技術解説(富士フイルムメディカル)
2023年8月号
Women’s Imaging 2023
乳腺MRIの画質向上技術 ~1.5T MRIのハードウエアとソフトウエアの両面から~
脂肪組織に富んだ乳房は,乳腺組織のコントラスト向上を目的として,脂肪抑制技術を併用した撮像シーケンスが用いられる。しかし,両側乳房の撮像は局所磁場の不均一が起こりやすく,画質低下の原因となることが知られている。本稿では,富士フイルムヘルスケア社製1.5T MRIの乳腺MRIにおける画質向上技術について述べる。
●2つのアクティブシミング技術
局所磁場均一性を維持するために,高次項を持った磁場補正用コイルの電流を制御して印加する「HOSS(High Order Shim System)」と,撮像領域に合わせた任意領域の静磁場均一性が向上するよう「Regional Shimming」を併用している。
●高速3D撮像技術「isoFSE」
isoFSEでは,refocusパルスのフリップ角を制御することで信号減衰を抑制し,長いエコートレインでも信号を得ることができ,高速3D撮像が可能である。本手法に,B1不均一性の影響を受けにくい「H-sinc」(選択的脂肪抑制法)を用いることにより,広範囲の脂肪抑制画像を得ることが可能である(図1)。
●DWIのノイズ低減処理
通常,SNRを向上させるための加算(NSA)を行うが,拡散強調画像(DWI)で印加するMPG(motion probing gradient)パルスは非常に大きいため位相変化が大きく,従来の絶対値加算では加算効果が期待できない(図2 a)。そこで,MPGパルスを印加した画像の加算処理を,従来の絶対値加算から複素加算に変更することで,組織の信号を保ちつつノイズ領域の信号のみを低減してSNRを向上させることが可能である(図2 b)。
【問い合わせ先】
MR製品企画グループ
URL https://www.fujifilm.com/fhc