技術解説(コニカミノルタ)

2022年11月号

放射線治療の技術動向(小線源治療)

加速乳房部分照射用アプリケータ「SAVI(サヴィ)」

「SAVI(サヴィ)」(図1)は,乳房温存療法における術後放射線治療の一手法である加速乳房部分照射(accelerated partial breast irradiation:APBI)に使用される小線源治療用アプリケータである。

図1 SAVIアプリケータの外観

図1 SAVIアプリケータの外観

 

●加速乳房部分照射(APBI)

一般的に行われる“全乳房照射(whole breast irradiation:WBI)”に対し,照射対象体積を絞り,1回あたりの線量を増加させて放射線照射期間を短期化するのがAPBIである。APBIは,新型コロナウイルス感染症感染拡大下において,来院回数を減らす治療法としても注目されている。2022年の「乳癌診療ガイドライン」改訂に伴い,APBIの推奨の強さが1ランクアップし,「2(行うことを弱く推奨する)」となった。適応基準を満たす患者群に対し,WBIに代わる新たな選択肢としての存在感を増したと言える。

●SAVIによる乳房小線源治療

がんを切除した後のキャビティにSAVIを挿入し,カテーテルを広げてフィットさせる。リモートアフターローダと接続し,192Irによる高線量率照射で処方線量 3.4Gyを,1日2回×5日間の計10回照射する。

●SAVIのメリット

(1) 放射線治療の期間を大幅に短縮する。現状では,WBIの5週間の通院が困難であるという理由のみで乳房温存をあきらめ,全切除を選ぶ患者が少なからず存在するが,SAVIはそのような患者の選択肢を広げる。

(2) 局所再発の可能性が高い腫瘍床近傍を的確に照射すると同時に,肋骨や肺,心臓などの健康な組織の被ばくをより小さくし,重篤な有害事象のリスクを低減する。皮膚の障害もきわめて少なく,整容性に優れる。

●SAVIにかかわる臨床研究の動向

2016~2021年に国内で実施された多施設共同観察研究の治療成績は良好であり,2022年秋にも学術報告される。プロトコールを拡張した新たな多施設共同研究も画されている。また,わずか3回(2~3日)の照射で終わる超短期照射APBIの臨床試験成績が米国で複数報告されており,国内でも昭和大学病院が中心となって開始に向け準備中である。

*「SAVI」「サヴィ」は「SAVIアプリケーターセット(医療機器承認番号:22500BZX00260000)」の呼称です。

 

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