2018-6-18
PHCホールディングス(株)の100%子会社である,PHC(株)(以下「PHC」)は,特定非営利活動法人 日本医療ネットワーク協会と医療データ連携に関する業務委託契約を締結した。日本医療ネットワーク協会は,京都大学と宮崎大学の吉原博幸名誉教授や宮崎大学の荒木賢二教授をはじめとして,複数の大学や医療機関の関係者が役員として活動するNPO法人。本契約は,同協会が推進する医療情報の収集と利活用に関する研究事業「千年カルテプロジェクト(*1)」において開発された医療データベース「千年カルテ」とPHCの電子カルテシステムを接続し,医療情報を安全かつ適切に二次利用できる仕組みの実証実験を目的とするものである。
今年5月11日に施行された次世代医療基盤法(*2)によって,医療機関などが提供した患者の医療情報が匿名加工のうえ,大学などの研究機関や企業の創薬,医療機器開発およびその治療効果や評価などに関する大規模な研究などに活用できるようになった。今回の契約に基づく実証実験では,医療機関の参加を募り,患者から同意を得た上で,PHCの電子カルテシステム上の医療データを「千年カルテ」へ連携する。「千年カルテ」に蓄積された医療データは,地域を超えて患者が安全にアクセスできるとともに,次世代医療基盤法に沿った形で二次利用することを目指す。
PHCは,「医療機器」「ヘルスケアIT」「ライフサイエンス」の3つの事業をコアとして,より付加価値の高い製品・サービスの提供に努めている。ヘルスケアIT事業では,1972年に日本で初めて医事コンピューターを発売して以来,蓄積された経験と知識を活用し,医療情報システム分野において医療IT業界をリードする製品を提供している。特に,一般診療所において,PHCの電子カルテシステムは国内トップシェアを誇る(*3)。これまでは,大学病院等の規模の大きい病院の医療情報を二次利用の対象としたが,本契約の締結によって,日々の診療や在宅医療を担う診療所における医療情報の収集と二次利用を安全かつ適切に行うことで,医療や研究開発の質の向上につなげることが可能となる。
PHCにてメディコム(*4)事業部長を務める大塚孝之氏は「当社は,主力製品である電子カルテシステムを核に,次世代の医療ソリューションプラットフォーマーを目指しています。このたびの日本医療ネットワーク協会との提携を機に,今後,国に認定される認定匿名加工医療情報作成事業者(認定事業者)とのデータ連携はもちろん,当社の保険薬局支援システムや保健指導支援システムの連携も視野にいれ,PHCのインフラを幅広く活用することで,医療分野の研究開発の促進と,より質の高い医療の実現に貢献していきます。」と述べている。
尚,PHCの電子カルテシステムと千年カルテとのデータ連携に際しては,2018年度に地域を限定して複数の医療機関で実証実験を行う。対象となる医療機関については,今後,募集を行う予定。
(*1):2015年にAMED研究公募事業として採択された全国共同利用型国際標準化健康・医療情報の収集及び利活用に関する研究事業。国内で別々に稼働している医療データベースサイトを,新しく開発・設置する共同利用型医療情報連携基盤(「千年カルテ」)センターに集約し,データ保存規格を統一することで,データの安全性を確保するとともに運営経費の低減を図る。「千年カルテ」とは,日本医療ネットワーク協会が開発および運営する医療データベースで,個人の医療や健康などにかかわるさまざまな情報を蓄積し,参照・活用・共有などを行う医療情報連携基盤のこと。この活用を推進することで全国どこでも患者が自分の医療情報にアクセスできるようにするとともに,集積したデータを次世代医療基盤法に則って公正・安全に二次利用できる仕組みを構築し,医療の質の向上や医薬品の研究開発などにつなげることを目標とする。
(*2):医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律。医療機関などが取り扱うデータを認定事業者が収集および特定の個人を識別できないよう匿名加工し,個人の権利利益の保護に配慮しながら,その利活用を促すことが目的。個人情報の提供に際しては,あらかじめ本人に対して個人データを第三者に提供することを通知するか,本人が知りえる状態にし,本人が反対しない限り同意したものとみなした上で,第三者に情報提供する「オプトアウト」という手続を踏む。
(*3):出典:株式会社矢野経済研究所「2017年版医療情報システム(EMR・EHR)市場の将来展望」
(*4):PHCにおけるヘルスケアIT製品のブランド名。
●問い合わせ先
PHCホールディングス(株)
IR・広報部
岡田 昌代
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