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エドワーズ,TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)用生体弁「サピエンXT」の新サイズ発売〜全4サイズ展開で,患者個々に合せた弁選択がさらに可能に〜

2015-5-12

TAVI用生体弁「サピエンXT」

エドワーズライフサイエンス(株)(以下エドワーズ)は,TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)に使用する生体弁「サピエンXT」の新サイズ2種の製造販売承認を取得,5月1日より販売を開始した。これまでの直径23mm,26mmに加えて,新たに20mm,29mmが加わり,医師は全4サイズから患者さんにもっとも適した生体弁を選べるようになった。

●TAVI用生体弁「サピエンXT」に2つの新サイズが追加

TAVIでは,患者さんの大動脈弁を押し広げるように生体弁を留置するので,患者さん毎に異なる大動脈弁の大きさ(直径)にフィットするサイズの生体弁を選択することが非常に重要である。これまで「サピエンXT」のサイズ展開は23mm,26mmの2種類であったが,日本の患者さんには小柄な方も多く,より小さいサイズの生体弁導入が待たれていた。今回,日本向けに開発された小径の20mmと,大径の29mmサイズが新たに加わり,医師はこれまで以上に,より個々の患者さんの大動脈弁にフィットしたサイズの弁を選択できるようになった。

「サピエンXT」23mm,26mmの治験に続き,今回の新しい20mmの治験にも携わった責任医師の一人,榊原記念病院副院長の高山守正氏は,「TAVIを行う際に,その患者さんにフィットしたサイズの生体弁を使用することは,弁留置時の弁輪損傷による致死的合併症を減らし,かつ弁周囲の血液逆流を低減し,治療の成功率を高めると言われています。そのため,個々の患者さんに最も適切なサイズの生体弁を選択することは非常に重要です。日本人の特にご高齢の患者さんには小柄で大動脈弁も小さい方がいらっしゃいます。この度,2つのサイズの生体弁,とくに20mmの生体弁が新たに加わったことで,これまで以上に個々の患者さんの状況に最適化したTAVIが実施でき,治療できるようになります。」と述べている。

*大動脈弁の基部を形成するリング状の繊維組織。

●大動脈弁狭窄症根治の術がなかった患者さんにとって,新しい治療の選択肢となったTAVI

重症の大動脈弁狭窄症治療には,硬化して機能しなくなった患者さんの大動脈弁を人工弁に置換する手術が必要。現在,全世界で施行されているゴールドスタンダードの治療法は,長い歴史と安定した治療実績がある,開胸して行う大動脈弁置換術である。一方で,高齢や心臓以外の疾患などの理由により,心臓を止めて行う開胸手術には耐えられないと判断された患者さんは,大動脈弁狭窄症の根治は望めず,薬で症状の進行を抑える対症療法しかなかった。
しかし2013年,新たな治療の選択肢となるTAVIが登場,胸を開かず,心臓も止めずに,専用のカテーテルを使用して弁の留置ができるようになった。

高山氏は,「大動脈弁狭窄症は進行性の疾患であり,症状が出てからの2年間で約半数の患者さんが亡くなるともいわれています。にもかかわらず,開胸手術ができない患者さんは,これまで医師として病気が悪化していくのを見ているしかありませんでした。 しかし2013年,TAVIが日本に導入されて以来,治療を受けて元気な日常生活を取り戻された沢山の患者さん達の存在は,非常に励みになっています。」と述べている。

* Bach DS. Prevalence and characteristics of unoperated patients with severe aortic stenosis. J Heart Valve Dis 2011; 20:284-91.

●「サピエンXT」で行うTAVIの仕組み

TAVIでは患者さんの胸を開かず,心臓も止めずに,鉛筆ほどの太さに折りたたまれた生体弁を,太ももの付け根の血管等から専用のカテーテルで心臓の中まで運び,バルーンを膨らませて大動脈弁の位置に留置して治療する。2002年にヨーロッパでDr Cribierが初めてヒトへのTAVIを行い,2007年にCEマークを取得して以来,同社のTAVI用生体弁はこれまで全世界で10万件を超える治療に使用されてきた。
「サピエンXT」で行うTAVIには,経大腿(TF),経心尖(TA)の2種類のアプローチ法(挿入方法)がある。2013年10月に日本初のTAVI用生体弁として保険適用されて以来,今日までに1,500人を超える患者さんの治療に役立てられている。

・経大腿(TF)アプローチ
患者さんの太ももの付け根から血管を通じて,専用カテーテル上に折りたたんで装着した「サピエンXT」生体弁を挿入する。心臓は拍動したまま,生体弁を心臓の位置まで運び,硬化して機能しなくなった患者さんの大動脈弁の中から押し広げるように,バルーンで開いて留置する。このアプローチは,4つ全てのサイズで使用できる。

・経心尖(TA)アプローチ
患者さんの肋骨の間を小さく切開し,そこから心臓の先端部(心尖部)を露出して,専用カテーテル上に折りたたんで装着した「サピエンXT」生体弁を挿入する。あとはTFと同様。このアプローチは,20mmを除く3つのサイズで使用できる。

*20mmは日本・アジア向けの特別開発製品のため,TFアプローチのみでの製造販売承認取得。

■ 経カテーテル生体弁 「サピエンXT」概要

・販売名:サピエンXT (承認番号:22500BZX00270)
・サイズ:(径)20mmnew,23mm,26mm,29mmnew
・素材:(弁尖)牛心のう膜,(フレーム)コバルトクロム合金
・保険償還価格465万円  (迅速導入評価額を除いた償還価格は443万円)
・専用のカテーテル(デリバリーシステム)他とのキット単位での提供
・アプローチは20mmが経大腿(TF),その他は経大腿(TF)と経心尖(TA)の2種

エドワーズ代表取締役社長の加藤幸輔氏は次のように述べている。
「エドワーズは弁膜症治療を世界的にリードする企業として,TAVI用生体弁,そして開胸手術で使用する外科弁膜症治療用生体弁などの最先端の技術を施した製品を通じ,臨床の現場を支えることで,患者さんが健やかな日常生活を取り戻す一助となることを使命としています。
心臓弁膜症,なかでも本製品が使用される大動脈弁狭窄症は,患者さんの手術件数がこの10年近くで2倍に増えている病気です。今回の製品バリエーション拡充により,ひとりでも多くの患者さんを助けようと尽力する医療従事者の方々のサポートとなることを期待しています。当社は今後とも,心臓疾患に苦しむ患者さんの治療に役立つ,革新的な製品を生み出すことで,患者さんの一助となることを目指し,取り組んで参ります。」

*Annual report by The Japanese Association for Thoracic Surgery.

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス(株)
THV事業部
TEL 03-6894-0680
http://www.edwards.com/jp/