2012-11-6
医療課題の解決に取り組むヘルスケアカンパニー,GEヘルスケア・ジャパン(株)は11月6日(火),フルデジタルマンモグラフィ(乳房X線撮影装置)「Senographe(セノグラフ)」シリーズの新製品「Senographe Essential-f(セノグラフ・エッセンシャル・エフ)」を,乳がん検診を手がける検診施設や中小規模病院,クリニックを主対象に発売する。
Senographe Essential-fは,2010年4月に発売した同シリーズ最上位機種「Senographe Essential(セノグラフ・エッセンシャル)」に搭載された低被ばく・高画質を両立する高い撮影機能や検査時間の短縮などの優れた受診者メリットを受け継ぎながら,高い経済性を実現した乳がん検診専用装置。
伸びる乳がん死亡者数とその対策 - 普及が進む乳がん検診と高まる低被ばく・高画質へのニーズ
乳がんは日本人女性の中で罹患数トップのがんで,罹患率も16人に1人と年々増加傾向にある*1。一方で乳がんは早期に発見し治療すれば治るがんと言われ,5年生存率はほぼ100%となる。欧米で死亡率が減少しているのに反して日本では過去数年,乳がんで亡くなる女性が増加しており,2009年では1万1,000人以上の女性が乳がんで命を落としている*2。
この傾向に歯止めをかけるべく,厚生労働省では2004年から40歳以上の女性に2年に1回の乳がん検診を推奨するなど,近年国を挙げて乳がんの早期発見・早期治療に向けた取り組みが積極的に進められている。これらの対策を受けて,現在は大・中規模病院だけでなく,クリニックや乳がん検診施設などの小規模施設でもマンモグラフィによる乳がん検診が実施されるようになり,その結果,今ではこれらの小規模施設向けに,高画質・低被ばくといった機能性と高い経済性を併せ持つ装置が強く求められている。
高い撮影能力と受診者の負担軽減機能に,優れた経済性を融合した「Senographe Essential-f」
Senographe Essential-fは,最上位機種に搭載された低被ばく・高画質を両立する高い撮影機能や検査時間の短縮をはじめとする優れた受診者メリットを受け継ぎながら,精密検査用の機能などを削ぎ落として検診専用装置とすることで最上位機種に比べて約15%の価格低減を実現した装置。
Senographe Essentialシリーズの撮影能力については,日本医科大学付属病院 放射線科の古崎治子氏が,「国内で導入されているデジタルマンモグラフィ8機種の臨床画像評価をしたところ,Senographe Essentialに顕著な画質向上が確認され,同装置が撮影線量と画質のバランスにおいて優れていることが判明しました」との評価報告を発表している。
●Senographe Essential-fの主な特長
FPDの高性能化と新たなデータ処理技術の搭載で診断能力の向上と低被ばくを実現
FPDの高性能化で,トレードオフにある高画質と低被ばくを両立
一般的にフラットパネル型デジタルディテクタ(FPD)はX線照射量が少ない低線量領域ではDQE(量子検出効率)*3が下がり,画質が一層低下する傾向にあり,一定レベルの画質維持のためにはX線照射量の低減が難しく,結果として被ばくの増加につながっていた。Senographe Essential-fでは,GEの独自技術をもとにFPDをより一層最適化することで低線量領域のDQE低下をさらに抑制することに成功,トレードオフの関係にある低被ばくと高画質を両立している。
新処理技術「Premium View」の搭載で,乳房の浅部から深部までを鮮明に表示
乳房の皮膚面から乳腺の密集した深部までの全領域を,スピーディーに見やすく表示できるデータ処理技術「Premium View(プレミアムビュー)」を搭載。これまでは専用のビューワ(表示モニター)のみに搭載していた同技術を装置本体に組み込むことで,読影医は自分のニーズに最適なタイプの高精細画像を汎用のビューワで参照できるようになる。
乳房内の血管を鮮明に描出する撮影技術SenoBrightにも対応
昨年2月に提供開始した「SenoBright(セノブライト)」にも対応。日本人などアジア圏に多いと言われる乳腺密度の高い乳房や左右の乳房で非対称な部位を,濃染で鮮明に描出可能なため,乳がんの存在診断や広がり診断などへの有用性,早期発見・早期治療への貢献など乳がん患者のQOLを大きく向上すると期待されている。
検査時間の短縮とエルゴノミクス(人間工学)に基づくデザインで,受診者の負担や不安感を軽減
撮影条件の自動設定・リアルタイムの画像表示などで,総検査時間をCR機の半分以下に短縮
自社開発のFPDの搭載などで立ち上げ時間を短縮したほか,撮影角度や乳房厚・密度解析にもとづく撮影条件の自動設定機能を搭載,撮影の左右マーク付けやIPプレートの抜き差しなど,CR機に必要な撮影前プロセスがすべて不要となる。さらに最新のデータ処理技術と新開発の二重陽極X線管の採用などで,撮影後約10秒とほぼリアルタイムでの画像表示や待ち時間ゼロでの連続撮影を実現している。
これらの機能強化で,電源を入れてから最初の受診者の検査完了までの時間を約4分とCR機(約10分)に比べて2分の1以下に短縮することに成功,受診者の負担を最小限に抑えるとともに,一日に撮影できる受診者数の増大に貢献すると見込まれている。
- エルゴノミクス・デザインに基づく設計で,受診者の不安や緊張を軽減
- 柔らかい雰囲気を醸し出す丸みを帯びた外観デザイン
- 撮影者が常に受診者と向き合いながら操作できるボタンレイアウトを採用
- 検査時に受診者が自然に手を預けられるハンドルを設置
- 乳房の形質に合わせて圧迫する力を自動調節する機能を採用
- 最適な腋下ポジショニングが可能なスライディングパドルを搭載
経済性の高い価格設定とトータルのランニングコストの低減で,施設経営面でも高いメリットを提供
- 最上位機種Senographe Essentialに搭載した乳がんの精密検査で行うバイオプシ(穿刺)*4のステレオ撮影機能*5などを省いたことで,同装置に比べて価格を15%削減することに成功,初期導入費用を抑える。
- Senographe Essential-fのFPDは温度変化に強く,通常のマンモグラフィで求められる専用空調設備による温度管理が不要なため,空調に使用する電気代を削減できる。
●市場環境・販売戦略
同社は,フルデジタルマンモグラフィ「Senographe」シリーズとして,2000年に世界で初めて*6FPDを搭載した「Senographe 2000D」,2004年に日本初のバイオプシ機能を備えた「Senographe DS」を発売。その後2008年にSenographe DSの新シリーズとして「Senographe DS Depister」と「Senographe DS LaVerite」,2010年4月に両装置の上位機種「Senographe Essential」と「Senographe Essential-e」を発売するなど,先進的な技術で国内のデジタルマンモグラフィ市場をリードしてきた。現在国内で稼働するFPD搭載のSenographeシリーズは350台以上で,市場シェアは約5割と業界トップを誇る*7。
同社は今回発売する乳がん検診専用装置Senographe Essential-fを,乳がん検診を手がける検診施設や中小規模病院,クリニックを主対象に販売する。また,これまでに発売した機種とあわせて,大学病院や地域基幹病院などの大規模病院から,中小規模病院やクリニック,専門の検診施設まで幅広い医療機関で,高精度と受診者の負担軽減を両立する乳がん検診の普及を支援し,「人にやさしい,社会にやさしい」医療の実現に貢献することを目指す。
*1 出典:財団法人がん研究振興財団 「がんの統計'10~累積がん罹患・死亡リスク」
*2 出典:国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」(2010年11月30日更新)
*3 DQE(Detective Quantum Efficiency:量子検出効率)とは,X線情報を検出器がどの程度無駄なく捕捉して画像の構成に役立たせているかの尺度。24 x 31検出器の場合,0LP/mmで60%以上
*4 バイオプシ(穿刺)とは,診断で疑わしい病変部が見つかった際に,その細胞や組織を採取して行う精密検査のこと
*5 ステレオ撮影とは,マンモグラフィを用いてバイオプシを行うための撮影法。乳房を角度を変えて2方向から撮影し,穿刺するための正確な病変位置を割り出す
*6 出典:株式会社オーム社「デジタルマンモグラフィ」(2004年)
*7 出典:インナービジョン社「モダリティ・ナビ」(2011年12月時点での集計)
●価格(税抜)
1億6,170万円
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部
ブランチャード美津子/松井亜起
TEL 0120-202-021 FAX 042-585-5360
Mail: mitsuko.blanchard@ge.com / aki.matsui@ge.com
www.gehealthcare.co.jp