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富士フイルム,内視鏡スコープの新工場を建設,AIやIoT技術を活用したスマート工場により生産能力を倍増

2019-5-28

新工場外観(イメージ図)

新工場外観(イメージ図)

富士フイルム(株)は,同社内視鏡製品の生産拠点である富士フイルムテクノプロダクツ(株)佐野工場内に,AIやIoT技術を用いることで生産効率を大幅に高めた新工場を建設し,今年9月より本格稼働させる。新工場では,波長の異なる2種類の光を用いた特殊光観察で,微小な病変の発見をサポートする同社の内視鏡システム「レザリオ」や「6000システム」に対応した内視鏡スコープを生産する。なお,本建設の投資額は約40億円で,同拠点での内視鏡スコープの生産能力を従来の2倍にする。

内視鏡は,体内を直接観察でき,患者の身体的負担が少ない治療が可能なことから,近年グローバルで需要が拡大している。同社は,臓器の粘膜表層の微細な血管や構造などを強調して表示する機能「BLI(*1)」や,画像の赤色領域のわずかな色の違いを強調する機能「LCI(*2)」などの画像強調機能を用いて,炎症の診断や,微小な病変の発見をサポートする内視鏡システム「レザリオ」や「6000システム」などを国内外に提供している。特に早期がんに特徴的な粘膜表層の微細血管などの変化の観察で,医療機関から高い評価を得ており,これら内視鏡システムとスコープの需要が,グローバルで急増している。

内視鏡スコープは,患者の体内に挿入し,検査・治療を行うという特性上,製造には微細で高精度な加工技術が求められる。また,操作性や挿入性,耐久性など多岐にわたる性能を持たせることから,その製造工程は非常に複雑です。急増する需要に対応するためには,生産能力の向上が必要だが,微小なレンズの取付作業や,内視鏡映像のピントや色などの目視検査など,熟練者のノウハウや卓越した技能が求められるため,生産効率を大幅に上げることが非常に困難であった。

今回新設する内視鏡スコープの生産工場は,工場内の人やモノの動き,設備状態をIoTで管理する最新のスマート工場。これまでシステムで管理していた作業工数,製造・検査の記録,部品在庫などのデータに加えて,工場内のさまざまな箇所に配置したセンサーで,設備の稼働状況,作業員の動線などの情報を取得し,一つのプラットフォームに集約。設備の故障予知,生産進捗などの状況を,リアルタイムかつ統合的に把握することで,効率化に向けた分析・改善サイクルの高速化を実現する。また,熟練者が目視検査している内視鏡映像の判断基準をAIに学習させて,映像検査工程を自動化することで,検査工数を大幅に削減する。さらに,熟練者の作業をビデオカメラで撮影し,センサーで得られた補助情報と重ね合わせてスマートグラス(*3)に映すなど,現場作業を支援することで,作業の大幅な効率化と安定品質を両立する。このスマート工場の新設により,グローバルで拡大する内視鏡市場に,迅速かつ安定的に高品質な製品を提供できる体制を構築し,内視鏡事業をさらに強化する。

*1 「Blue Light Imaging」および「Blue LASER Imaging」の略。
*2 「Linked Color Imaging」の略。
*3 眼鏡型のウエアラブル端末。拡張現実(AR)技術により,現実の風景に実在する風景にバーチャルの視覚情報(文字や 映像)を重ね合わせて表示する。

<新工場の概要>
名称:富士フイルムテクノプロダクツ N-1工場
所在地:栃木県佐野市小中町700
総投資金額:約40億円
生産品目:内視鏡スコープ
総延床面積:11,275m2(鉄骨,地上2階建)
竣工時期:2019年6月末
稼働開始時期:2019年9月

 

●問い合わせ先
富士フイルム(株)メディカルシステム事業部
TEL 03-6447-5100
https://www.fujifilm.co.jp/

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