技術解説(シーメンスヘルスケア)
2017年6月号
MRI検査のリスクマネージメント
“Quiet Suite”〜シーメンスMRIの静音化技術
シーメンスの静音化技術“Quiet Suite”は,適用できる部位やコイルの制限がなく,ルーチン検査で使用頻度が高いturbo spin echoやgradient echoといったシーケンスが静音化されるため,幅広い検査に適用されている。静音化の効果は,MRI装置のすぐ横で,日常会話の声の大きさで十分なコミュニケーションがとれるほどである。Quiet Suiteの中で最も騒音が低減されるのが,“PETRA(Pointwise Encoding Time Reduction With Radial Acquisition)1)”で,同等の画像コントラストを得られるMPRAGE法に比べて99%の騒音低減効果となる。PETRAは,k-spaceの中心から端に向かってradial状に充填するため,エコー時間が非常に短く(ultra short TE)なる方法である。また,k-space中心をpointwiseに充填することで高い画質を担保している(図1)。このk-spaceトラジェクトリは,静音化されるだけでなく体動や磁化率によるアーチファクトに強いという特長がある。例えば新生児の撮像においては,多少の体動があっても気道の評価が可能との報告がある2)。また,肺野においては,呼吸性移動にも磁化率にも強い高分解能撮像の可能性が示唆されている3)。
Quiet Suiteは,turbo spin echoやgradient echoが検査部位の制限なく対応できることで,ルーチン検査の多くを静音化できる。また,PETRAは,静音化という技術的な特徴以外にMRIの苦手分野をカバーする可能性を持っている。
●参考文献
1)Grodzki, D.M., et al. : Ultrashort Echo Time Imaging Using Pointwise Encoding Time Reduction With Radial Acquisition(PETRA). Magn. Reson. Med., 67, 510〜518, 2012.
2)相田典子・他 : 日本磁気共鳴医学会総会, P-1〜077, 2015.
3)Dourners, G., et al. : Quiet Submillimeter MR Imaging of the Lung Is Feasible with a PETRA Sequence at 1.5T. Radiology, 276, 258〜265, 2015.
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