2020-4-2
富士フイルム(株)は,超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオアクロ)」*2の新たなオプションとして,AI技術を用いて開発した「手術用ガーゼの認識機能」を,富士フイルムメディカル(株)を通じて5月1日に発売する。
手術用ガーゼの認識機能は,国内の病院の協力を得て開発した*3。X線画像に映った外科手術に使用する手術用ガーゼを認識してマーキングすることで,術後の患者体内のガーゼ遺残有無の確認をサポートする。
外科手術では,一般的に,使用したガーゼが術後に体内に残っていないかを確認するために,手術前後にガーゼの数を数えて,カウント数が一致しているかを確認する。さらに,術後には手術室内で使用できる移動型のX線撮影装置で撮影したX線画像を目視で確認し,ガーゼ遺残の有無を確認する。手術用ガーゼには造影糸が織り込まれており,X線画像ではそれを目視して確認するが,X線画像に映る造影糸は白くて細いため,骨と重なってしまう場合などは確認しづらく,遺残が発生することがある。術後のガーゼ遺残は重大な事故であり,合併症や感染等のリスクがあることから,医療機関ではガーゼの見落としを防ぐ仕組み作りを進めるとともに,本対策をサポートする技術へのニーズが高まっている。
今回発売する「手術用ガーゼの認識機能」は,富士フイルムの画像認識技術と,AI技術のひとつであるディープラーニングを用いて設計しており,手術において最も体内遺残件数の多いガーゼの可能性がある陰影をX線画像中から認識し,その位置をマーキングする機能。一般に,AI技術を活用した画像認識機能の開発にはたくさんの良質な学習データが必要だが,ガーゼが体内に残存しているX線画像は大量には存在しない。富士フイルムは,長年培ってきたX線画像処理技術にAI技術を組み合わせることによって,少ない学習データでもガーゼの認識性能を高めた機能を開発した。本機能を提供することにより,外科医の術後X線画像確認をサポートし,ガーゼ遺残の発生の低減を目指す。
「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオアクロ)」は,救急や集中治療室など,スペースが限られる医療現場での円滑なX線撮影を実現する超軽量移動型デジタルX線撮影装置。特に清潔性が求められる環境での使用を想定し,検査中に撮影者がよく触れる操作パネルとX線照射スイッチを,銀系抗菌剤を含有した独自の抗菌コート技術「Hydro Ag」でコーティングしており,衛生的に使用することができる。さらに,操作パネルは凹凸が少なく,X線発生機と本体部とを結ぶアームからはケーブル類の露出がないため,汚れを拭き取りやすいデザイン。集中治療室においては,人工呼吸器や生体情報モニターなど医療機器が多く配置され,多くの医療従事者で混み合った環境下での迅速な検査が求められる。カルネオアクロは,総重量90kgと軽量化を実現し,その場での回転や任意方向へのスライドなど術場での小回りが利くように最適化されており,2016年11月に発売以来,ベッドサイドや術場で使用できる移動型X線撮影装置として多くの医療機関に好評を得ている。
今回,カルネオアクロに,「手術用ガーゼの認識機能」を搭載することで,医療従事者の作業負荷軽減に寄与する。
*1 AI技術のひとつであるディープラーニングを設計に用いた。導入後に自動的にシステムの性能や精度が変化することはない。
*2 販売名:富士フイルム DR-XD 1000/認証番号:第228ABBZX00132000号
*3 長崎大学病院より評価用画像を提供。
●機能名称
FUJIFILM DR CALNEO AQRO 手術用ガーゼの認識機能*4
*4 「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」のオプション機能として提供。
(販売名:富士フイルム DR-XD 1000/認証番号:第228ABBZX00132000号)
●主な特長
(1)「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」上で画像認識処理が可能
「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」上で画像認識処理を行い,ガーゼ陰影の有無や枚数の結果を操作パネル上に表示するため*5,短時間で画像確認が可能。
*5 すべてのガーゼの認識を保証するものではない。X線画像の目視を含めた総合的な最終確認が必要。
(2)処理結果画像は他の医療ITシステムへ転送が可能
画像認識の処理結果は院内の他の医療ITシステムに転送可能なため,医用画像情報システム(PACS)や病院情報システム(HIS)で画像の確認・管理を行うことができる。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
営業本部 マーケティング部
TEL 03-6419-8033
https://www.fujifilm.com/