2020-3-2
搭載イメージ
オリンパス(株)は,大腸内視鏡画像※1をディープラーニング※2による人工知能(AI)で解析し,内視鏡検査中に病変が映っているかを推測することで医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を2020年5月下旬から国内で発売予定。本製品は内視鏡における病変検出用AIとして国内で初めて薬機法承認を得た製品である。
本ソフトウェアは,昭和大学横浜市北部病院,名古屋大学大学院,サイバネットシステム(株)により,AMED※3支援のもと研究開発された。臨床性能試験を経て,サイバネットシステムが2020年1月24日に医薬品医療機器等法の製造販売承認を取得し,オリンパスはサイバネットシステムから国内における独占販売権を取得した。
オリンパス社製の大腸内視鏡画像をAIが解析し,検査中にリアルタイムでポリープなどの大腸病変などを高精度※4に検出することで医師をサポートする。
※1 オリンパス社製の汎用大腸内視鏡(EVIS LUCERA ELITEシリーズ/ハイビジョン画質以上)による画像
※2 多量の学習データを与えることでAI自体がそのデータの特徴を見出し,分類することが可能なAIの一種
※3 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
※4 臨床性能試験による結果(感度95%,特異度89%)
●開発の背景
大腸がんは,国内がん死亡数第2位・罹患数第1位と,近年増加傾向にある。大腸内視鏡で早期がんや腫瘍性ポリープ※5を切除することで,大腸がんによる死亡を大幅(53-68%)に減らせることが報告されている。※6 医師は大腸内視鏡検査において,病変を見落とさずに検出し,検出した病変が腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープかを的確に判別し,腫瘍性ポリープを確実に切除する必要がある。
同社は2019年3月に「EndoBRAIN」を発売した。これは,検査中に同社製の超拡大内視鏡を用いて撮影した大腸病変をAIがリアルタイムで解析し,腫瘍性ポリープ・非腫瘍性ポリープの可能性を数値で示すことで,医師によるポリープの判別を補助する疾患鑑別用の内視鏡画像診断支援ソフトウェア。
今回発売する「EndoBRAIN-EYE」は,検査中の大腸病変の見落とし防止をサポートするため開発された病変検出用内視鏡画像診断支援ソフトウェア。大腸内視鏡画像をAIが解析し,病変候補を検出すると警告を発することで,医師による病変の発見を補助する。「EndoBRAIN-EYE」と「EndoBRAIN」により,大腸内視鏡検査における病変の検出から鑑別までの一連の工程をAIが支援し,内視鏡検査に携わる医療従事者の負担軽減を目指す。
※5 早期がんや前がん病変であり,切除する必要のあるポリープ
※6 参考文献:Zauber et al. N Engl J Med 2012, Nishihara et al. N Engl J Med 2014
●主な特長
1.大腸病変の検出を自動で行い,リアルタイムでの検査支援を実現
大腸内視鏡検査中の画像をAIが解析し,ポリープ・がんなどの病変候補を検出するとリアルタイムで音と画面上の色で警告する。設計上,あえて発見した病変候補の画面上の位置まで特定することはせず,音と画面上の色によって医師に警告を発するにとどめている。病変の発見を支援しつつ,最終的な診断を医師の診断に任せることで,医師の診断に寄り添った設計になっている。本製品は,動画より抽出した約395万枚の内視鏡画像をAIの一種であるディープラーニングに基づき学習を行い,臨床性能試験では感度95%,特異度89%の病変検出精度を達成した。
2.同社製の汎用大腸内視鏡で使用可能
本製品は,同社製の汎用大腸内視鏡(EVIS LUCERA ELITEシリーズ/ハイビジョン画質以上)と組み合わせて使用することが可能。既に大腸内視鏡検査を行われている施設は,本製品を導入するだけで,容易にAIの支援を得ることが可能である。
●問い合わせ先
オリンパス(株)
https://www.olympus.co.jp/