2014-12-18
Signa甲子園 2014 受賞者
(写真左より) 中村氏,斉藤氏,
中氏,山村氏,藤川氏,今井氏
(山村・今井氏は実行委員)
GEヘルスケア・ジャパン(株)は12月6日(土),MRI(磁気共鳴断層撮影装置)の先進的な撮像技術の共有を通じて,MRI診断の標準化やレベルアップを図る「Signa甲子園 2014」(MR Signa ユーザーズミーティング・全国大会)を開催した。
MRIの画像は操作を担当する放射線技師や臨床検査技師のテクニックに依存する面が大きいため,同社ではGE MRユーザーがそれぞれの撮像技術の創意工夫などの情報交換や交流を行う「Signaユーザーズ ミーティング」を全国各地で開催している。また,さらなる交流を図り,操作担当者に先進的な撮像技術を身につけてもらうために,2005年よりユーザーズミーティング(UM)の全国大会である「Signa甲子園」を実施している。10回目にあたる今回の「Signa甲子園 2014」では,約150名の全国のSignaユーザーの出席のもと,地方予選を突破した10代表がコンテスト形式で撮像技術の共有を図った。実力伯仲する各代表の発表の結果,最優秀の金賞には,新潟UM,新潟大学医学歯学総合病院の斉藤宏明氏による「Signaにおまかせ! 呼吸同期EOB肝細胞造影相」が選ばれた。また,今回から全発表者がTED方式での発表を行い,その中から,「固定観念を変える! 顎関節撮影」を発表した京滋UM,公立甲賀病院の中村智洋氏が最も優れたプレゼンターとして大会特別賞を受賞した。また,同コンテストの終了後,12月初めのRSNA(北米放射線学会)で発表されたGEヘルスケアの最新テクノロジーを紹介する「GE Healthcare MR 最新技術紹介」が実施され,最後に特別講演として大阪府立母子保健総合医療センター 放射線科の石黒秋弘氏が,「子どもに優しいMR検査をめざして」と題し,毎日多くのお子さんのMR検査を行っている施設として,小児患者の鎮静の実情,今春より使用しているSILENT Scan使用経験などについて,講演を行った。
●「Signa甲子園 2014」概要
日時:2014年12月6日(土)15:00〜19:30
会場:京都リサーチパーク バズホール
主催:GEヘルスケア・ジャパン(株)
企画・運営:Signa甲子園 2014実行委員会
実行委員長:大阪医科大学附属病院 山村憲一郎氏
スケジュール:
・MRI撮像技術コンテスト(全国10代表が発表)
・GE Healthcare MR最新技術紹介
・特別講演
「子どもに優しいMR検査をめざして」
大阪府立母子保健総合医療センター 放射線科 石黒秋弘氏
・表彰式
●受賞者
金賞:新潟UM 新潟大学医学歯学総合病院 斉藤宏明氏
発表演題:「Signa におまかせ! 呼吸同期 EOB 肝細胞造影相」
発表要旨:腹部の造影MR検査であるEOB・プリモビストの肝細胞造影相は,臨床検査においてとても重要な撮像となる。しかし,状態の悪い被検者の場合,長い息止めが必要な撮像が困難となり検査に影響を及ぼすことがある。この問題を解消するアイデアを発表した。また,本アイデアは多くのGEのMR装置において対応可能な手法であり,その高い汎用性についても説明された。
銀賞:神奈川UM 川崎幸病院 中 孝文氏
発表演題:「non-high spec machine における FOCUS-like DWIによる高分解能拡散強調画像」
発表要旨:MR検査において拡散強調画像は多くの臨床情報をもたらす反面,他の撮像法に比べて空間分解能が低下すると言われている。この拡散強調画像について最新のMR装置でなくても高分解能での撮像を可能とするアイデアが発表された。
銅賞:多摩UM 東海大学医学部付属八王子病院 藤川博司氏
発表演題:「Diffusion-weighted MR neurography」
発表要旨:拡散強調画像による腰椎の神経根の描出について,これまで問題となっていた神経の連続性を改善する方法が発表された。また,本アイデアについても多くのGEのMR装置において対応可能な手法であり,その高い汎用性についても説明された。
また,今大会では最も優れたTED方式でのプレゼンテーションを行った発表者に大会特別賞として表彰を行った。
大会特別賞:京滋UM 公立甲賀病院 中村智洋氏
発表演題:「固定観念を変える! 顎関節撮影」
発表要旨:これまでの顎関節検査では臨床検査で望まれる十分な画質が得られなかった点に着目し,それを改善するための撮像コイルおよび患者さんの固定について検討。 固定概念にとらわれないアイデアが,TEDの手法を用いて発表された。
表彰式では,今回の「Signa甲子園 2014」で実行委員長を務めた大阪医科大学附属病院 山村憲一郎氏から入賞者に楯の贈呈が行われ,それぞれの発表に対してコメントした。
今回は10回目の記念大会という節目ということもあり,これまでSigna甲子園を第1回大会から運営・企画に実行委員長および顧問として携わってきた神奈川UM,横浜栄共済病院の高橋光幸氏に特別功労賞が贈られ,過去の実行委員会を代表して,今大会の実行委員長を務めた山村氏より感謝盾を授与した。
Signa甲子園の大きな特長のひとつとして,全国のMR ユーザーの交流を深めることがあげられる。毎年,大会では全国様々なUMでの情報交換を含め,ユーザー同士の親交が深められている。
また,もう一つの特長として,発表されたアイデアが大会後にMRユーザーの各施設ですぐに活用できることである。発表された内容はGE MRユーザーのCommunity Siteである『Signa・る』*で公開される。このWebサイトで発表の様子が確認できるため,多くのMRユーザーがさまざまなアイデアを臨床検査で活用できる。昨年の発表スライドに関しても現在,『Signa・る』で公開されている。この「Signa・る」は開設後約10年で,約2700名以上のユーザー登録を獲得している。
*Signa・る:https://gecommunity.on.arena.ne.jp/signa-l_entrance/index.html
最後に特別講演として,大阪府立母子保健総合医療センター 放射線科 石黒秋弘氏が,「子どもに優しいMR検査をめざして」について講演を行った。一定の時間MR装置の中に身体を置くために,子どもの撮影時は鎮静の為に種々の経口薬や注射などが行われている現状が紹介され,「何が『患者にとって優しい検査となるのか』については,なるべく時間を短く,静かな環境での検査を提供することとなるでしょう。MR検査は嫌だ,とお子さんに思われない,やさしい検査を目指したい」と述べた。この施設では,今年春からSILENT Scanを導入,MRの最新技術である体動補正や SILENT Scanの技術を使ってMR検査を行っている。
同社ではこのようなユーザーズミーティングの開催を,MRIのみならず,CTやPET,核医学装置,超音波診断装置など他の製品群にまで拡大しているほか,開催地域を国内だけでなく世界各国に広げている。
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部
松井
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp