TXP MedicalとNTTコミュニケーションズが提携し,次世代の医療データサービスを提供

2024-12-27


次世代の医療データサービス事業で提携し両社のシナジーを生かす

次世代の医療データサービス事業で提携し両社のシナジーを生かす

TXP Medical(株)とNTTコミュニケーションズ(株)は,2024年10月に締結した資本業務提携に関する記者説明会を12月17日(火)に開催した。説明会には,TXP Medicalの代表取締役で救急科専門医である園生智弘氏,NTTコミュニケーションズの執行役員ビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部長 の福田亜希子氏,同スマートヘルスケア推進室担当部長の櫻井陽一氏が出席した。

TXP Medicalは,2017年設立のスタートアップで,「NEXT Stage ER(NSER)」を中心に救急やICUなどの急性期医療領域で診療情報の入力や蓄積を行う「医療プラットフォーム事業」と,NSERで収集したデータを含む電子カルテの情報をRWD(real world data)として利活用する「医療データ事業」などを柱とする。NSERは全国の800床以上の医療機関を中心に約80施設で稼働しており,RWDの利活用は40近い医療機関で採用されているという。一方のNTTコミュニケーションズは1999年に発足,2022年のドコモグループ再編で誕生したドコモビジネスの中で法人事業を担う会社として再編された。NTTコミュニケーションズでは,「Smart World」のコンセプトの下,各産業に対してDXやICTといったデジタル技術によって社会的課題を解決する事業に取り組んでいる。ヘルスケア領域については「Smart Healthcare」として,医療やヘルスケアの課題解決を目的として,データ(メディカル / ヘルスケア)を収集・蓄積,分析・活用するためのプラットフォーム「Smart Data Platform for Healthcare(SDPF for Healthcare)」を提供している。その要素技術の一つがデータの安全・安心な利活用を可能にする秘密計算ソリューションの「析秘(せきひ)」だ。析秘では,秘密化(情報を無意味な複数の断片データにして分散保持すること)した情報を復元せずに演算処理可能な技術で,断片化したまま分散して保管し,秘密化されたまま統計計算することで安全な情報の利活用を可能にする。
今回の資本業務提携では,NTTコミュニケーションズのSDPF for Healthcareや析秘といった技術をベースに,TXP Medicalの持つ臨床的知見や高付加価値データを生かした「医療データサービス」を共同開発し製薬企業などに提供する事業に結びつけるほか,両社の人材交流やノウハウやスキルの共有を図り,両社の事業のさらなる強化や進展を図る。提携への期待について福田氏は,「当社はセキュアで高度なプラットフォームを持つが,そこに蓄積された医療情報を解析できる医療の専門家がいないことが欠けている部分だった。今回の提携によって,高付加価値の医療データ分析サービスを安全に利活用できる環境が提供できると期待している」と述べた。園生氏は,「スタートアップとして,医学的知見に基づくデータ解析や高付加価値データの収集などに特化して事業を展開してきたが,今回の提携によってセキュリティを担保した安全なデータ基盤の構築,さらにはNTTコミュニケーションズのブランドや析秘といった技術力による信用を加えることができる。われわれの従来の顧客である医療機関に対して安全を担保したデータ管理の提案が可能になり,さらには製薬企業や医療機関に向けたデータ分析やコンサルタントサービスの展開にも結びつけていきたい」と述べた。

園生智弘 氏(TXP Medical)

園生智弘 氏(TXP Medical)

 

福田亜希子 氏(NTTコミュニケーションズ)

福田亜希子 氏(NTTコミュニケーションズ)

 

櫻井陽一 氏(同)

櫻井陽一 氏(同)

 

記者説明会に先立ち,「医療データの価値を引き出す析秘—臨床と研究での活用が切り開く事業拡大」と題したウェビナーが開催された。ウェビナーでは,両社も参画したSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業である「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」のプログラムディレクターを務めた国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長の中村祐輔氏が登壇し,「基調講演:AI活用型リアルタイム創薬プラットフォームの構築」を講演した。中村氏は,AIホスピタルでの取り組みの概要を解説し,医療の高度化,複雑化によって医療従事者の負担を軽減するAIやIoT,ビッグデータを活用した取り組みの重要性を強調した。また,櫻井氏が「医療データの新たな可能性を拓く秘密計算技術『析秘(せきひ)』のご紹介」と題して,医療データなど機微性の高いデータを安全に取り扱うためのプライバシー強化技術(Privacy-enhancing technologies:PETs)として注目を集めている秘密計算についての概要と,同社の析秘の特長を解説した。

中村祐輔 氏(医薬基盤・健康・栄養研究所)

中村祐輔 氏(医薬基盤・健康・栄養研究所)

 

●問い合わせ先
NTTコミュニケーションズ(株)
ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部
スマートヘルスケア推進室
フォームから問い合わせ

TXP Medical(株)
医療データ事業部
medical-data-service@txpmedical.com


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