2020-8-28
(株)アルムは,米州開発銀行(The Inter-American Development Bank)グループのラボラトリーであるIDB Labが支援する中南米・カリブ海地域におけるCOVID-19対策プロジェクトの一つとして,アルムが提案した「既存の脳卒中ケア用デジタルヘルスソリューションでCOVID-19への対応を強化するための国境を越えた遠隔医療(原題:“Cross-border Telemedicine to Strengthen Responses to COVID-19 with an Existing Digital Health Solution for Stroke Care”)」(以下,本事業)が採択され,契約締結が完了したことを発表した。本募集には,500件超の応募があり,最終的に20件が採択され,アルムはアジアの企業で唯一採択された。
【中南米地域のCOVID-19感染拡大】
IDB Labは,中南米地域における貧困層およびぜい弱層のさらなる社会的包摂を促進することを目的として,ラテンアメリカ・カリブ海地域の人々の生活水準向上に向けた,革新的な開発支援アプローチのために開発資金およびノウハウを提供している。(IDB Labには世界40ヶ国が加盟しており日本は最大の資金拠出国。)
世界中で感染拡大が確認されているCOVID-19は,中南米地域においても急速に感染が広がっており,冬の到来により広がりが加速しているため,現地での真冬に当たる8月から春先の10月ごろにかけてピークを迎える可能性が高いと考えられるため,早急な感染対策が求められている。
【COVID-19対策プロジェクトについて】
ブラジルのサンパウロ大学(USP)に併設されたサンパウロ州北部リベイラン・プレト市の公立病院を基盤に実施する本パイロット事業に対し,IDB Labは15万米ドルの資金を拠出し,アルムが主要なソリューション提供者となる。本事業は,アルムが開発・運用する医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を活用し,ブラジルにおけるCOVID-19のほか脳卒中等の専門医療が必要な診療領域の遠隔診療プラットフォームの構築・実証を目的としている。この実証では,Joinを活用した医師(専門医)対医師の遠隔診療環境を構築し,COVID-19を含む感染症全般をはじめ,脳梗塞や心筋梗塞といった急性期循環器疾患の患者の早期診断,容態に応じた適切な医療機関への搬送,専門医による臨床現場向けコンサルテーション等を実現する。これにより,急激な感染拡大を続けるブラジルにおいて,特に医療資源が乏しい小規模な都市や農村部における遠隔診療による診断や治療の標準化や,不必要な患者搬送の削減による医師の感染リスクの低減など,ウイルスの拡散抑制の効果を実証する。また,その実証結果を踏まえつつ,中南米全域の展開を目指す。
【Joinが評価された理由】
本事業は,ブラジルのサンパウロ大学(USP)に併設されたサンパウロ州北部リベイラン・プレト市の公立病院 Hospital das Clinicas de Ribeirao Preto を中心に,主要病院と小規模な医院・診療所をつなぐ共同ネットワークを形成することで実施する。ブラジルでは既に16病院に導入され,今後約40病院に新規導入を予定している。また日本からは,国立大学法人 旭川医科大学(北海道旭川市)がJoinを介して,CT画像を用いた各症例の解析支援や初期診断のためのチートシートの提供など,日本における診療で習得した基礎知識の共有,支援も行う。本事業の採択にあたっては,脳梗塞等の治療でブラジルにおいても実績のあるJoinをベースとすることで早期に立ち上げが可能である点や,日本で既にJoinが広くCOVID-19対策に有効活用されており,日本の知見や経験も活用できる点が高く評価された。
IDB Labのイレネ・アリアスCEOは以下のようにコメントしている。
「現地におけるCOVID-19の感染拡大が続いており,一刻も早くソリューションが稼働し大きな成果が得られることを期待しています。」
■Joinについて
(株)アルムが開発・提供する,医療関係者がセキュアな環境でコミュニケーションをとることができるアプリ。標準搭載されたDICOMビューワーで医用画像を閲覧,チャットに共有することで,夜間・休日などに院外にいる医師へのコンサルテーションツールとしての活用や,救急患者の転院の際の病院間連携・情報共有などに利用されている。日本ではじめて保険収載されたプログラム医療機器。
(販売名:汎用画像診断装置用プログラム Join)
●問い合わせ先
(株)アルム
https://www.allm.net/