2017-8-31
富士フイルムホールディングス(株)は,2019年度を最終年度とする2017~2019年度の中期経営計画「VISION2019」を策定した。「VISION2019」では,これまでの事業構造転換で確立した強靭な経営基盤から生み出す利益を効率的に活用して充実させた事業ポートフォリオを,各事業のさらなる深化でより強固なものとし,持続的な成長を実現していく。
現在,富士フイルムグループは,コーポレートスローガン「Value from Innovation」の下,世の中にあるさまざまな社会課題を解決することが同社の事業成長の機会であると捉え,社会課題解決のための新たな価値創出に積極的に取り組んでいる。さらに,新たに策定したCSR計画「FUJIFILM Sustainable Value Plan 2030」を推進し,革新的技術・製品・サービスで社会課題の解決に持続的に取り組むことで,よりよい社会の実現に向けて変革をリードする企業を目指す。
今回策定した「VISION2019」では,イメージング・インフォメーション・ドキュメントソリューションに属する各事業を,「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置付けた。現在の各事業のステージを明確化し,(1) 各事業の収益力の向上による,キャッシュの安定的創出,(2) 主要事業の成長加速による,売上・利益の拡大,(3) 未来の柱となる収益貢献事業の育成,を推進。各事業を深化させ,より強固な事業ポートフォリオを実現することで,戦略的飛躍へと繋げていく。また,既存事業で築いた海外販売基盤の強化を進めつつ,ヘルスケア製品や新規高機能製品などの海外展開を加速させて,さらなる成長を図る。
これらの取り組みにより,計画の最終年度である2019年度に,売上高を2兆6,000億円とし,営業利益2,300億円,同社株主帰属当期純利益1,500億円と,いずれの利益も過去最高を達成する計画。さらに,株主還元を強化し,2017~2019年度の3年間で,配当と自社株買いを通じて3,000億円を株主に還元する。これにより,株主資本利益率(ROE)を2019年度に7.3%まで引き上げる。また,戦略的なM&Aを行う投資枠として3年間で5,000億円を設定し,さらなる売上・利益の成長を目指す。
●中期経営計画「VISION2019」の概要
1. 目指す姿
これまでに確立した,中長期的に安定成長できる事業ポートフォリオを,各事業のさらなる深化でより強固なものとし,さまざまな社会課題を解決することで持続的成長を図り,よりよい社会の実現に向けて変革をリードする企業を目指す。
2. 業績目標
2019年度 売上高 2兆6,000億円
営業利益2,300億円,同社株主帰属当期純利益1,500億円(いずれの利益も過去最高)
株主資本利益率(ROE)7.3%(2020年度にROE8%を目標)
3. 計画内容の骨子
(1)さらに強固な事業ポートフォリオによる事業成長の加速
イメージング・インフォメーション・ドキュメントソリューションに属する各事業を,「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置付け,以下を推進。
<1> 各事業の成長戦略の推進により,収益力を向上し,安定的にキャッシュを創出する(「収益力の向上」)
<2> 主要事業での成長を加速し,売上・利益を拡大させる(「さらなる成長の加速」)
<3> <1><2>で得たキャッシュを,未来の柱となる事業へ投資し,収益に貢献する事業に育成する(「未来を創る投資」)
これらにより,各事業を深化させ,より強固な事業ポートフォリオを実現することで,事業成長を加速。また,既存事業で築いた海外販売基盤の強化を進めつつ,ヘルスケア製品や新規高機能製品などの海外展開を加速させて,さらなる成長を図る。
(2)株主還元の強化
2017~2019年度の3年間で3,000億円の株主還元策を実施(配当1,000億円,自社株買い2,000億円)。
(3)戦略的なM&A投資
2017~2019年度の3年間で5,000億円を投資。これにより,さらなる売上・利益の成長を実現。
4. ヘルスケアの具体的な施策
2019年度目標 売上高5,000億円,営業利益400億円,営業利益率8%
(1) 医薬品・バイオCDMO
バイオ医薬品のCDMOでは,設備投資・技術開発により生産能力をさらに拡大し,スケールメリットによる収益力強化で事業成長を加速。総需の伸びを上回る年率2桁増の売上成長を目指す。
新薬開発では,がん,アルツハイマーなどアンメットメディカルニーズが高い領域をターゲットとし,効率的な研究開発を進める。アルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」をはじめとしたパイプラインの開発をさらに推進。
マイクロニードル,リポソームなど当社独自技術を活用した製剤化技術の実用化に向けた取り組みを加速。
(2) 再生医療
創薬支援事業ではiPS細胞由来分化細胞のラインアップ拡充,細胞治療では自家培養表皮・軟骨の拡販を進め,事業拡大を加速。
最先端のiPS細胞を用いた再生医療製品では,眼疾患や心疾患,神経疾患,がんを対象に研究開発を加速。
培養受託事業の拡大,培地事業のグローバル展開を推進。
(3) メディカルシステム
X線画像診断装置,内視鏡,超音波診断装置,体外診断システムなど他社にない医療機器ラインアップ,競争優位性の高い医療IT,さらにこれらをあわせた総合力を活かして,顧客へのソリューション提案を強化。新興国市場のニーズにマッチした製品・サービスの提供により,年率7%の売上成長を実現。
医用画像データなどを最大限活用した医療ICTビジネスを推進。
(4) ライフサイエンス
最上位シリーズ「アスタリフト イン・フォーカス」の展開によるブランド強化。新規顧客の獲得と既存顧客の単価アップを図る。
成長が見込まれる生活習慣病予防,エイジングケアなどの市場をターゲットに機能性表示食品を投入。
●問い合わせ先
富士フイルムホールディングス(株)
http://www.fujifilmholdings.com/