2015-6-26
パナソニック(株)と富士通(株)は,パナソニックのクラウドサービス対応型エアコンと富士通の非接触型生体センサーを融合した高齢者住宅向け見守りサービスの共同実証実験を,パナソニックグループが運営するサービス付き高齢者向け住宅「エイジフリーハウス豊中庄内栄町」で2015年6月より1年間,実施する。
本実証実験では,クラウドサービス対応型エアコンによる部屋の温湿度といった住空間情報と,非接触型生体センサーによる入居者の睡眠状態,在・不在状態といった生活情報を検知する。これらの入居者のリアルタイムな住空間情報と生活情報を,パナソニックの見守りシステムに集約し,介護職員に提供するとともに,個人ごとの生活パターンに即したアラート通知(在室時の熱中症危険温度,睡眠中の高頻度な覚醒など)の実現を目指す。さらに,介護職員が入居者の生活状態に応じて空調を遠隔制御する仕組みの実証も行う。これにより,遠隔からの状態把握と空調管理を実現し,安否確認業務の負担軽減と,入居者およびその家族にとって安心・安全な住空間作りに貢献する。
パナソニックと富士通は本実証実験を通じ,パナソニックグループが運営するサービス付き高齢者向け住宅「エイジフリーハウス」での受容性・効果検証を行ったのち,高齢者住宅向けに2016年度中のサービス提供を目指す。
●背景
日本では,2025年に高齢化率(65歳以上人口割合)が30%を超える超高齢社会を迎える。要介護の割合が高まる後期高齢者が2,179万人となり,現在より約530万人の増加が見込まれている。(出典:平成27年版高齢社会白書)
一方,介護業界では,介護の担い手である介護人材の不足という課題を抱えており,介護職員の業務負荷の軽減が求められている。排泄や入浴などの身体的介護以外でも,居室で過ごす高齢者の状況把握や,限られた人員で行われる夜間巡回などは,負荷の高い業務となっている。このような現場では床設置型などの見守りセンサーが導入されている例もあるが,多数のセンサーを設置する場合では,アラート通知が頻発になり,業務負荷軽減につながっていないという課題もある。
このように,介護事業者・高齢者住宅事業者からは,入居者にとっての安心・安全な住空間の提供と同時に,介護職員の業務負荷軽減を実現する,先進的な見守りの仕組みが求められている。
●両社の協業について
パナソニックは,ネット接続により進化し続ける「スマート家電」を業界内でいち早く商品化し,遠隔地からのオン/オフ制御や温湿度の確認といったサービスを家庭用エアコンを介して提供している。また,エアコンで快適な睡眠環境をサポートする「おやすみナビ」など,各種住空間向けサービスの展開に取り組んでいる。
富士通は,ICTを活用し,安全で豊かな,持続可能な社会づくりに貢献する「Human Centric Intelligent Society(ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ)」を標榜している。これまでにも,様々なセンサー技術を開発し,センサーから収集したデータを分析・活用する取り組みを行っている。
今回,両社の技術の融合により,介護職員の業務負荷を軽減させる新しい見守りサービスを共同で開発し,このたび実証実験にて効果検証を行う。
●実証実験のシステム概要
パナソニックのクラウドサービス対応型エアコンで部屋の温湿度情報を取得し,パナソニックの見守りシステムにデータを収集する。
(株)富士通研究所が開発した非接触型生体センシング技術を活用したセンサーでは,マイクロ波レーダーの照射により3m範囲の微細な体動量を検知することができる。収集した体動量データを富士通のクラウド上にて生体情報分析を行い,入居者の在・不在,睡眠・覚醒状態のデータを抽出し,パナソニックの見守りシステムに提供する。
パナソニックの見守りシステムに集約されたデータは,入居者の生活情報として,介護職員はモニター上で確認ができる。また,入居者ごとにアラートの閾値を設定したうえで,例えば,在室時の熱中症危険温度や,睡眠中の高頻度な覚醒状態などを検知し,個人の生活パターンに即したアラート通知を実現する。さらに,入居者の生活状態に応じて空調を自動制御する仕組みも提供する。両社の先進技術の融合により,介護職員の巡回支援に頼らない入居者も含め,入居者個人ごとの状態把握と居住空間管理を実現する。
●今後について
パナソニックと富士通は本実証実験を通じ,パナソニックグループが運営するサービス付き高齢者向け住宅において,本サービスの受容性・効果検証を行ったのち,2016年度中にサービス提供を目指す。
●問い合わせ先
富士通コンタクトライン
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