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東芝メディカルシステムズ,X線血管撮影中にリアルタイムに皮膚入射線量をモニタリングする「Dose Tracking System」を開発

2013-10-9

DTS作動画面の一例

DTS作動画面の一例

東芝メディカルシステムズ(株)は,X線循環器診断システムInfinix Celeve™-i(インフィニックス セレブ アイ)に組み合わせるアンギオワークステーションXIDF-AWS801に搭載する,皮膚入射線量のモニタリング機能「Dose Tracking System」(ドーズ トラッキング システム 以下DTS)を開発し,本年8月より国内外にて臨床使用を開始している。DTSは,患者さんの放射線皮膚障害に対する参考情報を,術中に提供するリアルタイムモニタリングシステムで,術中の入射皮膚線量の管理を可能とする。

PCI(注1)を年間1000例あまり実施する医療法人社団 田貫会 高瀬クリニック(群馬県高崎市)における臨床使用において,院長 高瀬真一氏は「今まで見えなかった患者皮膚被ばくが,DTSによりリアルタイムに推定できるため,術者の被ばくに対する意識の変化が見られます。例えば,透視時間を少なくすることや撮影をなるべく省くことで被ばくを低減することや,一方向からの集中したX線照射を避け,照射方向を分散させる判断がPCI中にできるようになり,より安全な手技が可能になります。これは非常に画期的なことです。」と評価している。

今後,さらに臨床評価を続け,2014年度にはX線循環器診断システム Infinix Celeve™-i との組み合わせ販売を予定している。なお,2013年10月17日から19日まで神戸で開催されるCCT2013(Complex Cardiovascular Therapeutics 2013) においてDTSを紹介する。

●開発の背景

近年,X線循環器診断システムに対し,放射線皮膚障害のリスクを管理する方法として,X線量を低減することに加え,患者さんの入射皮膚線量を把握することが求められている。同社では,前者についてはスポット透視(注2)に代表される同社独自の線量低減機能を開発し,販売している。後者については国際電気標準会議(IEC)の規格に則った基準点における入射線量を装置に表示し,入射皮膚線量の参考値として利用されている。しかし,この表示では患者さんの局所の入射皮膚線量を術中に把握することは困難である。そこで,術中に患者入射皮膚線量分布をカラーマップでリアルタイムに可視化できるDTSを開発した。同社は「患者さんや医療スタッフの被ばくを最少にすること,そして診断や治療のため最良の画像を提供し続ける」との思いを込めた“Minimize. Visualize.”をキーメッセージに掲げ,被ばくを低減する技術開発に取り組んでいる。

●DTSの特長

1. 患者さんの入射皮膚線量の計算とカラーマップ化

X線循環器診断システム Infinix Celeve™-iより,X線条件,Cアーム幾何学的関係,X線照射視野サイズ(FOV)およびカテーテルテーブルの位置を受信し,DTS内の仮想患者モデルのX線照射位置における入射皮膚線量を計算する。計算された入射皮膚線量を仮想患者モデルに積算し,その度合いをカラーマップとして3次元的にリアルタイムに表示する。

2. 入射皮膚線量の表示

仮想患者モデル内で最も高い入射皮膚線量(Peak Skin Dose,以下PSD)および仮想患者モデル上のX線照射視野内で最も高いPSD(FOV PSD)を表示し,患者被ばくの参考値を提供する。
3. 結果の保存

検査終了時のPSDの値,総透視時間・総撮影時間の数値,ならびにPSDを記録した部位に対するワーキングアングルのカラーマップ画像および複数方向のカラーマップ画像をレポートとして保存できるので,術後閲覧が可能である。

DTS作動画面の一例

DTS作動画面の一例

 

X線循環器診断システム Infinix Celeve™-i INFX-8000V

X線循環器診断システム
Infinix Celeve™-i INFX-8000V

 

 

販売名:アンギオワークステーション XIDF-AWS801
認証番号:224ACBZX00032000
販売名:X線循環器診断システム Inifnix Celeve-i INFX-8000V
認証番号:218ACBZX00001000

(注1)Percutaneous Coronary Intervention 経皮的冠動脈形成術。冠動脈の狭窄や血栓に,カテーテルを経由してバルーンやステントを挿入し,狭窄や閉塞した血管を拡張して血行を再建する治療。
(注2)スポット透視:X線透視時の面積線量を低減する機能。透視モニタ上でX線照射したい関心領域を指定し,その領域のみにX線が照射される。関心領域は画面中心でなくても良く,X線照射野はどのような大きさであっても適切なX線自動輝度制御を行うことで,X線可動絞りによる絞り込みでみられるようなX線入射線量の増加を防ぐことができる。また,関心領域の外部は,直前の全面透視の静止画像を表示し,画面全体の様子を想像できる。
http://www.toshiba-medical.co.jp/tmd/products/dose/lowdose_xray/fluoroscopy.html#fluoroscopy01

 

●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
http://www.toshiba-medical.co.jp