2015-9-30
富士フイルム(株)は,公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2015年度グッドデザイン賞において,インスタントカメラ“チェキ”「instax mini 70」やデジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Smart C12/C77/G77」など主要9製品が,「グッドデザイン賞」を受賞したことを発表した。同社は,1985年から31年連続で同賞を受賞している。
●グッドデザイン賞 受賞製品
■デジタルX線画像診断装置 「FUJIFILM DR CALNEO(カルネオ) Smart C12/C77/G77」
X線エネルギーの変換効率が高い画像読取技術と新開発のノイズ低減回路で,低線量なX線でも高画質な画像が得られるDR方式・カセッテサイズのデジタルX線画像診断装置。カセッテの四辺の角を大胆にソリ落とした曲面形状で,ベッドに寝ている患者の背面の挿入性が向上し,患者の身体的負担と撮影者の作業労力の軽減に効果を発揮する。さらに,同社の抗菌コート技術「HYDRO AG(ハイドロエージー)」により,銀系抗菌剤を含有した超親水性膜でカセッテの全面をコーティングした「抗菌」仕上げ。C12は,手足や保育器の新生児のX線撮影に最適な四切サイズ(10×12インチ)。C77/G77は,カセッテの縦横の向きを変える手間がいらない17×17インチの正方形。
【審査員の評価コメント】
デジタルX線用のカセッテとして,高画質,薄型,低被曝,カーブによる設置時の患者負担の軽減,ネジなどの部品を削ぎ落とした衛生的な設計など,患者,検査者双方への気配りを盛り込んだコンセプトを受け継ぎながら,より多様なニーズに寄り添ったシリーズ展開を行なっている。縦横回転を不要とする正方形,新生児用のサイズともに,幅広い医療現場をサポートするデザインである。
■デジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO(カルネオ) GL」
全下肢や全脊椎など広範囲をワンショットでX線撮影できる,ロングサイズ(17×49インチ)のDR方式・デジタルX線画像診断装置。従来では複数回に分けて行っていた撮影を1回で終えることができるので,作業効率が大幅に向上する。また,X線撮影の所要時間も短縮し,患者の身体的負担の軽減に寄与する。さらに,X線エネルギーの変換効率が高い画像読取技術と新開発のノイズ低減回路で,低線量なX線でも高画質な画像が得られる。
【審査員の評価コメント】
デジタルX線画像診断装置のカセッテとして,フィルム時代では思いもつかなかった大型ロングサイズを世界で初めて実現した。シリーズのもつ高画質,低ノイズ,低被曝などの機能に加え,サイズを変えることにより,撮影が一度にできることで被曝の機会を減らし,撮影時間を短縮することによる患者の負担軽減にも高い効果を発揮している。また,従来バラバラに撮影していたため見ることができなかった,それぞれの部分の関係性に注目する診療も可能にし,医療現場だけでなく,医療そのものの向上にも貢献が期待できる。デジタルだからこその特性が生かされ,全く新しい発想により,今後の時代を変えるかもしれない本質的で強いデザインであると評価する。
■総合診療支援プラットフォーム「CITA(シータ) Clinical Finder」
「CITA Clinical Finder」は,病院内のさまざまなシステムに管理されている診療データを1つのプラットフォームに集約・表示し,診療のシーンに応じて目的の情報に簡単にアクセスできる環境を提供するソフトウェア。医師や医療スタッフのワークフローの起点となるホーム画面「クリニカルフロー」では,「入院予約患者」,「特定の病名がついている患者」などの条件を複数設定すれば,目的の患者もしくは患者群が特定され,患者毎の診療プロセスの進捗状況を検索・表示することができる。本ソフトウェアにより,診療業務の支援,医療の質向上に貢献する。
【審査員の評価コメント】
医療現場における多種多様な診療データを統合化するアイデアを具体化したシステムは,医療サービスの質を向上できる可能性を具体的に示す素晴らしい事例として高く評価できる。さまざまなデータの連携は,洗練されたユーザーインターフェースによってはじめて保証されるといっても過言ではない。実現されたインターフェースでの患者データを基軸とした医療サービスの可視化はとてもわかりやすく,医療システムだけでなく,一般的なサービスの質を向上するための参考になるものとして期待できる。
●問い合わせ先
富士フイルム(株)
コーポレートコミュニケーション部
TEL 03-6271-2000
http://www.fujifilm.co.jp