2019-7-1
キヤノンメディカルシステムズ(株)は,AI(ディープラーニング技術)を用いて設計したノイズ除去再構成技術「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」を世界で初めて搭載した3テスラMRI装置「Vantage Centurian」(ヴァンテージ センチュリアン)の国内販売を7月1日より開始する。本製品は,AiCEに加え,傾斜磁場性能を強化したハイエンドクラスの3テスラMRI装置。
同社は,3テスラMRI装置 Vantage Galan 3T / ZGO(以下ZGO)と,ディープラーニングによるノイズ除去再構成技術を融合させた画質評価を,2018年3月から順次,国内外の複数の大学と進めてきた(注1)。このノイズ除去再構成技術は,単に画像を高分解能で撮像できるだけでなく,従来検査では困難であったさらに高分解能な撮像を短時間で行なうことが可能となるため,これまで以上の高分解能撮像の臨床検査への適応とその有用性に,共同研究施設より高い評価を得た。
Vantage Centurianは,ZGOのハードウェアを継承しブラッシュアップした装置で,AiCEに加え,新しい圧縮センシング応用技術「Compressed SPEEDER」をはじめとする撮像の高速化技術を搭載し,高画質化と高速化をこれまでにない高い次元で両立する。日常検査において,高磁場MRIのような高分解能の画像診断が可能になり,高い臨床的価値を提供するとともに,検査時間の短縮化により患者さんの検査負担を軽減する。さらに高いスループットを実現し病院経営にも貢献する。
同社は最新の技術を応用することで,より質が高く,効率の良い医療の提供の実現を今後も目指していく。
●新製品の主な特徴
(1)高画質を実現する傾斜磁場コイル
新たに開発した傾斜磁場コイルは,その高い傾斜磁場強度によって,特に脳神経領域で多用される拡散強調画像の大幅な画質向上を提供する。また,撮像条件設定の自由度が向上することでワークフローの改善,体動などの動きの影響を低減する。さらに,ハイパワーでありながら,画質の低下につながる発熱量や渦電流を大幅に低減(注2)するなど,安定した高画質を提供する。
(2)高精細を実現するノイズ除去再構成技術「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」
AiCEは同社CT装置にいち早く製品搭載(注3)されている技術で,分解能を維持したままノイズを選択的に除去することができる次世代再構成技術。世界で初めてMRIに搭載した。
ディープラーニングによって,ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性を予め解析しモデル化させることで,新たに得られた画像からノイズ成分のみを選択的に除去することができる(図1)。これにより,高分解能画像の短時間収集が可能となり,限られた臨床検査の時間内でより高精細な画像を提供できるようになる。
(3)画質劣化を最小限に抑える高速撮像技術「Compressed SPEEDER」
新たに搭載したCompressed SPEEDERは,パラレルイメージング法と圧縮センシング法を組み合わせた高速撮像法。従来の圧縮センシング法の課題であった,2D撮像下の画質劣化を抑え,高速化を可能にする。さらにAiCEとの組み合わせにより,高画質化と高速化をこれまでにない高い次元で両立する。
(注1)ニュースリリース「キヤノンメディカル,熊本大学とボルドー大学でMRI撮像へのディープラーニング適応の研究を開始」
https://jp.medical.canon/News/PressRelease/Detail/21929-834
(注2)発熱量55%低減,渦電流を60%低減(同社従来比)
(注3)2018年4月10日ニュースリリース2017年,Aquilion Precisionに搭載
https://jp.medical.canon/News/PressRelease/Detail/26377-834
2018年11月12日ニュースリリース,Aquilion ONE /GENESIS Editionに搭載
https://jp.medical.canon/News/PressRelease/Detail/35962-834
●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
https://jp.medical.canon