技術解説(富士フイルムメディカル)
2021年8月号
Women's Imaging 2021 最新技術
乳腺領域における“Real-time Virtual Sonography(RVS)”
“Real-time Virtual Sonography(RVS)”は,2003年に当社が世界に先駆けて製品化した機能であり,超音波画像に対応するCT,MRIなどのmulti-planar reconstruction(MPR)画像を,リアルタイムに超音波画像と同時表示するナビゲーション機能である。
乳腺領域においては,MRIで発見される腫瘤が増加しており,超音波ガイド下生検においてRVSを併用することで,フォローアップや精密検査をより効果的に行うことができる。
乳腺RVSにおいて,MR画像と超音波画像の位置ズレを少なくするためには,MR画像を撮像する際に,超音波検査時と同じ仰臥位で撮像することが望ましい。しかし,乳腺は大きく変形するため,従来の位置合わせ手法ではある程度経験が必要であったが,“Point Start機能”を活用することで簡便に位置合わせができる。
Point Start機能は,MR画像の1点とプローブの先端の位置関係を合わせる機能である。事前に磁場発生器と被検者の位置関係を設定し(図1),MR画像上の乳頭にプローブ点を設定する(図2)。その後,プローブ先端を乳頭上に置いてPoint Startボタンを選択すると,MR画像と超音波画像との位置合わせが完了するため,経験の少ないユーザーでも短時間でRVSを使用できる。
乳頭で位置合わせ後,プローブが乳頭から離れると,MR画像と超音波画像の位置関係がずれることがある。その場合,大胸筋や乳腺などの全体の形状(断面)をメルクマールとする“Plane Adjust”により,簡便に位置関係を補正できる。また,RVSは“Real-time Tissue Elastography(RTE)”と併用可能となっており,硬さ情報を加味した上で診断を進めることも可能である。乳腺RVSは,マルチモダリティの画像情報を融合し,リアルタイムにナビゲーションを行うことができる画期的な技術であり,さらなる展開に期待いただきたい。
* Real-time Virtual Sonography,Real-time Tissue Elastographyは富士フイルムヘルスケア株式会社の登録商標です。
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