技術解説(キヤノンメディカルシステムズ)
2016年11月号
放射線治療の技術動向
放射線治療部門情報システムの現状と「RapideyeAgent RT Pro」
急速な高齢化社会に突入した日本では,がん治療の一翼を担う放射線治療について,その患者数が年々増加している。放射線治療は低侵襲とは言われるが,患部への高精度な照射制御と,副作用への配慮も必要なため,治療に当たっては正確な情報共有が,治療チーム内で行われる必要がある。
その情報基地として,放射線治療部門情報システムの役割が重みを増しつつある。照射計画や画像情報,照射実績情報といった治療部門内の情報管理だけでなく,近年は病院情報システム(HIS)の情報も参照し,診療科や病棟側とも放射線治療情報を共有して,より高度な治療を実現できる環境が必要になっている。
一方,日本放射線腫瘍学会(JASTRO)が主導している放射線治療症例全国登録(以下,JROD)データベースの構築は,がん患者の情報収集を広く病院より募っている。これに対応するため,これまでも放射線治療部門では,治療情報の管理が求められていた。さらに近年は治療装置も多様化し,新たな照射方式も次々と開発され,それが診療報酬への加算体系にも反映されている。システムには,これら変化への柔軟な対応と情報の利活用が求められている。
東芝メディカルシステムズでは,新製品「RapideyeAgent RT Pro」の販売を2016年6月より開始した。この製品は,前述のような放射線治療現場の課題を解決すべく,従来製品から製品コンセプトを刷新している。既存の照射業務支援機能も,照射計画の変更に随時対応できるよう操作性を大幅に強化。チーム医療の推進を確実にするための情報共有機能と,診療科,病棟との情報共有を実現するWeb参照機能を充実させた。さらには,情報の二次利用を実現するデータ抽出機能を備え,JROD向けデータの作成や,汎用データ検索機能など,煩雑だった作業も単純な操作で実現できる機能を備えている。装置メーカーならではの全国規模でのシステム導入,保守サービスも充実しており,放射線治療現場を強力に支援する環境構築を提案している。
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