2012-11-29
Zenith TX2 Pro-Form
米国クック メディカル(日本法人:以下,クック ジャパン)は,次世代の胸部大動脈瘤(TAA)血管内治療用デバイス「Zenith® TX2® Pro-Form TAAエンドバスキュラーグラフト」(以下Zenith TX2 Pro-Form [ゼニス・TX2・プロフォーム])の国内販売を10月より開始した。また,同社では2007年に国内初となる腹部大動脈瘤(AAA)の血管内治療用ステントグラフトを発売して以来,ステントグラフト症例数は10,000例を超えた。
破裂の危険性がある大動脈瘤の治療法には,外科手術(開胸・開腹手術)で瘤(こぶ)の部分を人工血管と置換する方法と,カテーテルを使った血管内治療がある。血管内治療では,鼠頸部(大腿部の付け根付近)の血管からカテーテルを挿入し,ステントグラフトと呼ばれるグラフト(人工血管)にステント(金属製の細いリング)を縫い付けた機器を大動脈内に留置する。留置されたステントグラフトで,大動脈瘤全長を完全にカバーすることで,瘤の破裂のリスクを低減する。外科手術に比べ侵襲性が低く,患者さんの体にかかる負担が少ないため,2007年に日本初となるステントグラフト「Zenith AAA エンドバスキュラーグラフト」(以下,Zenith AAA)が上市されて以来,大動脈瘤治療の選択肢として広まってきた。
Zenith TX2 Pro-Formは,従来品の胸部大動脈瘤(TAA)用デバイスZenith TX2 を改良した次世代製品。特に,遠位弓部から瘤の形成が始まっており,これまでステントグラフト単独での治療が難しかったタイプの下行大動脈瘤に対するステントグラフト治療の新たな選択肢として期待されている。
胸部大動脈瘤の患者さんの約25%にはアーチ(大動脈弓)に急峻な曲がりが有るといわれており,これまでの胸部用ステントグラフトの性能ではこのアーチの小弯側(径が小さいアーチの内側)に平行して留置するのが困難な場合があった*1。そのため,アーチの小弯側と留置したデバイスとの間に隙間ができる<バードビーク現象>と呼ばれる問題が起こり,これを減らすことが課題となっていた。また,この部位に対する血管内治療では,大動脈から分岐する脳につながる血管をふさがないように正確にステントグラフトを留置する必要もある。 このような状況から,これまで遠位弓部からステントグラフトを留置する必要がある下行大動脈瘤の治療法としてはバイパス手術との併用や,開胸手術の選択が一般的になっていた。
本製品は,ステントグラフトの展開の仕組みの改良をはじめとしたデリバリーシステムの操作性の向上により,アーチの小弯側の血管壁への圧着性を高め,血流の多い弓部大動脈における正確な留置が可能となった。また,製品のサイズバリエーションも豊富。これらの特徴から本製品による治療は,医療現場では手術時間の短縮が期待されており,患者さんに対しては入院期間の短縮,術中出血の抑制,より少ない合併症発生率と再治療率が期待されている。*2
また,同社では日本初の腹部大動脈瘤の血管内治療用ステントグラフト「Zenith AAA」,その改良版の「Zenith Flex」,胸部大動脈瘤用ステントグラフト「Zenith TX2」の販売を通して,このほど症例数が10,000症例を超えた。
クック ジャパンAI事業部 事業部長 山口直之氏は次のように述べている。「日本で初めて承認を受けたZenith AAAをはじめとするステントグラフトの販売を通じ,当社は大動脈瘤治療に貢献してまいりましたが,このたびZenith TX2 Pro-Formがラインナップに加わりました。大動脈瘤の血管内治療のパイオニアとして,安全で低侵襲な治療の普及により一層貢献できるよう努めてまいります。」
●主な製品特長
- トリガーワイヤー機能により,近位のシーリングステントをアーチ(大動脈弓)の小弯側に平行に配置することができ,急峻な屈曲に対してもフィットし,バードビーク現象を低減
- トリガーワイヤーが付属したProximal Trifold構造により,血流に妨げられることなく正確な留置を実現
- カテーテル表面の親水性コーティングにより,表面摩擦が大幅に減り,目的部位までの挿入と留置が容易になり,さらに,デリバリーシステムの先端部分の特徴(= Ultrathaneチップとナイチノール製インナーカニューラ)によりデリバリーシースの柔軟性とガイドワイヤーへの追従性(オーバーザワイヤートラッカビリティ)を向上
1 Kolvenbach,verbal
2 Matsumura JS, Cambra RP, Dake MD, et al. International controlled clinical trial of thoracic endovascular aneurysm repair with the Zenith TX2 endovascular graft: 1-year results. J Vasc Surg. 2008;47(2):247-257.
●問い合わせ先
Cook Japan (クックジャパン)広報担当
フライシュマン・ヒラード・ジャパン(株)
担当: 相原,原,大屋
TEL 03-6204-4336 FAX: 3-6204-4302
http://www.cookmedical.co.jp/