2014-3-3
アボット バスキュラー ジャパン(株)は,腸骨動脈疾患治療を適応としたAbsolute Pro® PTAステントシステム(販売名:AbsoluteProバスキュラーステント)の日本国内における上市を発表した。
Absolute Proは自己拡張型ニチノール製ステントシステムで,治療が困難な複雑病変への治療において有効な選択肢となり得ることが期待されている。ステントデザインには,長年採用され実績のある,アボットのMULTI-LINK (マルチリンク)パターンを採用し,柔軟性と血管に対するコンフォーマビリティを高めたステントデザインが用いられている。デリバリーシステムには,国内では初となるスタビライザーシステムを搭載した同社独自の3層構造のデリバリーシステムを採用し,医師の正確なステント留置をサポートすることが期待されている。
腸骨動脈疾患は,下肢に影響を及ぼす末梢閉塞性動脈疾患 (Peripheral Arterial Disease; PAD)のひとつ。PADは足の血管に動脈硬化が起こる疾患で,ゆっくり時間をかけて進行し,歩行時に慢性的な痛みを伴うようになる。重症化すると重症虚血肢や,下肢の切断など患者のQOLを著しく低下させてしまうことがある。
アボット バスキュラー ジャパン代表取締役社長のマシュー・シュミット氏は次のように述べている。「Absolute Proは,MOBILITYスタディーを含む豊富な実臨床データに裏打ちされた安全性と有効性を持ち得た製品です。また,医師が迅速に,そして容易に手技を行うことができるよう,片手で操作可能なハンドルデザインも採用されており,同製品が,日本の医師のPAD治療において,安全な腸骨動脈疾患治療の手助けとなり,新たな治療オプションとなることを期待しています。今後も我々は冠動脈疾患治療領域に加え,末梢血管治療領域においても,日本の医師のニーズに対応した最先端医療機器を本邦において拡充して参ります」。
【MOBILITY試験について】
MOBILITY試験は,前向き,非盲検,2群,多施設レジストリー試験で,腸骨動脈疾患患者を対象に,AbbottのステントであるAbsolute ProとOmnilink Elite®の評価を行った。本試験は,米国の33施設で実施され,151名の腸骨動脈疾患患者においてAbsolute Pro群が評価された。主要評価項目は9ヶ月経過観察時点における主要な有害事象の発生率 - あらゆる原因による死亡,心臓発作(心筋梗塞),臨床的に評価された標的病変再血行再建(TLR),および治療を受けた側の四肢損失(主要な切断のみ)と定義 – とされ,Absolute Pro群では,9か月経過観察時点での主要な有害事象の発生率は6.1% (p=0.0001未満)で,本試験の主要評価項目の目標値を達成した。またこの値は,文献で発表されている従来の腸骨動脈ステント留置に比べ非常に低い値であった(従来の腸骨動脈ステントでの9ヶ月経過観察時点における主要な有害事象の発生率は19.5%)。
【末梢閉塞性動脈疾患(PAD)及び腸骨動脈疾患について】
末梢閉塞性動脈疾患(PAD)は,手や足の末梢血管内に脂肪やプラークが蓄積し血管が狭くなる動脈硬化により発症し,日本では約400~600万人の患者が罹患していると推定されており,高齢化と共にその数は増加している。PADは足で発症する場合が最も一般的だが,頸部や,腕,腎臓,胃へ血液を送る血管が閉塞して発症する場合もある。
一般的に腸骨動脈疾患としてよく知られている大動脈腸骨動脈閉塞性疾患(AIOD)は,腸骨動脈がプラークの蓄積により狭くなり,下肢の血流を低下させることにより発生する。腸骨動脈疾患はPADの一種。PADは,心臓以外の動脈に動脈硬化が起こる疾患を指すのに対し,腸骨動脈疾患は,腹部中部にある大動脈から,骨盤を介して脚へと分岐する部分の動脈に起こる疾患を指す。腸骨動脈疾患は,腎動脈下腹部大動脈,総腸骨動脈,内腸骨動脈,外腸骨動脈のうち,これら主要な動脈の1つまたは複数の血管にプラークが蓄積し,血流が低下することにより引き起こされる。
【Absolute Pro バスキュラーステントについて】
Absolute Proの日本での適応は,「腸骨動脈(総腸骨動脈・外腸骨動脈)における症候性アテローム性動脈硬化症の新規病変又は再狭窄病変を持つ患者の治療」。
Absolute Proに関するさらなる情報は, http://www.abbottvascular.jp/absolute-pro.html
を参照。
●問い合わせ先
アボットジャパン
広報部
TEL 03-4588-3818
www.abbottvascular.jp