2016-6-10
ゲティンゲグループ・ジャパン(以下ゲティンゲ社)とGEヘルスケア・ジャパンは,カラム手術台システム「マグナス手術台」と自走式血管X線撮影装置「Discovery IGS 730 ASSIST(ディスカバリー・アイジーエス730アシスト)」で構成される,外科手術とカテーテルによるインターベンションのための統合システムを,ハイブリッド手術室への新たな統合ソリューションとして,6月10日より販売開始する。
心疾患は,年齢が高くなるにつれて死亡率が増加傾向にあり*1,現在急速に進んでいる高齢化により,心血管疾病率も増加していくことが予想される。また近年のイメージングサポートの進化,および先天性心疾患へのインターベンション技術の発展により,低侵襲治療が適用できる手術が拡大し,ハイブリッド手術室の導入が近年急速に進んだ。一方,外科手術,インターベンション,低侵襲治療のために必要な機器がハイブリッド手術室に導入されたことで,本来あるべき手術室としてのスペース,機器やスタッフのレイアウト,天吊りされる機器のポジション,へパフィルターのあるべきポジションの確保ができず,層流*2を保つことが困難となり,多様な手術やインターベンションを取り入れつつもその稼働率を確保することがハイブリッド手術室の課題としても上がってきている。
*1: 性・年齢階級別にみた主な死因の構成割合(厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況)より
(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai14/dl/gaikyou26.pdf
)
*2: 手術室内を清潔に保つために,術台上部の空調吹き出し口より吹き出される清浄空気
ハイブリッド手術室のために開発されたGEヘルスケアの自走式「Discovery IGS 730 ASSIST」とゲティンゲ社の「マグナス手術台」の統合システムの導入により,これまでハイブリッド手術室で積極的に行うことができなかった多様な手術,緊急手術等を実施できる可能性が広がる。さらには低侵襲治療に最適な環境を提供することで,低侵襲治療の促進ができ,在院日数の低減,ルームシェアによる装置費用の削減,最新治療ができる環境整備での人員確保など,これまで病院が抱えていた課題が解決し,病院経営にとって様々なメリットをもたらす。今回,ゲティンゲ社とGEヘルスケア・ジャパンが提供する統合システムは,このような病院が抱える臨床,生産性,経営の課題を解決に導くソリューションとして期待されている。
効率的利用のための多目的ソリューション
「Discovery IGS 730 ASSIST」の際立った特徴は,高精度画像技術に加え,その独特の可動性にある。レーザーガイド下の可動性ガントリーで,医療チームに十分な患者アクセスをもたらすためにあらかじめ設定した複数のポジションに移動,手術台から完全に退避することができる。手術室内で縦横自在にカスタマイズ可能な固定場所を実現し,左右どちらのアクセス処置中でも優れた患者アクセスを実現する。また,自走式であるため天吊りレールが不要となり,層流を妨げることがなく,天吊り機器との干渉も最小限となる。さらに「Discovery IGS 730 ASSIST」は,高品質の血管X線撮影装置が持つすべての特性も備えている。2016年4月に発売を開始した「IGS 520/530/540 ASSIST(アイジーエス 520/530/540 アシスト)」と同じ新しい最高水準*3のDQE(Detective Quantum Efficiency:X線を画像に変換する効率を表す指標。同社比。)を備えたフラットパネルを搭載,画質改善及び3Dサポート機能の充実を実現,カテーテルベースの複雑な低侵襲治療をサポート。さらに,ステントグラフト挿入術用のプランニングソフトウェア「FlightPlan For EVAR」,TAVI*4用の「TAVI Analysis」等治療に特化した術前のプランニングサポート用ソフトウェアを搭載したことで,シンプルな血管計測をサポート,CT画像と透視画像とのフュージョン画像をより使いやすいものにし,造影剤や被ばくの低減を目指す。
*3: 同社比較
*4: 大動脈弁狭窄症に対する新たな治療法。開胸手術や心臓を止めることなしに,カテーテルを使用して人工弁を心臓に留置する低侵襲治療。
「マグナス手術台」は,外科医とインターベンション医の多くの要求を満たす本格的な多目的手術台。最大150mm/秒でスライドするテーブルスライドにより,カテーテルによるインターベンションの手技の間,迅速かつ精密な移動が可能となる。さらに手術に応じて選択可能なテーブルトップにより,外科手術のための診断・治療手段のさらなる拡大が可能となる。
「Discovery IGS 730 ASSIST」のガントリーの可動性と「マグナス手術台」の患者位置決め性能とを組み合わせることで,多くの専門分野にわたる外科的インターベンションに手術室の使用が可能となることが期待される。さらに,ハイブリッド手術室は,テーブルトップがユニバーサル型であるため,通常の手術室のプログラムにおいても使用することができ,高い設備稼働率が病院にもたらされる。
英国の南マンチェスター大学病院NHS(University Hospital of South Manchester NHS, UK)の血管外科医であるジョナサン・ゴーシュイ氏(Dr Jonathan Ghosh, Vascular & Endovascular Surgeon)は以下のように述べている。
「Discoveryの導入で,従来の外科用Cアーム装置より複雑な治療に踏み込め,より治療困難な患者さんへの治療にも対応できるようになりました。これまでにハイブリッドの手術として,当院では複雑な腫瘍の摘出術と塞栓術の同時施行や,段階的に血管内治療や手術の施行等を実施してきました。今回,使いやすい透視画像と術前CTのフュージョン機能を搭載した,この新しい統合されたシステムを導入したことにより,複雑な低侵襲治療も実施できるようになりました。さらに,多目的のマグナス手術台テーブルトップを活用することで,多様な手術に対応することができます。結果として,私たちのワークフローはより効率的になりました。画質も従来のものに比べ非常に優れているといえます。」*5
*5: 使用施設からの意見であり,仕様を保証するものではない。
ハイブリッド手術室のトレンドセッター
ゲティンゲ社は,この数年で約140台もの統合システムを医療機関へ導入した実績を持つ。複雑なプロジェクトの企画に加え,ハイブリッド手術室に関するゲティンゲグループ・ジャパンのポートフォリオには,その独自の開発および上記プロジェクトの実現に必要な生産ユニットや,モジュール式手術室用ウォールVARIOP,手術用照明器,シーリングサプライユニット,麻酔システム,人工心肺装置からORインテグレーションまでの様々な製品が含まれる。
●問い合わせ先
ゲティンゲグループ・ジャパン(株)
マーケティング&コミュニケーション本部
TEL 03-6863-5122
E-mail: MJKK.INFO@maquet.com
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