Session Ⅲ : Advanced Visualization System “syngo. via”
腹部・Dual Energy 髙橋 哲(神戸大学医学部附属病院放射線科)
2013-11-25
当院では,2013年4月にSOMATOM Definition Flashが導入され,それと同時に画像解析ソリューションである“syngo.via”も導入し,運用を開始した。本講演では,読影業務におけるsyngo.viaの有用性について,CTでのワークフローを中心に報告する。
当院の読影環境とその問題点
当院のCT・MRIは,シーメンス社製のほか,さまざまなメーカーの装置が導入されている(CT 4台,MRI 5台)。CT・MRIの検査件数は年々増加しており,それに伴って発生するデータ量も急増している。PACSのサーバ容量の限界から,保存されるマルチスライスCTのデータは原則5mmスライス厚のみで,thin sliceデータはルーチンでは再構成せず,あらかじめ三次元処理が想定された場合に限って再構成している。したがって,読影中にthin slice画像が必要になった場合には,読影医が担当技師に改めて依頼する必要があり,時間的,心理的な障壁が生じ,十分な活用ができない状況となっていた。
この問題を解決するためには,現状のPACSとは別系統で,大量のthin sliceデータを一時的に保管でき,必要な場合にはPACSへの移行も可能なシステムが求められた。また,それに加えて,画像処理の待ち時間を短くすることも必要で,これらの要件を検討して,シーメンス社のsyngo.viaを導入した。
thin sliceデータの活用をめざしsyngo.viaを導入
syngo.viaは,サーバサイドプロセッシングを採用したシンクライアント方式のシステムであり,既存のPACS上に構築でき,syngo.viaのサーバ自体を一時的画像保管サーバとして利用できるメリットがある。また,あらかじめ設定したワークフローに沿ってバックグラウンドで処理する機能があり,プリフェッチによる画像処理の待ち時間短縮なども期待できることから,われわれの要望に合致した。図1に,システム構成図を示す。
実際の運用では,他社製PACSのビューワ上で,右クリックでsyngo.viaを選択することで起動し,読影中の症例の画像処理後のデータが表示される。バックグラウンドの流れとしては,syngo.viaがCTから画像を受け取り,CTデータの“study description”などから検査内容を認識し,あらかじめ指定されたワークフローに則って画像処理が行われ,処理済みの状態で画像が表示される。
syngo.viaには,CTやMRIのさまざまな領域に応じたワークフローが設定されているが,その中から“MM Reading”,“MM Oncology”,“CT Dual Energy”について説明する(MM:Muliti Modality)。
syngo.viaのCTにおけるワークフロー
●MM Reading
MM Readingは,異なるモダリティや過去画像をPACSビューワのように一覧して,比較,読影が可能である。図2は,今回と過去画像を並べて表示したsyngo.viaの画面だが,一見してPACSビューワのようにしか見えず,違和感なく読影可能である。タブでオーバービューや比較(Compare)などを切り替えられる。
●MM Oncology
MM Oncologyでは,PET・SPECTなどの機能画像や,CT・MRIなどの解剖学的画像に対して,閲覧,操作,三次元処理,比較が行える。これまで,視覚的に比較し評価されてきた形態的・機能的な変化を,半自動的に解析,評価し,結果をレポートとして文書化することも可能だ。特に,強力な位置合わせ機能と,多様な測定ツールを備えていることが特長である。
1)強力な位置合わせ機能
syngo.viaの位置合わせ機能では,同じ患者の検査日の異なる複数のシリーズを読み込むと,何も操作することなく各画像のスライス位置が同期された状態で表示される(図3)。各画像のスライス位置の数値はバラバラであり,位置ではなく,形状からスライスを一致させていることがわかる。
肺野領域の5mm厚で撮影された画像でも,異なる4回分の画像で肺転移病変(↑)のあるスライスが表示されている(図4)。この画像ではもう1つ非常に小さな病変(▲)があるが,この病変についてもスライスが同期されており,syngo.viaが精度の高い位置合わせ機能を有していることがわかる。
2)病変の測定・認識
病変の測定・認識(Auto Segmentation)機能では,病変部分を横切る直線も選択することで,ワンクリックで病変輪郭,最大径の認識,体積測定などが行える。図5は,肝転移症例だが自動的に輪郭が認識されており,1つのスライスで病変を認識すると,別のスライスでも自動的に適用され,同じ病変を連続したボリュームとして観察・測定可能である。Auto Segmentationの測定パラメータとしては,肺,肝臓,リンパ節,一般の4つのプロトコルがあり,病変に応じて使い分けることができる。
また,Auto Segmentationでは,1つのシリーズのあるスライスで病変(L1)を設定すると,ほかのスライスの同一病変と思われる部分が自動的に認識されるほか,過去画像でも認識して,連続して測定,解析が可能になっている。同一スライス上に複数病変がある場合でも,病変ごとに認識することが可能である。
図6は,多発性の肺転移症例で,非常に多くの病変がある画像だが,syngo.viaの病変の自動検出と補正,調節の機能によって,複数の病変をそれぞれ時系列で評価することが可能である。腫瘍のサイズや体積などの変化を経時的にグラフ化して確認できる。この機能を利用すれば,固形がんの治療効果判定のためのRECISTに基づく評価が容易になると考えられる。RECIST ver1.1では,全体の腫瘍量の計測は1臓器に対して5病変から2病変までと変更されており,syngo.viaでは,複数の病変の中からRECISTのターゲットとなる病変を選択して,サイズや腫瘍の増加率などを計算することができ(図7),RECIST ver.1.1に準拠した評価が可能である。
●Dual Energy
syngo.viaのDual Energyは,Two-material decompositionやThree-material decompositionの解析を,ワークステーションではなく読影端末上で行えることが特長である。図8は,腎結石に対するTwo-material decomposition解析であるが,石灰化結石を青く表示させている。また,Three-material decomposition解析のLiver VNC(Virtual Non-Contrast)では,仮想的非造影画像の作成や,Iodine mapの作成などが可能である(図9)。これらの処理が,ワークステーションではなく読影端末で可能になったことが大きなメリットである。
syngo.viaのメリットと今後への期待
syngo.viaの導入によって,これまでワークステーションでしかできなかった多様な画像処理が,読影端末で直接行えるようになったほか,バックグラウンドでの画像処理によって,時間の節約も実現している。
当院では,現在,病院情報システムのリプレイス前で,ネットワークの帯域の関係でプリフェッチを行っていないが,syngo.viaの本来のワークフローを生かすためにはプリフェッチが必要であり,新システムでの運用に期待している。また,RECISTへのさらなる対応や,レポートや電子カルテとの連携が可能になれば,さらに効果的な運用が可能になると考えられる。