技術解説(シーメンスヘルスケア)
2013年12月号
最新ビューワ&タブレットソリューション
syngo.via Web Option ~医療画像を身近な存在に~(タブレット)
下平 貴史(SYNGOビジネスマネージメント部)
近年,タブレット端末においては通信機能の高速化,画面の高精細化が進み,医療分野においても,カルテの入力や画像参照などで幅広く活用されている。シーメンスにおいても,病室での画像を用いた説明,オペ室での画像参照など,幅広く活用できるソリューションとして,タブレット端末向けの“syngo.via Web Option”を3年前から提供している。本稿では,syngo.via Web Optionについて解説するが,これは「syngo.via」のオプション機能となるため,まずsyngo.viaについて解説する。
■読影支援システムsyngo.via
syngo.viaは,読影医の画像診断支援を目的として開発されたシステムで,データ受信の際,あらかじめ設定した画像処理などをサーバ内で自動的に行うという特長がある。この自動処理結果は,サーバに接続されたクライアント端末からいつでも参照することができる。よって,血管のCPR抽出などの必要な画像処理が施された画像を,読影者はいつでもどこからでもワンクリックで,好みのレイアウトで読影を開始できる。
また,syngo.viaは,よりスピーディーな読影を実現するため,いくつかのアプリケーションを組み合わせたワークフローのコンセプトを採用している。これにより,アプリケーションの選択,データの読み込み,アプリケーションの終了といった,解析ごとに必要なサイクルを最小限に抑えるよう設計されている。例えば,心臓検査では,単純撮影でのカルシウムスコアリング,造影後の画像を用いた冠動脈の解析,心機能の解析と,3つの解析を行う場合がある。syngo.viaでは,これらがCT Cardiacという1つのワークフローとして構成されているため,一度立ち上げた後は,順次ワークフローステップを選択するだけで,すべての解析を行うことができる。さらに,おのおののアプリケーションでは,心臓抽出や冠動脈のCPR抽出,心機能解析などの必要な自動解析処理が施されているため,スムーズに読影することができる。これらのアプリケーションで行った解析結果は,画像表示のみならず,簡易レポートとしてPDFに保存することができ,後述するsyngo.via Web Optionにてタブレット端末上でも確認できる。
そしてもうひとつ,今までになかった新しい発想のアプリケーションである,CT Bone Readingについて解説する。これは,脊椎,肋骨観察用のアプリケーションである。通常,肋骨へのがん転移や骨折などの病変を観察するにはアキシャル画像などを用いるため,病変を見つけづらく,また見つけた後も部位を特定するために前後関係を確認する必要があり,読影に多くの時間を費やさなければならない。そうした時間を短縮するために,CT Bone Readingでは,脊椎,肋骨を自動抽出し,それぞれにラベリングした状態で,展開画像(図1)を平面状に表示する。この展開画像では,脊椎とは独立して肋骨のみを回転させることができるため,360°すべての方向をくまなく観察することができる。また,左右の比較や,ほかの部位に比べてCT値が高い部分などを容易に観察でき,ラベリングにより病変部位の特定も簡単に行える。展開画像については,任意に肋骨の回転角度を設定した画像を連続して保存できるため,タブレット端末でも観察ができる。
■syngo.via Web Option
上述の解析結果は,患者にとっては専門的でわかりづらい印象があるが,タブレット端末上でレポートなどと一緒に表示する,あるいは実際にMPR,VRTなどの立体的な画像を動かして提示することで,より身近でわかりやすい印象を与えることができる。また,syngo.via Web Optionでは,今回新たにフュージョン機能(図2)も搭載し,PET画像における集積部位をカラー表示するなど,視覚的にも患者にわかりやすい画像表示を実現している。
今後もさらなる進化が期待されるタブレットソリューションであるが,シーメンスもそれらのニーズに応えるべく,より良い環境を提供し続けていく。
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