2015-10-21
(株)NTTデータ経営研究所,三原テレビ放送(株),公立大学法人県立広島大学,広島県三原市,富士通(株),及び富山県は,総務省より『医療・介護・健康分野における総合的データ連携 -健康長寿社会実現に向けた先進的ICT予防モデル- に関する調査の請負』事業を受託した。
2016年3月まで,広島県三原市,富山県をフィールドに,ICTを活用した効果的な予防・医療サービス提供の実証調査事業を行う。
●背景
超高齢社会を迎え,今後も医療費等社会保障関連費用の増加が見込まれる中,その適正化のために生活習慣病に対する予防の取り組みを普及させることは国の重要課題となっている。生活習慣病を予防するためには健康維持・増進サービスから始まり,医療機関等による重症化予防まで,住民の状態に合わせた幅広い取り組みが必要で,個人の努力だけではなく,住民に密着し, かつ病状等の変化に応じたサポート体制が必要となる。しかし現状では,自治体の予防を担う保健所と発症後の医療機関との連携など,効果的な連携が実現しているケースは極めて限定的である。今後は医療機関以外に地域の様々な資源,例えば地域のインフラとなるケーブルテレビ事業者や調剤薬局,配食事業者,大学,小売店,町内会等の地域コミュニティが,効率的・効果的に連携することで,質の高い予防・医療サービスを提供できる仕組みをつくることが求められている。
●実施内容と体制
本実証では,健康な方を対象とする「既存インフラ活用型ICT予防モデル(既存インフラモデル)」と生活習慣病の有病者,あるいは受診勧奨対象者を対象とする「ICT地域医療・予防高度化モデル(高度化モデル)」を実施する。前者は,地域の既存インフラとして普及しているケーブルテレビを利用し,食生活や運動習慣等の自己管理の支援による発症予防サービス。後者は,保健領域と医療領域における専門家(具体的には保健師とかかりつけ医,専門医)が連携し,重症化予防を実施するとともに,その成果等を自治体が把握し,地域医療ビジョンの策定等に活用するサービスである。
NTTデータ経営研究所が事業全体を受託し,「既存インフラ活用型ICT予防モデル」事業は広島県三原市で,三原テレビ放送,県立広島大学,三原市等と共同で実施。「ICT地域医療・予防高度化モデル」事業については,富山県をフィールドとし,同県や富士通等とともに実証調査を行う。
●既存インフラ活用型ICT予防モデル(既存インフラモデル)
本モデルでは,健康な方の生活習慣病発症予防に向けて,三原市で普及しているケーブルテレビを中心に,ICTを利用したサービスを提供する。
提供するサービスは,(1)住民ごとに個別化されたお勧めレシピの提供(ケーブルテレビを利用して個人宅に配信)と,(2)モニター自身による食事摂取状況の登録,および歩数・バイタル(体重等)の登録と,(3)その内容を踏まえた個人ごとのフィードバックサービス。また,既に医療機関への受診が必要な方に対しては,(4)ケーブルテレビで登録する日々の食事内容や運動量・バイタルを,(5)専門医が確認し,都度フィードバックするサービスを提供する。更に(6)スマートフォンのGPS情報と,コンビニエンスストア(ローソン三原明神南店)の健康商品の情報をマッチングすることにより,(7)住民個人の健康状態を踏まえたお勧め商品等の情報発信を行う。
本モデルは,ケーブルテレビ等地域のインフラを活用した上記サービス提供によって,住民の健康に対する意識が変わり,より健康的な生活習慣につながることの効果検証と,具体的な生活習慣病の発症予防の効果検証を目的として取り組む。
※本文中の(1)~(7)の番号は,概要図の丸付き番号と対応
●「ICT地域医療・予防高度化モデル(高度化モデル)」
本モデルでは,既に保健指導あるいは医療機関への受診が必要な患者の重症化予防に向けて,富山県内の黒部市,入善町,朝日町管内の保健師が行う保健指導等の情報を,かかりつけ医(下新川郡医師会の医療機関)と専門医(黒部市民病院)とが連携し,重症化予防に向けた取り組みを行うとともに,さらに2次医療圏を超えた病院間(黒部市民病院と富山県立中央病院)による情報連携の仕組みを構築する。この仕組みによって保健から医療まで患者の症状変化に応じてシームレスに医療提供を行う体制をつくり,重症化予防の効果を検証する。また,蓄積された医療・保健の情報は,県と連携することで地域医療ビジョンの策定にも活用され,県のより適切な医療政策立案に寄与する仕組みを構築しその効果を検証する。
●問い合わせ先
富士通(株)
西日本営業本部 北陸支社 富山支店
TEL 076-443-2801
http://www.fujitsu.com/jp/