技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)
2023年8月号
Women’s Imaging 2023
AIがもたらす高画質化
2020年,遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)既発症者への乳房MRIによるサーベイランスが保険適用となり,いま乳房MRIは,より小さな病変の描出を含め,さらなる高画質化が期待されている。本稿では,ディープラーニング活用技術による乳房MRI高画質化の取り組みを紹介する。
●ルーチン検査の高画質化
「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」は,ディープラーニング*1を活用した画像再構成技術である。MRIでは,画質のキーとなる「SNR」と「撮像時間」はトレードオフの関係にある。AiCEは,低いSNR画像から高いSNR画像を作成するように設計段階で学習させたニューラルネットワークを用いることで,最大で約3.2倍*2のSNR向上効果を実現。撮像時間の延長なしに,高いSNR画像を提供する。なお,AiCEは,一般的な乳房MRI検査で撮像するDynamicや拡散強調画像(DWI),脂肪抑制T2強調画像(T2WI),T1強調画像(T1WI)など,さまざまなコントラストに適用可能であり,ルーチン検査画像の高画質化を実現する(図1)。
●MRIガイド下生検の高画質化
一般的に,MRIガイド下生検で使用するコイルは,乳房MRIルーチン検査で用いるブレストコイルに比べコイルチャンネル数が少ないため,SNRが低下してしまうが,AiCEは生検時にも適用可能である(図2)。生検時の低SNR画像からノイズを除去した高SNR画像を提供し,穿刺位置決め画像の高画質化を実現する。
*1 ディープラーニング技術は設計段階で用いており,自己学習機能は有しておりません。
*2 ファントムを用いた検証
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