2014-5-21
コニカミノルタ(株)とシスコシステムズ(同)(以下 シスコ)は,共同でソリューション開発したセキュアなクラウドプリントサービスを京都大学医学部附属病院へ導入し,4月より運用を開始したことを発表した。
コニカミノルタとシスコは,京都大学医学部附属病院と共同で,コニカミノルタの「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」サービスの基本技術を応用した,クラウド型仮想環境※1向けプリントシステムの実証実験を行ってきた。
昨年10月から京都大学医学部附属病院黒田教授の協力の下,数ヶ月にわたり行われた実証実験の結果,安定した運用が可能であると判断し,本年4月から「京都大学医学部附属病院向けクラウドプリントサービス」として本格的に運用開始するものである。
●背景と課題
医療の現場でも,研究や患者さんへの説明補助にインターネットの利用が有効だが,情報のセキュリティを確保するため,多くの場合,制限を設けざるを得ない。京都大学医学部附属病院では,院内の電子カルテ端末からインターネット閲覧可能となっているが,電子カルテの安全性確保や患者さんの個人情報保護のため,仮想デスクトップ接続を利用したシステムを構築・運用しているため,院内からのインターネット閲覧は可能なものの,その閲覧情報を印刷することは,システム上出来なかった。このため,患者さんから説明補助に利用した情報の印刷を求められても手渡すことは出来なかった。※
●今回提供するソリューション
- クラウドプリントサービスは,京都大学医学部附属病院のような,ファイアウォール(以下F/W)に堅固に守られた環境,複雑な仮想環境を経由する環境,あるいは印刷において仮想環境への依存が好ましくないような状況下にて,安全で簡単な印刷ソリューションを提供する。今回のシステムでは以下のような特長を実現した。
- 仮想環境とは独立した印刷の専用経路を設ける。(このため,仮想環境のシステムには影響を与えない)
- コニカミノルタの印刷デバイスだけではなく,他の印刷デバイスにも対応可能。
- 通常の印刷と同じ手順のため,利用者は特別な操作を意識する必要はない。
- クラウドによる印刷のログの一元管理が可能。
※ 京都大学医学部附属病院では,外来業務中に患者さんにインターネット上の資料を使って説明などが出来るよう,電子カルテ端末からインターネット閲覧可能となっているが,電子カルテの安全性確保や患者さんの個人情報保護の観点から,電子カルテとインターネットを分離した仮想環境システムが構築されている。本サービスは,従来難しかった,インターネット閲覧の情報を,患者さんに手渡すために資料を印刷する目的で利用される。
●クラウドプリントサービスの今後の展開
コニカミノルタが京都大学医学部附属病院へ提供するサービスは,F/Wに守られた環境下で印刷を実行する専用経路を設けるソリューション。このため,BYOD※2に対応するために社内の有線LANと無線LANを分離している顧客など,複雑なネット環境を構築している顧客に向けた多くの応用例が見込まれる。
またこのプリントサービスをベースにした「セキュアプリントGateWayソリューション」(仮称)として同様の事案に対して安全で簡単かつフレキシブルなソリューションの提案を行い,顧客の規模・要望に合わせたカスタマイズ対応とシステム改良により,さらにより多くの顧客が安心して利用できるサービスの提供を目指す。
シスコは,これまでと同様セキュリティと利便性を両立させる,シンクライアント※3を実現するシステムをパートナー企業と共に提供し,今後VDI※4等普及が進行するに従い,新たな利用法,より高度な課題を想定し,パートナー企業と共に改良に取り組む予定。
※1 仮想環境(ここでは,仮想デスクトップ環境のこと)
※2 Bring Your Own Device(個人の情報端末などを持ち込んで業務に利用すること)
※3 シンクライアント(本体にはデータを保存しないセキュアなPC)
※4 Virtual Desktop Infrastructure(仮想デスクトップインフラストラクチャー):サーバーにアクセスして個々のデスクトップPC上で機能させること
●本サービスの概要
1. 仮想デスクトップ環境とは完全に独立した安全な印刷経路を構築
昨今セキュリティへの要請が高まり,多くの医療関係施設では,シンクライアントの導入が進められている。シンクライアント導入により,アプリケーションの本体はサーバー上で動作し,手元のPCでは重要な情報を残さず安全に作業を行うことが実現出来るようになった。またこれに対応し,シンクライアントシステムの提供ベンダーから,ローカルのプリンターに印刷を実現するための仕組みも提供されている。
しかし,セキュリティを高めるために,他システムとの連携する際に複数のシンクライアント接続を経由するような場合は,適切なソリューションがなかった。今回の実証実験の中では,このような複数デスクトップ環境を経由した印刷に対して,仮想デスクトップ環境とは完全に独立した安全な印刷経路を実現した。
これにより,入札などで仮想デスクトップ環境が数年おきに変わる可能性のあるシステムでも影響を受けることのない独立性の高い印刷ソリューションを実現することができた。
2. デバイスを選ばないマルチベンダー・ソリューション
コニカミノルタのクラウドプリントbizhub essentialsでは,PDFダイレクトプリントを用いることで,プリンタードライバーを必要とせず,ドライバーのアップデートからも解放されるソリューションを提供している。今回は,プリンタードライバーを経由した印刷もサポートすることで,他社プリンター※を含めた既設のシステムとの組み合わせをより容易にした。これにより,システムの利用者に利用方法の変更を強いることなく,プリントソリューションを提供することが可能になった。また,印刷記録の一元的な管理も実現可能になった。
※全てのプリントデバイスでの動作を保証するものではない。
●問い合わせ先
コニカミノルタビジネスソリューションズ(株)
フリーダイヤル TEL 0120-805039
http://www.konicaminolta.jp