2015-10-22
“統合医療画像管理システム”利用画面の一例
キヤノン(株)は,さまざまな医療画像を患者情報と関連付けて統合的に管理・共有できるクラウドソリューション“統合医療画像管理システム”を開発し,医療施設を中心に2016 年3月上旬より提供を開始する。
新製品は,医療画像を患者情報と関連付けて統合的に管理するクラウド型のシステムで,主に3つの機能がある。画像俯瞰機能はX線やCTなどの医療画像に加えて,デジタルカメラの静止画,動画,さまざまな文書を患者ごとに管理・閲覧できる機能。また,帳票スキャン機能と画像取り込み機能により,医療帳票およびデジタルカメラやスマートフォンなどの画像を,簡単にクラウドサーバーへ送信できる。クリニックや一般病院,在宅医療に関わる医療従事者の利用を想定している。
キヤノンマーケティングジャパン(株)(以下,キヤノンMJ)が展開する医用画像クラウドサービス「Medical Image Place」※と連携し,新たなサービスを提供する。
■ さまざまな医療画像の統合表示が可能な画像俯瞰機能
X線やCT,MRIなどの医療画像だけでなく,デジタルカメラで撮影した静止画や動画,帳票などさまざまな画像を,画像ポータル内で患者ごとに統合的に管理・閲覧できる。ウェブブラウザー上で動作するためさまざまな端末から利用できるほか,画像種別と時系列のマトリクス表示により,医療従事者が患者の治療経過を素早く確認し,医療画像の管理と閲覧を効率的に行える。また,連携施設の画像も表示できるため,地域連携医療への活用も想定している。
■ 文字認識技術による医療帳票の簡単登録を実現する帳票スキャン機能
非定形医療帳票をスキャナーで読み取ると,患者情報(患者ID,診療科,帳票種別)を自動的に認識し,病院内の患者情報と関連付けてクラウドサーバーへアップロードする。 院内外を問わず,患者のID や診療科,帳票種別を元にした検索やファイリングが可能になる。
■ デジタルカメラ・スマートフォンの画像を自動アップロードする画像取り込み機能
院内外で撮影したデジタルカメラやスマートフォンなどの画像を,病院内のデータベースと連携し,患者ごとに瞬時に登録して安全に管理できる。インターネット環境さえあれば,ポータル画面を通じてどこからでも画像を参照できるため,在宅医療や介護などの現場での活用が可能となる。
※ 「Medical Image Place」は,キヤノンMJが2014 年10 月1 日より運営を開始している医用画像クラウドサービス。
<主な特長>
1.さまざまな医療画像の統合表示が可能な画像俯瞰機能
・X線やCT,MRIなどの医療画像だけでなく,デジタルカメラで撮影した静止画や動画,各種帳票など,さまざまな画像を患者ごとに関連付けて一覧表示でき,統合的に管理・閲覧が可能。
・画像種別と時系列のマトリクス表示により,医療従事者が患者の治療経過を素早く確認し,医療画像の効率的な管理と閲覧を実現。
・画像種別に応じたカラーバーや,画像種別を絞り込んで表示するなどの機能を搭載し,画像の検索のしやすさや視認性を確保。
・院内外問わず,PCやスマートフォン,タブレットなどのさまざまな端末からウェブブラウザーを用いて確認可能。場所を選ばない画像共有環境を提供。
・連携施設の画像も表示できるため,グループ病院の運営や地域医療連携にも威力を発揮。
2.文字認識技術による医療帳票の簡単登録を実現する帳票スキャン機能
・同社独自の文字認識技術を用い,スキャンした非定形医療帳票内から患者IDや診療科,帳票種別を自動で認識し,病院の電子カルテなどのデータベースと連携して表示可能。文書管理に関わる負担を軽減。
・帳票内にある患者IDや診療科の情報を自動で認識するため,帳票の事前登録が不要。
・大規模な文書管理システムを導入するのが難しい中小病院やクリニックにおいても,クラウドからソフトウエアを利用できるため,専門のIT担当者を設けることなくすぐに利用可能。
3.デジタルカメラ・スマートフォンの画像を自動アップロードする画像取り込み機能
・手術室や病棟など,院内のさまざまな場所で撮影したデジタル一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラの静止画や動画を,院内のデータベースと連携し,患者ごとの画像としてすぐに登録。
・在宅医療・介護など病院外において,スマートフォンやタブレットで撮影した画像を,クラウドを通じて病院内のサーバーへ送信可能。バーコードでID を認識し患者情報との関連付けを自動で実施。
・アップロードした画像は,デジタルカメラやスマートフォン,タブレット内から自動で消去。高いセキュリティー環境下での画像の撮影・登録が可能。
4.カンファレンス支援機能 (オプション)
・病院内のシステムと連携することにより,医療カンファレンスにおける資料準備や会議進行を支援する機能を利用可能。
・カンファレンス単位に指定された条件で,診療データベースより対象患者を自動抽出可能。
・電子カルテなどから医療カンファレンスに必要な資料(記事,画像,検体結果など)を自動抽出し,分かりやすく表示。
・簡単な作業で患者の選択や資料の切り替えができるため,円滑な会議運営を支援。
5.キヤノンMJの医用画像クラウドサービスと連携し安全・安心を低コストで実現
・“ 統合医療画像管理システム” は,キヤノンMJの医用画像クラウドサービス「Medical Image Place」と連携し,既にサービスを開始している遠隔読影インフラサービスや医用画像外部保管サービスと合わせて利用可能。
・災害時のデータバックアップやセキュリティー対策が充実。クラウドサービスの特長により,サーバーや記録装置などのハードウエア購入費への初期投資を最小限に抑え,月額定額料金による導入が可能。
<統合医療画像管理システムの市場動向と今後の展開>
国内では,X線診断装置やCT,MRIなどの医療画像診断装置が多くの病院やクリニックに導入されており,現在20,000台程度の装置が稼働している。近年の診断装置の高度化とともに,医療画像のデータ量は増えており,医療従事者の画像管理に関わる負荷が高まっている。
また,在宅医療の拡大により,病院外におけるデジタルカメラ画像,スマートフォン画像の利用シーンも増えており,これらを統合的に管理するシステムが望まれている。
同社は,“統合医療画像管理システム”を通じて,医療従事者の画像管理に関わる業務負荷の低減と,医療機関が運用に関わるコスト削減に貢献していく。また,クラウドを活用したシステムにより,在宅医療など病院外と病院やクリニックなどとの画像連携,グループ病院間や中核病院とクリニック間の画像連携を促進していく。今後は,このシステムをプラットフォームとして,画像処理・解析機能を強化し,医療画像の管理業務や画像診断に関わる業務を支援する新たなサービスを付加していく予定。
●問い合わせ先
キヤノン(株)
医療機器事業開発推進プロジェクト
TEL 03-3757-7585
canon.jp/medical