2016-2-15
OPTIS™ Mobileシステム
セント・ジュード・メディカル(株)は,OPTIS™ Mobileシステムを上市することを発表した。可動式システムの本製品は,複数のカテーテル検査室を備える病院向けに,OCT(光干渉断層撮影法)と血管造影画像を1つのポータブルシステムに結合することを目的として設計された(アンジオ同期機能)。
世界的に血管疾患は増加しており,一方,技術的な進歩により,カテーテル検査室では侵襲を最小限に抑えた経皮的冠動脈形成術(PCI)が積極的に行われ,治療結果の改善や入院期間の短縮,医療費の削減とともに,開心術の代わりとなる方法を患者さんに提供されている。最新のOPTIS™ システムは,患者さんの治療結果を改善するためにデザインされた診断ツールを1つのポータブルな装置に組み込んでいるため,医師は血管疾患の治療に向けたPCIを効果的に最適化することができる。
OPTIS™ Mobileシステムは,PCI最適化アンジオ同期機能を搭載したOPTIS™ Integratedシステムの技術をベースとしている。OPTIS™ Mobileシステムは,冠動脈の解剖学的形態の精密なOCT画像に基づきつつ,同時に血管造影図を介して正確な位置を把握しながら,医師が,より適切なステント留置を行うことができるように設計されている。また,同システムには,PCIの治療方針決定の際に冠血行動態(循環)の詳細な情報を医師に提供するPressureWire™ FFR測定技術も組み込まれている。臨床データでは,同社製FFR技術による生理学的測定により,転帰が向上し,従来の画像診断ツールよりも医療費を削減できることが示されている。(注1)
和歌山医科大 循環器内科教授の赤阪 隆史医師は,「インターベンション治療の最適な治療方針決定にはさまざまな情報を統合した判断が必要とされています。精密な冠動脈イメージング情報を提供するOCT画像の正確な部位把握を可能とするアンジオ同期機能が搭載された新しいモバイル式OPTIS™ Mobileシステムを用いると,OCT画像が冠動脈造影上のどの部位の画像であるかを瞬時に判断することが可能です。さらに,複数のカテーテル検査室を保有する病院においてその可動性と,本システムに併載されたFFR機能により,最適なPCI治療方針・戦略決定と治療効果判断に役立ちます」と述べている。
PCIはステント留置術のようなカテーテルに基づく手技で,閉塞やプラーク形成のある冠動脈を開通させて心臓への血流を再建することを目的としている。従来,PCI手技のガイドとして,医師は血管造影か血管内超音波法のいずれかに頼ってきた。セント・ジュード・メディカル社製ILUMIEN™ OPTIS™ システムはOCTとFFR技術を初めて組み合わせ, 冠動脈血管内の血流閉塞を,より詳細に,生理学的かつ解剖学的に分析できるようにした。
セント・ジュード・メディカルのグループプレジデントであるエリック・フェイン医師は次のように述べている。「OPTIS™ Mobileシステムは,日々の診療においてOCTと血管造影画像の同期(アンジオ同期)を可能としたもので,医師の方々により多くの選択肢を提供する製品を開発するというセント・ジュード・メディカルの継続的なコミットメントを示すものです。血管内超音波検査法と比較して,OCTは解像度が高く,非常に詳細な冠動脈画像を提供することができるため,特に複雑な症例でのPCI手技時の操作性が向上します。」
【確かな臨床データに裏づけられたシステム】
PCI手技を行う際にOCTとFFRを利用することの利点は,臨床データの堅固な蓄積によって裏付けられている。ILUMIEN I 試験および ILUMIEN II 試験では,セント・ジュード・メディカルのOCTイメージング技術がPCI治療戦略の決定,ステントのサイズ選択,ステント展開に影響を及ぼすことが示されている。セント・ジュード・メディカル社が依頼者であるFAME試験および以降のFAME系試験では,セント・ジュード・メディカル社製PressureWire™ FFR測定技術によって安定性冠動脈疾患患者の転帰が改善し,医療費が削減されることが示されている。
ILUMIEN III多施設試験:第1世代イメージングツールとの関連でOCT技術を裏付ける臨床エビデンスをさらに収集するため,OPTIMIZE PCI 臨床試験が現在進行中である。
【光干渉断層撮影(OCT)イメージングについて】
同社のOCT技術は血管内のイメージング方法であり,疾患形態の解剖学的画像と自動測定を実現するために,光を使用している。従来のイメージング技術では可視化できない,または評価することが困難である重要な血管特性を,OCT技術により可視化し測定することができる。その結果,OCTによる自動かつ高精度な測定が実現される。このような測定はステントの選択および留置をガイドすることに役立ち,また,手技の成功につながるステント留置の評価に役立つ。これにより,繰り返し行う必要性を最小限度に留める可能性が高まる。
【心筋血流予備量比(FFR)について】
FFRは冠動脈狭窄(または病変)における血行動態の重症度を判断するための生理学的指標であり,同社のPressureWire™ AerisおよびPressureWire™ Certusを用いて測定される。FFRは特にどの冠動脈狭窄が心筋への血流を妨げる(虚血)原因となるのかを特定する。またインターベンションを行う心臓専門医が,どのような病変であればPCIの適応となり,患者さんの予後改善と医療コストの削減をもたらすことができるかを判断する際の指針として役立つ。
【虚血性心疾患とは】
冠動脈の閉塞や狭窄により心臓への血流が阻害されている状態を「虚血性心疾患」という。心疾患の大部分を占めている疾患で,狭心症と心筋梗塞に大別される
(注1)The new England journal of medicine, Vol., 360 No.3, January 15, 2009
Journal of the American College of Cardiology, Vol.56, No.3, 2010
●問い合わせ先
セント・ジュード・メディカル(株)
http://www.sjm.co.jp/