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●磁遊空間30号に寄せて
“独自”と“最先端”両輪での開発と,新興市場への積極的な展開に期待
原田 雅史(徳島大学大学院医歯薬学研究部放射線医学分野教授)
2015-4-27
日立MRIは,永久磁石型MRPシリーズの頃から読影依頼を受けることも多く,よく知っています。低磁場装置ながら画質が良く,0.3T装置が発売された時には超電導型0.5T 装置と同等の画像が出ていて,特にMRアンギオグラフィがきれいなことには驚きました。
われわれは2010年より,阿南医師会中央病院(徳島県阿南市)の超電導型1.5T MRI「ECHELON Vega」を使って,乳房MRSの共同研究を進めています(『磁遊空間Vol.25』にて取材報告)。現在は,日本人に多い小さな腫瘍を安定的に撮像するためのシーケンス改良や,コリン(Cho)を中心とした代謝物の計測の定量性向上などの検討を行っています。近々,これまでの共同研究の成果を形にした,乳房MRSのワンクリック計測・ワンクリック解析機能がリリースされる予定です。
共同研究を通して,日立MRIは特に均一性が優れていることを改めて感じています。ハードウエアの基本性能がしっかりしているので,安心して新しい技術を応用できます。また,日立の良い点は,ハードウエアだけでなく,ソフトウエアを開発する人材がそろっているところです。ハードとソフトの技術者,そして,技術開発を行う日立製作所中央研究所がチームとなり,非常にまじめにMRI開発を行っていると思います。
これからも総合医療機器メーカーとして海外メーカーと肩を並べていくために,日立には国内外の大学や研究機関と上手にコラボレーションしながら,独自の技術・製品の開発を行っていってほしいと思います。また近年,新興国では中国や韓国のメーカーの医療機器を数多く目にしますが,そのような市場に対して「日立はひとつ上を行っているな」ということがわかるような製品を供給していってほしいです。国や地域によって異なる医療体制や状況に応じた製品や細やかなサービスを提供し,積極的に世界に進出することを期待しています。