2016-10-6
テクマトリックス(株)は,同社子会社である(同)医知悟が開発した技術をベースとして,ソフトバンク(株)と提携し,病理専門医による遠隔診断・コンサルテーションを支援する「遠隔病理プラットフォームサービス」(以下「本サービス」)を2016年10月から提供開始する。
上記に併せ同社は2015年5月に中国北京に設立した合弁会社である北京ヘルステック医療情報技術有限公司を通じて,中国国内での遠隔病理診断ネットワークの構築支援を対象とした提携契約を,北京大学と締結した。同契約には中国国内の病理ネットワークと,北京大学に集積された難解症例について,日本,米国の大学等の専門医療機関に連携する,国際病理コンサルテーションネットワークの構築支援が含まれる。
患者から採取された病変組織および細胞を顕微鏡で観察し,病状を判断する病理診断を行う専門医(以下「病理医」)は現在日本国内に約2,300名のみ。そのため多くの医療機関では,常勤病理医不在という深刻な問題に直面している。その一方で,医療機器やICT技術の発達により顕微鏡の画像のデジタル化,データ伝送の仕組みなどを用いることで,遠隔地にいる病理医に相談し専門性の高い判断を受けられるシステム環境の整備が進んでいる。
医知悟のシステムは,放射線領域を対象に2008年からサービスを開始しており,現在月間平均で18万検査を専門医のいない医療機関から,放射線画像診断の専門医に送信しており,国内でもトップクラスの実績を有する。医知悟では新たに病理分野に着目した技術開発を継続してきた。病理画像に固有の大容量データの高速な送受信,またメーカ毎にばらばらのデータ形式を統一の方法で送受信する技術開発を行い,病理対応版のシステムをリリースしている。
本サービスは,遠隔画像診断用の専用通信機器「iCOMBOX」を用い,医療機関同士がネットワークを介して連携することで,病理診断の対象となる画像や臨床背景情報を共有して,地域での病理コンサルテーション連携を実現する。さらに疑義照会や,医療機関間でのコンサルテーション報酬精算など,さまざまな業務支援機能を提供するプラットフォームサービスである。
医療機関は「iCOMBOX」を設置するだけで複雑な設定を行うことなく,大容量病理画像を相手先に安全に送信し,受診側の医師は院内データと同等の速度で病理画像を参照することが可能となる。病理医不在の医療機関の臨床医師は,本サービスを利用することで,高度な専門性を持つ病理医からのコンサルテーションを受けることが可能になる。また病理専門医は連携病院への出張や事務的な業務負荷が軽減され,地域の医療機関との効率的な連携が可能になる。
上記の提携により,同社(及び医知悟)は主に継続的な機能開発や技術サポートを担当し,ソフトバンクは顧客医療機関へのサービス販売,導入,運用支援を担当する。
●サービス概要
1.特長
(1)「iCOMBOX」の設置により医療機関間の連携システムを容易に構築することが可能。オリジナル画像の転送により,コンサルテーション受信側の施設でも高速で確実な画像参照が可能である。
(2)各社のバーチャルスライド装置※(病理画像デジタル化装置)に対応。依頼施設ごとに異なるデータ形式を統合的に管理対応することが可能になる。
※個別の機器対応状況については要問い合わせ。
(3)VPN通信※他,様々なセキュリティ対応により,安全な環境下で遠隔病理連携を実現。
※ブロードバンド環境は顧客側で用意。
2.利用分野
(1)保健医療機関間連携のインフラとして
(2)ひとり病理医の相互支援システムとして
(3)より高度な専門性(特定部位/臓器別等)への相互連携
(4)希少症例の地域の共有など
※同様の技術は専門医師不足という課題への解決策の1つとしても期待されている。
3.提供機能
(1)画像閲覧機能
(2)電子的診療情報提供書・レポーティング機能
(3)連携実績統計の集計(依頼件数統計,医師単位での件数集計)
(4)2次判断者への転送処理
(5)依頼の進捗確認機能(未送信,診断待ち,診断済,等ステータスの確認)
(6)疑義照会サポート,メッセージング機能
(7)部門システム連携機能(XML,CSV)
4.提供価格(税抜き)
初期費用:50万円(登録費用,「iCOMBOX」設置費用含む)
月額費用:1万円(「iCOMBOX」利用料)
プラットフォーム使用料:600円/依頼
5.概要イメージ
●問い合わせ先
(同)医知悟
TEL 03-4405-7862
http://www.ichigo-llc.co.jp
テクマトリックス(株)
TEL 03-4405-7800
https://www.techmatrix.co.jp