2014-10-14
富士フイルム(株)は,内視鏡システムの光源にレーザーを用いた新世代内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」用の新たな画像処理機能として,粘膜のわずかな色の違いを強調して,炎症の診断をサポートする「LCI(Linked Color Imaging)」を,10月23日より富士フイルムメディカル(株)を通じて提供開始する。なお,同社は10月23日から神戸で開催される第22回日本消化器関連学会週間(JDDW2014)で本機能の技術展示を行う。
内視鏡による消化管粘膜の観察では,正常な粘膜と炎症のある粘膜を見分けなければならない。例えば,ヘリコバクター・ピロリ菌などが原因となって胃の粘膜が炎症を起こした場合,胃粘膜が薄く痩せてしまう「萎縮」が進み,胃がんを引き起こしやすい状態になるため,粘膜の炎症を早期に見つけることが非常に重要である。しかし,正常な粘膜と炎症部はわずかな色の違いしかないことから,炎症部の発見や炎症の度合いの判断などが難しい場合があった。
このような状況下,医療現場からは,「炎症の診断の客観性を高めたい」というニーズが高く,同社は独自の画像処理機能の開発を進めてきた。
今回提供を開始する「LCI」は,波長の異なる「白色光観察用レーザー(白色光用レーザー)」と「狭帯域光(*1)観察用レーザー」の2種類のレーザー光による病変観察が可能な内視鏡システム「LASEREO」用の画像処理機能。「LCI」は,「白色光用レーザー」で画面の明るさを保ちながら,重ねて照射される「狭帯域光観察用レーザー」で粘膜内の血液のコントラストを高めた画像に対し,赤色領域の色分離が良くなる画像処理を行うものである。消化管の正常な粘膜,萎縮粘膜,発赤(*2)などを診断するうえで重要になる粘膜の色は,赤色領域に集中している。「LCI」は,これらの粘膜色に近い色の彩度差・色相差を拡張する画像処理を行うことで,粘膜のわずかな色の違いを強調して,炎症の診断をサポートする。
今後,「LCI」を「LASEREO」システムの標準機能として提供していく。すでに医療機関に導入されている「LASEREO」にも,本機能を追加搭載することができる。
富士フイルムは,早期がんの診断に加え,胃がんなどの前段階である炎症の診断のサポートにも注力していく。
今後も,「LASEREO」や経鼻内視鏡など独自の技術を生かした製品を開発し,医師や患者のニーズに応えていく。
*1 波長帯域の狭い光。「LASEREO」においては,粘膜表層の微細血管などを強調した画像観察用に使用。
*2 粘膜の一部が充血して赤くなる症状
●特長
1. 赤色領域のわずかな色の違いを画像処理で見やすく表示。
「白色光用レーザー」で画面の明るさを保ちながら,「狭帯域光観察用レーザー」で粘膜内の血液を高いコントラストで捉えて得られた画像に対し,赤色領域の色分離が良くなる画像処理を実施。粘膜色に近い色の彩度差・色相差を拡張する画像処理を行うことで,粘膜のわずかな色の違いを強調して,炎症の診断をサポートする。
2. 「LASEREO」システムの標準機能として搭載。
LASEREOシステムを既に使用している医療機関では,プロセッサ本体ソフトのバージョンアップにより使用が可能。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fujifilm.jp/business/medical/