技術解説(富士フイルム)
2015年10月号
臨床応用が広がるワイヤレスFPD最前線
低線量を実現するFUJIFILM DR「Low-Dose Solution」
本稿では,「FUJIFILM DR CALNEO Smart」に搭載されている,線量低減をサポートする電気ノイズの低減技術と画像の粒状性を改善する新しい画像処理技術について紹介します。
●電気ノイズを低減する専用回路
FPDシステムでは,可視光を電荷に変換する際に電気ノイズがデジタル信号に加算されてしまいます。特に電気ノイズは,線量が少なくなる領域において目立つ傾向にあり,胸部撮影では,心臓や横隔膜などのX線透過率が少なくなる領域での画像の粒状性に影響を及ぼします。CALNEOシリーズに搭載されている独自開発の電気ノイズ低減回路は,このような部位のDQE改善効果があります。横隔膜下の領域は,肺野領域よりも到達線量が低く,線量低下とともにDQEも低下していますが,電気ノイズ低減回路の搭載によりDQEが改善していることがわかります(図1)。
●独自の画像解析処理技術
画像診断では,人体や疾患などを形成する線や点などの構造を持つ信号を観察しています。本技術では,構造を持たないランダムな粒状成分を選択し抑制することで,画像の粒状性を改善する目的があります。
X線画像は画素の集まりで構成されており,それらによって形成される無数の構造パターンに対応するために,点構造と線構造のパターンを認識するというFCRで適用していた粒状性改善処理を大幅に改良しました。比較的単純な点構造と線構造に加えて,それらを組み合わせた構造パターンを画素ごとに認識できる「パターン認識技術」を搭載しています。認識した構造に対してフィルターを画素ごとに切り替えることで,構造情報を損なうことなく粒状性の改善を実現しました(図2)。この技術により,構造を持たないランダムな粒状成分が抑制できます。
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