2014-11-25
ファイルメーカー(株)は11月25日,医療分野におけるiPadとFileMakerプラットフォームの導入事例を発表した。愛知県と岐阜県に産科・婦人科を中心としたクリニックを12カ所以上開設し,ベルネットとして運営する医療法人 葵鐘会(きしょうかい)は,産科データベースや新生児管理データベースをFileMakerプラットフォームで構築し,富士通の電子カルテシステム(HOPE/EGMAIN-NX)ともデータ連携して活用している。さらに,同グループの施設で小児科も併設するロイヤルベルクリニック(愛知県名古屋市)では,新生児健診の問診票をiPadで実施しており,母親が直接操作するiPad上の問診票ツールから新生児管理データベースに問診結果を即時に転送することで,受診者と医師との円滑なコミュニケーションが図られるほか,データの分析や活用,作業効率化など,多くの導入効果を上げている。
●事例ビデオ
www.filemaker.co.jp/solutions/customers/stories/royalbell
●ソリューション概要
新生児健診のため来院した受診者は,受付時にiPadを受け取り,「iPad問診票ツール」にタッチ操作で回答を入力していく。問診が終了すると,次に「質問コーナー」に進める。質問コーナーは,母親からよくある質問と回答例のFAQ。新生児の体や行動で気になることがあれば,関連するキーワードや部位をタッチ操作で選択するだけで回答例を見られる。もし回答を見ても疑問や不安が解消されない場合には「もっと詳しく教えて!」ボタンを押すことで,その情報が診察室の医師に伝わる。診察時には,母親がもっとも心配に思っている個別の疑問に対して,医師がより丁寧な説明を行う。また,診察の前に看護師が新生児の身長や体重を計測するが,数値はiPadに直接入力され,即座に新生児管理データベースへ反映されるので,転記ミスや重複入力の手間が省ける。このほか,新生児管理データベースには,出生時からの体重推移が記録されており,規定値を超える増減があればアラートを発生させたり,複雑な条件の組み合わせを考慮する必要がある複数の予防接種のスケジュール調整を自動計算できたりと,小児科ならではの工夫が機能として実装されている。すべての情報は,FileMakerプラットフォームで動作する新生児管理データベースで一元管理され,また,必要な情報は電子カルテともデータ連携されている。
●導入効果
- iPad上で受診者自らが疑問・不安を解消できるほか,医師は受診者の疑問や不安点に的確で丁寧な説明が可能となり,診療のコミュニケーションの質が向上
- データの自動解析,予防接種のスケジュールの自動作成などにより,医師や受診者の負担減
- データの二重入力削減による時間短縮,入力ミスの削減
ベルネットの新生児管理データベースやiPad問診票ツールは,葵鐘会副理事長でCMIO(Chief Medical Information Officer)を兼務する小児科医の吉田茂氏が開発したもの。吉田氏は,FileMakerとiPadを導入した効果を次のように述べている。「このiPad問診票ツールを導入したことで,より受診者が気になる情報を丁寧に説明することができる診療体制を確立できました。さらに,問診票の電子化により,受診者の待ち時間や問診の回答にかかった時間,iPadの稼働状況などをログ記録できるようになり,わかりやすい質問内容に改めたり,iPadの台数を増やすなど,ログ分析による改善提案の可視化にもつながりました。」
また,吉田氏はFileMakerプラットフォームについて次のように評価している。「医療の質を向上するためには,どのような情報をどのように扱えば良いのか,医療者自身が最もよく理解しています。例えば,新生児が受ける予防接種は何種類もあり,それぞれ開始時期,間隔,組み合わせのルールなど,多くの複雑な条件を考慮して接種のスケジュールを組み立てなくてはなりません。FileMakerを使えば,このロジックを理解している自分の手で,スケジュール調整を自動計算するツールを作成できます。他の人に仕様を伝えて作ってもらうよりもずっと簡単で正確です。医療者自らが必要なITツールをユーザーメードすることができる点が,FileMakerの最大のメリットだと感じています。」
●問い合わせ先
FileMaker カスタマサポート
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