コンピュータ検出支援装置（computer aided detection：CAD）は，医師によるルーチンの乳房X線画像の読影作業を助ける目的で開発され，乳がんの検出率の向上に貢献することが期待されています。本稿では，当社のデジタルマンモグラフィのために開発されたiCAD社の「コンピュータ検出支援装置SLD」（iCAD）について紹介します。

●iCADのワークフロー

iCADは，撮影後のイメージをネットワーク経由で受信し，装置用に最適化されたアルゴリズムで関心領域（region of concern：RC）情報を検出します。検出されたRCは，読影ワークステーションの CAD表示ボタンを一度押すだけで表示されます。操作が簡易であることは，診断効率の向上にも貢献します。
さらに，読影モニタに表示されたCADイメージには，微細石灰化の集団を示唆する領域に長方形のマークが，腫瘤や構築の乱れに該当する可能性のある領域には楕円のマークが表示されます（図1）。このようなRCへのマーカーの表示は，放射線科医の読影をサポートし，読影の信頼性を改善します。

図1　CADによるRCの表示

●iCADのアルゴリズム

CADアルゴリズムでは，まず，デジタルマンモグラムの画像強調を行い，微細石灰化および腫瘤影に該当する可能性のある高濃度エリアが描出されます。次に，形状など臨床上関連のある特徴がそれぞれ計算され，微細石灰化や腫瘤影と思われる領域が特定されます。検出される腫瘤影のタイプには，スピキュラ状腫瘤，非スピキュラ状腫瘤，構築の乱れ，局所的非対称性陰影が含まれます。そして，当該被検者において検出されたすべてのRCを同時に解析することで，がんである可能性が最も高い領域をCADマークで表示します。このようなアルゴリズムによって，見逃す可能性のある病変検出をも可能にし，読影上の見落としを最小限にできるよう設計されています。

医療機器承認番号：21900BZY00043000
販売名称：コンピュータ検出支援装置SLD