巻頭言
MODERATOR 内藤博昭 公益財団法人 日本生命済生会付属日生病院特任顧問
2017-11-24
本シンポジウムは,2009年に第1回目が開催され,今回が第9回目となる。
私は昨2016年3月に国立循環器病研究センターを定年退職し,大阪市内の総合病院にて画像診断の現場に復帰した。そこで改めて実感しているのは,今後10年,20年はCTとMRIが画像診断の2本柱であり続けるということである。このうちMRIは,新しい検査法や生体情報を引き出せる余地が依然としてかなり残されており,MRIに焦点を当てた講演会も多く行われている。一方,より完成品に近いCTについては,1980年代から90年代にかけては研究会が盛んに開かれていたが,最近は講演会なども減少傾向にある。そうしたなか,シーメンスが毎年,自社単独でCT装置の最新知見をテーマにしたシンポジウムを9年も開催し続けてきたことは,感嘆すべきことである。
その要因は,シーメンスのCT装置開発のコンセプトにあると思われる。一つは,CT装置は高精細三次元データの収集という点ですでに完成の域に達しているが,特に時間分解能,つまりシャッター速度に注目したことが大きなポイントである。シャッター速度の高速化がCardio-Vascular Imagingに大きく寄与することは言うまでもないが,今回のシンポジウムではあえて,Cardio-Vascularのセッションが設けられていないことに注目されたい。これはむしろ,Dual Source CTをはじめとしたシーメンスのCT装置がCardio-Vascular以外の領域でも速さを生かした有用性を発揮し始めていることを意味している。もう一つは,Dual Source CTの特性として,Multi-Energyのアプローチに早期に取り組んできたことが挙げられる。これにより,シーメンスはCTから新しい検査情報を引き出すことに成功し,後続のSingle Source CTによるMulti-Energyイメージングへつながっている。これら2つの要因が,本シンポジウムの9回にわたる実績をつくり上げてきたのだと思われる。
本シンポジウムでは,優れたハイエンド機能を持つシーメンスのCT装置の最先端の知見が報告されるが,ご参加の皆さまにはその内容を臨床現場に持ち帰っていただき,日常臨床はもとより個人の研究の発展などにも生かしていただけることを祈念している。
【座長紹介】
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