2016-10-18
川崎市内の国内製造拠点の造形機と
3Dプリントで製造される骨モデルの例
3Dプリント用ソフトウェア,ならびに工業・医療用の高度な3D造形サービスを提供するマテリアライズは2016年10月18日,川崎市内に医療用3Dプリント製造拠点を新設したことを発表した。
ISO13485取得済みの品質管理システムを持つこの施設は,整形外科・形成外科手術用の患者適合型サージカルガイドと骨モデルを大手医療機器メーカー向けに3Dプリンターで製造。
これにより,患者一人ひとりに合わせて設計された患者適合型のガイドと骨モデルの国内供給が可能になった。
患者適合型サージカルガイドは,個々の患者の医療データに基づいて設計されるカスタムメイドの医療機器。当該拠点で製造可能な患者適合型サージカルガイドは,術前計画に基づきインプラントの位置決めを補助したり,骨切りやドリリングに最適な位置,角度,深さなどの決定を補助し,手術の複雑さ低減に役立つ。
今回オープンした国内製造拠点の品質管理システムはISO13485取得済み。2009年よりマテリアライズベルギー本社にて開始した医療機器製造事業と同じく,国内新製造拠点でも自社製のソフトウェア群ならびに3Dプリントのノウハウを活用した生産管理体制を敷いている。更に本社と同一の品質管理システムを用いることで,ベルギーで3Dプリントしているものと全く同じ品質のサージカルガイドや骨モデルを国内生産し,顧客のもとへ届けられる。
患者適合型サージカルガイドの3Dプリントによる製造は,クリニカル・エンジニアと外科医が,患者のCTやMRIの二次元スキャンデータをもとに3Dプリント可能な立体モデルを作成することから始まる。この作業を可能にする3D視覚化,関連箇所のセグメンテーション(抽出),術前計画技術は,医療機関向けソフトウェア「Materialise Mimics Care Suite」の一部として世界各地で販売されているもの。またISO 13485の要求事項を満たすには,3Dプリントされた製品のトレーサビリティや品質再現性の確保が不可欠。マテリアライズは自社の3Dプリント品質管理用ソフトウェア「Materialise Streamics」を使用することでこの課題を解決した。工業用3Dプリント施設の運営にもその規模の大小を問わず用いられる同ソフトウェアは,同社の保有する140台以上の業務用3Dプリンターを一括管理し,3Dプリントによる製造工程の統括を可能にしているシステムでもある。
マテリアライズの日本支社,マテリアライズジャパン代表取締役,ヨウ・アンセウ氏は次のようにコメントしている。
「我々の3Dプリント,ソフトウェア開発分野における25年以上の経験を活かして日本のお客様をサポートできることを大変嬉しく思います。今回の国内製造施設オープンにより,3Dプリントの力を日本のお客様により近いところで提供でき,更なるサービス改善につなげられると考えています。またこれにより,日本市場における『3Dプリント関連産業のバックボーン』としての弊社の立ち位置がより強まるとも感じております」
マテリアライズCEO,ウィルフリード・ヴァンクラン氏は「生産能力,技術の幅,日本の臨床医の方々とその患者様のニーズに応える力,その全てを拡大できることに大きな喜びを感じます。当社が注力しているのは常に進化する臨床医のニーズに応えること,そして患者様一人ひとりに合わせて3Dプリントされたサージカルガイドがどんな利益をもたらすか,その理解を広めていくことです」と語っている。
●問い合わせ先
マテリアライズジャパン
TEL 045-440-4591
www.materialise.co.jp