2014-4-7
エイシスCS2 / アバンスCS2
GEヘルスケア・ジャパン(株)は,第二世代15インチLED タッチディスプレイを採用した「エイシスCS2(シーエスツー)」,「アバンスCS2」の全身麻酔装置の新製品2機種を4月10日(木)より発売する。
これらの装置は,ここ数年同社が進めているより安全な麻酔管理に向けた取り組みをさらに強化するもので,第二世代15インチLEDタッチディスプレイの採用に加え,低流量麻酔のリスクを回避するために必要な情報やコスト情報を提供する「ecoFlow(エコフロー)」機能,術中の低酸素血症を回避しながら,肺保護換気をより簡便にできる「肺リクルートメント」機能,さらに麻酔装置を1動作で簡単に固定できるブレーキ機能などを搭載した。また,デジタル気化器を備えた「エイシスCS2」には,麻酔時の酸素・麻酔剤の濃度を自動調整し安全性を高めるEtC(エンドタイダルコントロール)機能も搭載し,より安全な麻酔管理をサポートすることが可能になった。
麻酔を取り巻く環境の変化と安全性の高い麻酔管理へのニーズ
厚生労働省の平成23年医療施設(静態・動態)調査によると,国内で全身麻酔下にて行われる手術数は,年間約253万件と前年度比で3.6%増加している。また,平成23年患者調査では総手術件数に占める70才以上の割合が41%(前年度比2.0%増)になるなど,手術数に占める高齢者への麻酔の実施件数は大きな割合を占め,増加傾向にもある。
一方,麻酔科医師の数は約8,000人で,外科系の医師数に占める割合は14%と低く,麻酔科医が勤務していない医療施設では外科医が麻酔を実施するケースもある。高齢者層への麻酔も増える中,より簡単な操作で効率性に優れ,かつ安全性が高い麻酔管理がこれまで以上に求められている。 また,笑気ガスや吸入麻酔剤は,二酸化炭素と同じように温室効果を有していることが知られており,これらの麻酔ガスが地球温暖化に与える影響も否めない。
低酸素症のリスク回避を支援
同社製全身麻酔装置のトップブランド「エイシスCS2」,「アバンスCS2」に,ecoFlow機能が搭載された。ecoFlowは,呼気終末酸素濃度(EtO2)をモニタリングすることで患者さんの酸素の代謝も考慮しつつ,設定した吸入気酸素濃度を維持するために必要な酸素流量(ml/min)を表示し,低酸素症のリスクを回避することに貢献する。このように,酸素流量情報をリアルタイムでユーザーに提供することにより,より安全な麻酔管理に貢献できると期待されている。
酸素・麻酔薬濃度の自動調整機能を搭載し安全性を向上
痛みや意識を取り除くだけでなく,術中の患者さんの全身管理を行う麻酔では,低酸素症や術中覚醒を防ぐために,酸素や麻酔薬の濃度を麻酔時の状況にあわせて的確に調整する必要がある。現在は患者さんの体内への麻酔薬取込量を予測して,およその投与量(濃度%)をマニュアルで決めている。ただこの手法では,まれに,投与量が過剰となったり,不足したりするなど,不測の事態を引き起こす可能性もある。また,気化装置内の麻酔薬が枯渇し覚醒してしまうケースもある。
全身麻酔装置エイシスCS2は,呼気側の酸素・麻酔剤濃度を麻酔器で自動調整するEtC(End-Tidal Control)機能を搭載。呼気をベースに吸気中の酸素・麻酔剤濃度を最適制御できるため,的確な低流量麻酔が実施できるようになる。また,酸素濃度や麻酔剤濃度,換気設定などといった,よく使用する操作では,タッチディスプレイの採用で,より簡単で迅速な操作を可能とした。
旭川医科大学麻酔・蘇生学講座 呉健太氏は,「従来の手動による調整とEtCとで,それぞれ使用した麻酔薬量(デスフルラン)と設定濃度のタッチ回数を比較すると,EtC(1回)では手動による調整(13回)と比較し少ないタッチ数(設定調節回数)にもかかわらず,デスフルランの使用量を大きく抑える(48%減)ことができました。EtCを使用することで,初心者でも熟練者と遜色のない低流量麻酔を行なうことができるでしょう」と述べている。低流量麻酔の実施は,笑気ガスや吸入麻酔剤などの温室効果ガスを削減できる方法のひとつとして知られている。
また,東京慈恵会医科大学麻酔科学講座 木山秀哉氏は,「酸素供給量と患者さんの酸素消費量が近いため,回路内酸素濃度が低下する場合があり,EtCの機能を持たない麻酔器で低流量麻酔を行う場合は,酸素供給量と患者さんの酸素消費量が近いため厳重な監視が必要でした。」とこれまでの課題を述べたうえで,「低流量麻酔では,揮発性麻酔薬の使用量を少なく抑えられますが,気化器の濃度設定を変更するだけでは,迅速に麻酔薬濃度を上昇させることができません。 EtCは,呼気中の酸素・揮発性麻酔薬濃度を直接制御するため,低酸素症の防止につながり,麻酔薬濃度を迅速に調節できます」と,国内初となる酸素・麻酔ガス濃度の自動調整機能に対し高い期待を寄せている。
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