技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)
2022年3月号
腹部画像診断におけるUSの技術の到達点
超音波検査に革新と確信をもたらす「LOGIQ E10」シリーズの画像技術
小沼 雅世[GEヘルスケア・ジャパン(株)超音波本部]
■画像処理の根幹を担う“cSound”イメージフォーマー
汎用超音波診断装置の最上位シリーズである「LOGIQ E10」シリーズ(図1)は,超音波検査にかかわる医師・ソノグラファーのニーズに対応するソリューションとして開発され,検者および患者双方の負担軽減と客観性の高い検査を実現するためにリリースされた。
最も革新的な技術を搭載したのは,信号処理部分であるcSoundイメージフォーマーである。まず,画像信号の処理の根幹の技術として,従来にない大量のデータ処理が可能なハードウエアプラットフォームの開発に力を入れたことで,前機種と比較するとCPUの計算処理能力が約10倍,超音波信号の処理を48倍高速化することに成功した。このような高速データ処理のおかげで,ソフトウエア上でさまざまな画質向上のための信号処理を,リアルタイムに行うことが可能となった。
cSoundイメージフォーマーでは,各素子で受信されたデータ(RF信号)は,合成されずにそのままメモリに一時保存される。続いて,違う送受信に対しても,データはそのままメモリに保存される。つまり,多様な送信方向において複数の受信データが準備されることになる。メモリに保存された複数の膨大な情報を使用すると,1回の送受信で複数の音線を生成でき,線ではなく面の情報を得ることができる。得られた面の情報を再構成して数回重ね合わせることで,1枚の画像を生成している(図2)。そして,画像再構成を行う際には,ただ単純にフレームを加算するのではなく,ピクセルごとに画像が最適化するように再計算している。Retrospective Transmit Focus(RTF)は,得られた受信信号を使って後から各ピクセルでフォーカスをかける技術である。図3において,5回の送受信データセットから,あるピクセルの画像を再計算する例を示す。得られたデータをそのまま足し合わせると,図3 aのように音場がそろっていない状態で足し合わされる。図3 bでは,音場をそろえて足し合わせるために,各波面のズレをそろえる再計算を行っている。このように,遅延の度合いを内部で計算することで,波面がそろい,信号強度が高くバラツキの少ないデータとなる。この処理を全視野,全深度で瞬時に行うことで,全ピクセルフォーカスを実現している。
■全視野全深度フルフォーカスがもたらす高画質
このようなcSoundイメージフォーマーの新しい画像構築技術により,実際の画質がどのように変化するのかを図4に示す。深部から浅部まで高い均一性と空間分解能を実現している。また,1回の送受信で広範囲の画像情報を取得することで,送信回数を増やすことなく高いフレームレートを実現している。そして,S/Nを上げているため,ノイズがきわめて少なく,高いコントラストを実現できる。このような画像構成方法は,Bモードのみならず,カラードプラ,パルスドプラ,造影など,すべての基本モードにおいて応用され,高いフレームレート,高感度,微細な表現が可能となっている。
製造販売:GEヘルスケア・ジャパン株式会社
販売名称:汎用超音波画像診断装置 LOGIQ E10
医療機器認証番号:230ABBZX00025000
* LOGIQ E10xはLOGIQ E10 R2以上のニックネームです。
販売名称:汎用超音波画像診断装置 LOGIQ E10s
医療機器認証番号:302ACBZX00003000
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