技術解説(コニカミノルタ)
2022年5月号
POCUSの最新動向
「SONIMAGE HS2/SNiBLE2」の“カメラリンク”機能
伊藤 嘉彦[コニカミノルタ(株)ヘルスケア事業本部モダリティ事業部]
超音波診断装置(以下,エコー)の特長として,プローブを任意の部位に当てることで,生体内の情報をリアルタイムで観察できることが挙げられる。
対象部位を自由にスキャンできることは大きな利点だが,その半面,自由度の高さから,後からの参照や他者との共有の際に,観察部位がわかりづらいという問題がある。ボディマークによる部位の明示は,おおよその位置を示すにとどまり,必ずしも理解しやすいとは言えない。
■“カメラリンク”機能の特長
当社は,このような課題に対応するため,新たにカメラリンク機能を開発し,「SONIMAGE HS2」と「SNiBLE2」(図1)に搭載した。
カメラリンクは,エコーに接続したカメラからの映像・画像をエコーに取り込む機能で,静止画や動画,カメラ内蔵マイクの音声を,エコー画像とともにリアルタイムで表示・保存できる機能である。スキャンの部位とエコー画像を同時に保存することで,臨場感を伴って検査の様子を再現することが可能となる(図2)。
以下,いくつかのユースシーンを通じて,その有用性を示す。
1.教育・供覧資料として
教育や学会発表では,症例とともにエコー画像が示されることが多いが,経験の浅い初学者にとっては,観察部位とエコー画像がリンクしづらく,理解の妨げとなっていることもある。カメラリンクにより,スキャンの様子とエコー画像が同時に表示されるため,より効果の高い教育や発表が可能となる。
また,初学者が上級者の指導の下,スキャンを実践・習得していくケースも多いが,患者の前で直接指導するのは難しい場面もある。このようなケースでも,カメラ画像と一緒に超音波スキャンを振り返ることで,より明確に指導のポイントを把握し,習熟のスピードを上げることが可能になる。
2.運動器領域
運動器領域では,エコーガイド下ハイドロリリースによる痛みの緩和や可動域
制限の軽減など,まさにpoint-of-care(POC)としての超音波診療が盛んに行われている。施術前後での患者の可動範囲をカメラで記録するといったことも行われているが,カメラリンクを利用すれば,バラバラに保存されていたカメラ画像とエコー画像を同じ患者IDの下,シームレスに管理できる。また,スキャン技能は画像の見返しにより向上すると言われているが,カメラによりスキャンの様子が共に記録されることで,よりいっそうの効果が期待できる。
3.バスキュラーアクセス領域
透析領域などのバスキュラーアクセスにおいては,血管状態の把握と共有が欠かせない。一人の患者に対してチームで医療に当たっており,患者それぞれの血管の状態をシャントマップに記録し,情報の共有が行われている。カメラリンクを併用することで,エコー画像とその取得部位を明確に把握できるため,高いレベルでの情報共有が可能となる。失敗による再穿刺の防止や,コミュニケーション不足による患者からの信頼低下などを未然に防ぐことに役立つものと思われる。
4.その他
遠隔地において診断のアドバイスを求めるといった場面で,よりスムーズなコミュニケーションが可能になるほか,生体モニターなど,ほかの機器の映像をエコー画像とともに取り込んで使うといった新たな可能性も考えられる。
◎
SONIMAGE HS2,SNiBLE2に新たに搭載されたカメラリンクの機能を紹介した。カメラ画像とエコー画像を同時に記録することで,教育効果や情報共有の強化など,エコーの利便性と医療の質の向上に寄与するものと考える。カメラリンクは,臨床現場の多くの声を背景に開発された。今後も現場に真に貢献できる装置の開発に取り組んでいきたい。
【問い合わせ先】
コニカミノルタジャパン(株)
http://www.konicaminolta.jp/healthcare/