は更なるモニタリングと支援が必要となり得る患者を優先して治療することができる。
アボットジャパン合同会社 ダイアベティスケア事業部 ジェネラルマネージャーのキャロライン・ジョンソン氏は次のように述べている。「アボットは,糖尿病の科学および治療の発展に寄与し,推定一千万人と言われる日本の糖尿病患者が充実した生活を送れるよう取り組んでまいります。リブレViewは,患者さんと医療従事者の双方にとって,データに基づくより良い糖尿病管理を実現する重要な役割を担うと同時に,世界50カ国以上で250万人を超える人々に使用されているアボットのFreeStyleリブレ等糖尿病関連製品に,新たな価値を付加するものと考えています。」
リブレViewについて
リブレViewは,FreeStyleリブレなどの持続グルコース測定器で記録した患者のグルコースデータをクラウドに保存することで,患者と医療従事者間でのデータ共有が可能となり,また複数の患者の一元的なデータ管理や様々なレポートが入手できる,新しいクラウドベースの糖尿病患者データ管理システム。情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格ISO 27001にも準拠した形で安全なデータ管理を実現する。詳しくはWebサイトを参照。
リブレView ウェブサイト https://www.libreview.com/
FreeStyleリブレについて
アボットのFreeStyle リブレは,持続グルコース測定技術を用いたデバイスであり,50カ国以上で250万人以上の人々が使用している。日本では2016年5月に製造販売承認を取得し,2017年1月に発売された。現在FreeStyleリブレは,1型・2型等の病型を問わず「入院中の患者以外であって,強化インスリン療法を行っているものまたは強化インスリンを行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用しているもの」を対象に血糖自己測定器加算「C150 7」が適用されている。また,その他のインスリン療法を施行中の患者がFreeStyleリブレ使用する際には,月当たりの血糖自己測定(SMBG)回数を基に,血糖自己測定器加算「c150 1-6」が適用される。
糖尿病に関して
糖尿病は,インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群。糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者),および糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)はそれぞれ約1,000万人と推計されている[1]。糖尿病有病者および治療を受けている人の内,血糖コントロールを行っているのは約5割程[2]。糖尿病の3大合併症としては,網膜症,腎症,神経障害が挙げられる[3]。3大合併症に加え,糖尿病との関連が指摘されている疾患も存在する(例:認知症[4],がん[5])。これらのリスクおよび社会的な影響も考慮し,糖尿病の予防および必要な対策をとることはとても重要である。
脚注
[1]「国民健康・栄養調査(平成29年)」(厚生労働省)
[2]「一般社団法人糖尿病データマネジメント研究会 基礎集計資料(2018年度)『4. 糖尿病のHbA1cヒストグラム』」より,HbA1c平均値7.0%未満の患者割合を抜粋
[3]「健康日本21(糖尿病)」(厚生労働省)
[4] 小原知之・医学博士,清原裕・医学博士,神庭重信医学博士,「地域高齢住民における認知症の疫学:久山町研究」
[5]日本糖尿病学会・日本癌学会 糖尿病と癌に関する委員会:糖尿病と癌に関する委員会報告. 糖尿病56(6): 374-390. 2013
●問い合わせ先
アボットジャパン合同会社
https://www.abbott.co.jp/