2014-9-26
鹿児島県薩摩川内市と富士通(株)は,本年7月22日に締結した「次世代エネルギー(注1)を活用した市民サービス検討に関する基本協定」に基づき,家庭内で計測した電力使用量などの情報を活用した見守り支援サービスの事業化に向けた実証を開始した。
●背景
九州地域における基幹エネルギー供給基地を持つ薩摩川内市は,エネルギー問題にいち早く着目し,2011年に,薩摩川内市における次世代エネルギーの潜在可能量(ポテンシャル)の基礎調査を実施した。2012年4月には,人口減少や高齢化の進展,地域経済の衰退などに伴う課題への対策として,市民サービス拡充のための次世代エネルギー活用などを検討する,「薩摩川内市次世代エネルギービジョン策定委員会」(注2)を設置し,様々な角度から検討を行い,2013年3月に,次世代エネルギー活用について薩摩川内市が進むべき方向性を示した「次世代エネルギービジョン」および「行動計画」を策定した。
富士通は,この委員会に設立当初より唯一のICTベンダーとして参画し,ICT活用に関するノウハウを提供し,協力してきた。
●連携・協力事項
薩摩川内市は,現在実施中のスマートグリッド(次世代電力網)実証試験(九州電力(株)と共同で実施中)に参加中の一部の市民モニタに対して,本実証への協力を依頼するとともに,新たに高齢者モニタを市民の中から募る。
富士通は,最先端のICT技術を活かして国内外で様々なスマートシティ案件を推進しており,エネルギーマネジメントなどに関するノウハウを蓄積している。
これら双方の環境やノウハウを活かし,本実証を実施する。
●見守り支援サービス実証の概要
1.目的
薩摩川内市全域で行ってきた声掛けや定期訪問などの高齢者見守り活動に,ICTを活用にすることによる効率化,および質の向上。
2.期間
2014年9月26日~2016年3月31日(予定)
3.実証地域
鹿児島県薩摩川内市。高齢者約100世帯が対象。
4.内容
本実証では以下の仕組みの有効性の検証と事業化について検討を行う。
<仕組み>
本実証に参加する高齢者宅に電力使用量の計測器と,温度・湿度・照度・気圧などが測定できる複合センサーを設置し,データを収集。
収集したデータを富士通のクラウドセンターにて蓄積,分析することにより,見守り対象者の生活リズムや住環境の状態を導き出し,行動推定を実施。
行動推定情報を元に見守る側である薩摩川内市内の関連部門が,見守り対象者宅訪問の要否を判断。
この仕組みが実現すると,例えば,家庭ごとの熱中症予報が確認でき,罹患予防に役立てることが可能となる。
2014年度は,システム環境の構築,モニタ宅の選定および機器設置などを行い,2015年度にフィールド実証を行う。
注1 次世代エネルギー:
『次世代エネルギー』という言葉に法的な定義はないが,太陽光や風力,バイオマスなどの再生可能エネルギーに加えて,薩摩川内市では甑島の海洋資源を有することから未利用の海洋エネルギーまで含めたものをそのように呼んでいる。
注2 「薩摩川内市次世代エネルギービジョン策定委員会」:
薩摩川内市の「次世代エネルギービジョン」および「行動計画」の策定に関する事項について協議するために設置された。
委員は学識経験者,関係企業,まちづくり有識者の14名,およびオブザーバー2名が市長からの委嘱を受けて就任した。
●問い合わせ先
鹿児島県薩摩川内市
企画政策部 新エネルギー対策課
TEL 0996-23-5111
富士通(株)
鹿児島支店
TEL 099-224-8800